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三食昼寝、家族付き

第894話

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 四天王とか四大公爵とか、なんかカッコイイと思わないか?



 朝、目が覚める直前にそんな声を聞いた。
 女神様の声だったし、神託に入るのだろうか。

「どう思うアー君?」
「刀雲パパが出勤したらそんな感じに公爵が四つになってても俺は驚かない」
『きょうせーりょく』
「今度は何にはまったんだろうな?」

 朝食のピザトーストはサラミ多めにしたので子供達に好評です。
 神薙さんは30cmぐらいあるパンで作ったピザトーストを満足そうに食べている。

「今の刀国って公爵家っていくつあるの?」
「えーっと食べ歩き公爵、酒好き公爵、子だくさん公爵が有名かな」
「それ家名じゃないよね?」
「家名覚えてないんだ」

 キチンと歴史ある家名があるにはあるらしいけれど、通り名の方が有名なので頭に残らないそうです。
 他にも侯爵、伯爵、子爵、男爵とある世界らしい。

 転生数年目、キチンと聞いたのは初めて――じゃないな、なんかカイちゃんやアカーシャに解説されたことがある気がする。
 女神様の趣味からしても貴族の爵位はあった方がいいんだろうな、きっとピンクは男爵の養女だろう。

「アカーシャは知ってる?」
「公爵家は十あったはずだよ、三つは有名だから残り一席を巡って熾烈な押し付け合いが始まるのかな」
「普通は押し付け合いじゃなくて奪い合うものなんじゃないの?」
「他国は他国、うちはうち」
「ママ他人事じゃないぞ、国を守る英雄に相応しい爵位を! とか適当な理由をつけて刀雲パパを公爵家に押し上げる勢力があっても不思議じゃない!」
「とばっちり!?」

 いらない!
 爵位なんていらない!
 社交とかしないからね!

 謎能力で夜会を混沌に陥れちゃうからね!

「爵位と言えば……」

 ふと遠い目をしたアカーシャ、なんだろうピンクヒロインのことでも思い出しているのかな?

「よくある『庶子が貴族の通う学園にいるなど身分不相応』って叫ぶ輩が最近多いんだよね、他国からの留学生だから仕方ないんだけど、あれもテンプレかなぁって」
「テンプレだね!」
「でも基本的に間違ってるよな、まぁこんなでっかい国の子供が全て同じ学園に通っているとか普通は信じられないか」
『マンモス学園ねー』
「俺の父親が丸っと入りそうだな!」
「黒に言って片付けさせる?」
「いえ、神薙様、お気持ちだけで大丈夫です」

 食パンを一斤丸のみした神薙さんの言葉に、そっとアカーシャが首を振った。
 黒ちゃんは確か現在は砂漠の国の学校で、風紀委員長になって学生を監視してるんだっけ。

 なるほど、それでこっちの学園に女神の呪いが蔓延し始めてるのか。
 平穏を守るのが邪神で、不穏の原因が女神の妄想という所にツッコミを入れるべきか、足りなかった風紀委員ポジに黒ちゃんが就いたことにツッコミを入れるべきか、どっちにすべきだろう?

「神薙さん食パンばっかり飽きませんか?」
「へーき」

 そう言って新しい食パンを手に取る。
 最初はなんで切り分けてないのか疑問に思っていたけれど、そうか、神薙さんのためだったか。

「話には続きがあってね、その貴族が罵倒した相手は侯爵家の嫡男で、庶民は隣にいた方っていうオチがついてるんだ」
「なんで間違えたの!?」
「侯爵家の嫡男は制服派で、さらに朝寝坊したから髪がボサボサだったのもあると思う。友人は親が冒険者でねその日は宝箱から出た貴族っぽい服を着て登校してたんだ」
「私服着てっていいの?」
「うん、特にダンジョン講習がある日は汚れた服を用意しておく必要があるしね」
『前にネヴォラが派手なお洋服着てたのよ』
「学生から分捕った服だったんだな」

 罵倒した貴族の子は通りすがりの教師に拳骨を喰らい、そのまま生徒指導室へと引きずられて行ったそうです。
 邪神がいない現在、お説教ですむのはありがたいことだと思う。

「そうだ涼玉」
「おう?」
「涼玉パパのグラちゃんが結婚するかもしれないよ、ママが二人になるね」
「ほあーーーー!?」
「涼玉様ーーー!!」

 思い出したついでに告げてみたら、涼玉が驚きのあまり顎が外れてしまった。
 なんかごめん。
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