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三食昼寝、家族付き
第881話
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地図を見せてもらいながらいる場所を確認したら、アー君も聞いたことのない国名でした。
「たまに会話をしてくれる冒険者がいまして、彼らから聞いた話によるとここは元は遺跡だそうで、それが長い年月をかけてダンジョンに変化してしまった場所だそうです」
「フロアボスと会話する冒険者?」
「そいつら多分、俺の知り合いだよなー」
茶器を始めとした小道具や食べ物なども、そういった人から教えられたり譲られたものだそうです。
ダンジョンで手に入らないものを渡す代わりに戦闘免除……アー君も言っているようにその冒険者ってどう考えても刀国出身者だろうな。
「お前って何者? 普通のフロアボスじゃないよな?」
「ワタシですか?」
そう簡単に教えてくれるかなぁと思ったけど、教える条件を特に上げることもなくすんなり教えてくれた。
「ワタシは邪教の教主に召喚術で呼び出されたこの世に最も恨みを持つ悪霊です」
ガイコツの正体が判明した。
けど自己紹介内容と雰囲気が一致しない。
この世に恨みを持っている割には空気が穏やかというか、出された軽食も真心こめて作られているし、子分のガイコツも楽しそうに給仕してくれてたよね?
今もちょっと離れた所で会話の邪魔にならない程度の音量で音楽を奏でてくれている、どこの王族の茶会だよってぐらい優雅な空気が流れていて……悪霊?
怨念めいたなにかを欠片も感じないこのガイコツが悪霊??
「俺、邪教って一つしか知らないけど、他にもあるのかな」
「どうだろ」
「壺に封じられ、邪神への供物として捧げられたのですが……邪神様の御手に渡った瞬間、このような感じになってしまいました」
「うわぁ」
「ぼくわるくない」
謎能力が僕の知らない所にも影響を及ぼしていたようです。
「それでも供物だからと邪神様もワタシを食べようとはしてくれたのですが、その、一番の売り込みである恨みとかそういうのが……」
「ふわ~ってなっちゃったんだな」
「はい」
つまりまぁ、このガイコツは元々神薙さんのご飯になるために召喚された子で、うまくいったと喜んだ教主がスキップしながら祭壇に捧げた――まではいい、無事に神薙さんの元に届いたし、食べる寸前までいったから目的は比較的果たしている。
神薙さんの手に渡った瞬間にああなったって言っているし、僕の謎能力って封印を超えて相手に影響を与えちゃうんですね、何それ強力過ぎて怖い。
「恨みを忘れてしまった悪霊など、消える一択のはずなのに実体も意思もこうして持ってしまい、土下座して食べないで下さいとお願いしました」
「丸くなったよなぁ」
「暇つぶし要素もあったんだろうね」
「あの、お二人は我が邪神様のことをご存知なのですか?」
「神薙様だろ、一緒に暮らしてる。あとお前がふわっとなった原因は俺のママ」
「何かごめんね?」
「いえいえいえ」
カタカタと骨を鳴らすガイコツ、声ってどこから出してるだろう?
「でも神薙様なら一応齧るぐらいはすると思うけど、よく無事だったな」
「はい! 実はちょうどそこに美しい小さな豹が通りまして」
「イネスだな」
「イネスだねぇ」
「ワタシを使いたいと邪神様におねだりをしまして、定期的に魂を捧げることを条件に下賜されました。そのあと少し装備や技を整えた後、ここに配置されました」
「食べても美味しくないガイコツより、魂を食べることを選んだのかー」
「刀国じゃ魂は滅多に食べれないもんね」
ダンジョンなら人が死んでも不思議はないし、相手がボスなら仕方のない部分もある。のかなぁ?
「それで、あそこで寝てる冒険者は何で俺とママを召喚したの? だいたい想像付いてるけど」
「私の見た目がリッチですからな、聖属性が有効と考えたのでしょう。しかしメンバーに聖属性を使える相手がいなかったので、聖属性の神を召喚して力を借りようとしたのでしょう」
「目的は俺、ママったらまた巻き込まれただけか!」
「こればっかりは女神様の趣味だから、もう諦めるしかないよ」
それにしてもそうか、アー君って神様だったのか。
いや、父親は騎士様だし、明らかに女神様より上位の立場だし、不思議はないかな?
