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女神の呪い
第874話
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お正月恒例行事、餅つき大会が行われた。
主催:刀雲。
参加は自由。
本年はえっちゃんがやる気満々で、前日から餅を搗く練習をしていた。
そして当日。
「仕事が、終わった!」
「搗きたてを食べながら酒飲みたい!」
疲労困憊の騎士様がバタリと縁側に倒れこんだ。
双子に会いにお城に行ったら文官集団に捕まり、仕事をあれこれ押し付けられていたようです。
一緒にやってきたのは樽を担いだレイアさん、樽の中身はマシュー君の所で作った果実酒の試作品と上機嫌で教えてくれた。
「ただ作物を出荷するだけでなく、それらを使った特産品を作って消費量を増やそうとレモン国の王子が発案したらしい。凶作知らずの領地を前に研究者魂が火を噴いたみたいだな」
「一口飲みたい」
しゅるりと闇から湧き出るように神薙さんが登場、新年を前に神社にも奉納品が山のように届いて忙しいらしいけれど、そちらの処理は専属ドリアンと副官さん、副官さんの部下が総出でやっているようです。
神薙さんが忙しいのは届けられた食べ物の仕分け。
一人で一気に食べるか、保存してダラダラ食べるか、みんなでキャッキャッと食べるか……悩みの内容に思わず口元が緩んだ。
「タイガ、ラセンは?」
臼を割らないようイメージトレーニングしているタイガに声をかけたら、今年はラセン不参加だと教えてくれた。
全身から湯気が出ているよ、ちょっと力み過ぎだと思う。
「領地に魔物が押し寄せてな」
「え!? スタンピード? 大丈夫?」
「いや、アラクネの群れが移住を許可された話を聞いて、自分達も街で暮らしたいと申し出る魔物が後を絶たなくてな……我は簡単に許可しそうだからと追い出された」
うちのタイガって何だか追い出される率高くない?
嫁強いなぁ。
「タイガやるぞー」
「おう」
刀雲の声にタイガが深呼吸をする、緊張してると体に力が入りすぎて今年も臼破壊しちゃうよ?
「刀雲俺も何かやりたい!!」
「よっしゃ、私が杵を持つからお前が相棒やれ!」
「えーーレイア絶対に神速で搗くつもりでしょ! やだよ!」
微笑ましい親子の横で騎士様とレイアさんがギャアギャア騒いでいる。
「ママ、俺らも何かやりたい!」
『捏ねる?』
「シャム兄が捏ねたら餅スライムになるな、神薙様に食べられる!!」
「そうだなぁ、じゃあ……」
メニュー画面を展開、お餅のお供を選ぶ画面を表示させた。
「これ、一緒に選ぼうか」
「俺アイスがいいなー」
『海苔!』
「俺はどうしよっかなー?」
僕は大根おろしやきな粉で食べるのが好きなので、昨日のうちに確保済み。
神薙さんはあんこ各種、むしろ臼ごと食べたいとおっしゃっておりました。やめてください。
「樹ー、レイアが臼破壊したー」
「わりぃ」
謝るレイアさんの背後には蒸した餅米だけが地面に落ちている。
どうやら破損を通り越して粒子となり、風に吹かれて飛んで行ってしまったらしい。スラちゃんが片付けるより早くえっちゃんが回収してしまった。
「騎士様にダメージを与えられるレイアさんが力を込めれば当然の結果ですよね」
むしろ臼だけで済んで良かったと思おう。
地面にヒビも入ってないし、セーフですよ、セーフ。
「マールス、レイア様とこーかん、お前の安定した力強さを見せてやれー!」
「右コーナー、軍神マーーールーーース!!」
「左こーなー、えっちゃーーん!!」
「ドリアンこっちに臼一つ出してくれる?」
盛り上がる庭、子供達は餅つき見学に興味を持っていかれてしまったので、付ける具はドリちゃんと選んでこよう。
チーズとか載せて焼いても美味しいんだよね、あとお雑煮に入れるでしょ、うどんにー。
「全く、どいつもこいつも力加減がなっちゃいないね。私に任せな」
「くはははは、シャムス様への忠誠を今こそ見せよう! 才蔵はここで待つである!」
「うむ」
乱入してきたのはヘラ母さん夫婦と、才蔵をお姫様抱っこしたドラゴニュートの二組だった。
でも餅つきをするのはヘラ母さんとドラゴニュートみたい、初顔合わせな気がするけど大丈夫?
「わたしもやりたい! ギレンが相棒な!」
「テメェに任せたら脳髄打ち砕かれる未来しか見えねぇなァ」
「ギレン使えない! じいちゃんやろう!」
「おうおう、任せろ」
「ネヴォラは餅を切り分けるのを頼むゾ」
「頑張るーー!!」
ギレンの肩に乗って登場したのはネヴォラ、後ろにはいつものゴブリン集団もいる。
餅つきやるってどこかで聞いて集まって来たのかな?