「でも見た目だけで弱点を思い込むとかすげぇな、実際どうなんだ?」
「聖属性で攻撃されると修行の日々を思い出し、興奮します」
「性癖の暴露はいらない」
イネスとの修行の日々の中でガイコツが新しい扉を開いてしまったようです、これはイネスに教えてあげた方がいいのだろうか。
悩むね。
「たまに会話をしてくれる冒険者がいまして、彼らから聞いた話によるとここは元は遺跡だそうで、それが長い年月をかけてダンジョンに変化してしまった場所だそうです」
「フロアボスと会話する冒険者?」
「そいつら多分、俺の知り合いだよなー」
茶器を始めとした小道具や食べ物なども、そういった人から教えられたり譲られたものだそうです。
ダンジョンで手に入らないものを渡す代わりに戦闘免除……アー君も言っているようにその冒険者ってどう考えても刀国出身者だろうな。
「お前って何者? 普通のフロアボスじゃないよな?」
「ワタシですか?」
そう簡単に教えてくれるかなぁと思ったけど、教える条件を特に上げることもなくすんなり教えてくれた。
「ワタシは邪教の教主に召喚術で呼び出されたこの世に最も恨みを持つ悪霊です」
ガイコツの正体が判明した。
けど自己紹介内容と雰囲気が一致しない。
この世に恨みを持っている割には空気が穏やかというか、出された軽食も真心こめて作られているし、子分のガイコツも楽しそうに給仕してくれてたよね?
今もちょっと離れた所で会話の邪魔にならない程度の音量で音楽を奏でてくれている、どこの王族の茶会だよってぐらい優雅な空気が流れていて……悪霊?
怨念めいたなにかを欠片も感じないこのガイコツが悪霊??
「俺、邪教って一つしか知らないけど、他にもあるのかな」
「どうだろ」
「壺に封じられ、邪神への供物として捧げられたのですが……邪神様の御手に渡った瞬間、このような感じになってしまいました」
「うわぁ」
「ぼくわるくない」
謎能力が僕の知らない所にも影響を及ぼしていたようです。
「それでも供物だからと邪神様もワタシを食べようとはしてくれたのですが、その、一番の売り込みである恨みとかそういうのが……」
「ふわ~ってなっちゃったんだな」
「はい」
つまりまぁ、このガイコツは元々神薙さんのご飯になるために召喚された子で、うまくいったと喜んだ教主がスキップしながら祭壇に捧げた――まではいい、無事に神薙さんの元に届いたし、食べる寸前までいったから目的は比較的果たしている。
神薙さんの手に渡った瞬間にああなったって言っているし、僕の謎能力って封印を超えて相手に影響を与えちゃうんですね、何それ強力過ぎて怖い。
「恨みを忘れてしまった悪霊など、消える一択のはずなのに実体も意思もこうして持ってしまい、土下座して食べないで下さいとお願いしました」
「丸くなったよなぁ」
「暇つぶし要素もあったんだろうね」
「あの、お二人は我が邪神様のことをご存知なのですか?」
「神薙様だろ、一緒に暮らしてる。あとお前がふわっとなった原因は俺のママ」
「何かごめんね?」
「いえいえいえ」
カタカタと骨を鳴らすガイコツ、声ってどこから出してるだろう?
「でも神薙様なら一応齧るぐらいはすると思うけど、よく無事だったな」
「はい! 実はちょうどそこに美しい小さな豹が通りまして」
「イネスだな」
「イネスだねぇ」
「ワタシを使いたいと邪神様におねだりをしまして、定期的に魂を捧げることを条件に下賜されました。そのあと少し装備や技を整えた後、ここに配置されました」
「食べても美味しくないガイコツより、魂を食べることを選んだのかー」
「刀国じゃ魂は滅多に食べれないもんね」
ダンジョンなら人が死んでも不思議はないし、相手がボスなら仕方のない部分もある。のかなぁ?
「それで、あそこで寝てる冒険者は何で俺とママを召喚したの? だいたい想像付いてるけど」
「私の見た目がリッチですからな、聖属性が有効と考えたのでしょう。しかしメンバーに聖属性を使える相手がいなかったので、聖属性の神を召喚して力を借りようとしたのでしょう」
「目的は俺、ママったらまた巻き込まれただけか!」
「こればっかりは女神様の趣味だから、もう諦めるしかないよ」
それにしてもそうか、アー君って神様だったのか。
いや、父親は騎士様だし、明らかに女神様より上位の立場だし、不思議はないかな?
「でも見た目だけで弱点を思い込むとかすげぇな、実際どうなんだ?」
「聖属性で攻撃されると修行の日々を思い出し、興奮します」
「性癖の暴露はいらない」
イネスとの修行の日々の中でガイコツが新しい扉を開いてしまったようです、これはイネスに教えてあげた方がいいのだろうか。
悩むね。
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