「イツキ、アカーシャは?」
「モールで餅つきイベントしてる」
「えっ。今日ここに来いって言ったのはアカーシャなのにっ!!」
なるほど、自分が参加出来ないからギレンを戦力として手配しておいてくれたんだね。
ありがとう、アカーシャ。
遠慮なく使わせていただきます!!
主催:刀雲。
参加は自由。
本年はえっちゃんがやる気満々で、前日から餅を搗く練習をしていた。
そして当日。
「仕事が、終わった!」
「搗きたてを食べながら酒飲みたい!」
疲労困憊の騎士様がバタリと縁側に倒れこんだ。
双子に会いにお城に行ったら文官集団に捕まり、仕事をあれこれ押し付けられていたようです。
一緒にやってきたのは樽を担いだレイアさん、樽の中身はマシュー君の所で作った果実酒の試作品と上機嫌で教えてくれた。
「ただ作物を出荷するだけでなく、それらを使った特産品を作って消費量を増やそうとレモン国の王子が発案したらしい。凶作知らずの領地を前に研究者魂が火を噴いたみたいだな」
「一口飲みたい」
しゅるりと闇から湧き出るように神薙さんが登場、新年を前に神社にも奉納品が山のように届いて忙しいらしいけれど、そちらの処理は専属ドリアンと副官さん、副官さんの部下が総出でやっているようです。
神薙さんが忙しいのは届けられた食べ物の仕分け。
一人で一気に食べるか、保存してダラダラ食べるか、みんなでキャッキャッと食べるか……悩みの内容に思わず口元が緩んだ。
「タイガ、ラセンは?」
臼を割らないようイメージトレーニングしているタイガに声をかけたら、今年はラセン不参加だと教えてくれた。
全身から湯気が出ているよ、ちょっと力み過ぎだと思う。
「領地に魔物が押し寄せてな」
「え!? スタンピード? 大丈夫?」
「いや、アラクネの群れが移住を許可された話を聞いて、自分達も街で暮らしたいと申し出る魔物が後を絶たなくてな……我は簡単に許可しそうだからと追い出された」
うちのタイガって何だか追い出される率高くない?
嫁強いなぁ。
「タイガやるぞー」
「おう」
刀雲の声にタイガが深呼吸をする、緊張してると体に力が入りすぎて今年も臼破壊しちゃうよ?
「刀雲俺も何かやりたい!!」
「よっしゃ、私が杵を持つからお前が相棒やれ!」
「えーーレイア絶対に神速で搗くつもりでしょ! やだよ!」
微笑ましい親子の横で騎士様とレイアさんがギャアギャア騒いでいる。
「ママ、俺らも何かやりたい!」
『捏ねる?』
「シャム兄が捏ねたら餅スライムになるな、神薙様に食べられる!!」
「そうだなぁ、じゃあ……」
メニュー画面を展開、お餅のお供を選ぶ画面を表示させた。
「これ、一緒に選ぼうか」
「俺アイスがいいなー」
『海苔!』
「俺はどうしよっかなー?」
僕は大根おろしやきな粉で食べるのが好きなので、昨日のうちに確保済み。
神薙さんはあんこ各種、むしろ臼ごと食べたいとおっしゃっておりました。やめてください。
「樹ー、レイアが臼破壊したー」
「わりぃ」
謝るレイアさんの背後には蒸した餅米だけが地面に落ちている。
どうやら破損を通り越して粒子となり、風に吹かれて飛んで行ってしまったらしい。スラちゃんが片付けるより早くえっちゃんが回収してしまった。
「騎士様にダメージを与えられるレイアさんが力を込めれば当然の結果ですよね」
むしろ臼だけで済んで良かったと思おう。
地面にヒビも入ってないし、セーフですよ、セーフ。
「マールス、レイア様とこーかん、お前の安定した力強さを見せてやれー!」
「右コーナー、軍神マーーールーーース!!」
「左こーなー、えっちゃーーん!!」
「ドリアンこっちに臼一つ出してくれる?」
盛り上がる庭、子供達は餅つき見学に興味を持っていかれてしまったので、付ける具はドリちゃんと選んでこよう。
チーズとか載せて焼いても美味しいんだよね、あとお雑煮に入れるでしょ、うどんにー。
「全く、どいつもこいつも力加減がなっちゃいないね。私に任せな」
「くはははは、シャムス様への忠誠を今こそ見せよう! 才蔵はここで待つである!」
「うむ」
乱入してきたのはヘラ母さん夫婦と、才蔵をお姫様抱っこしたドラゴニュートの二組だった。
でも餅つきをするのはヘラ母さんとドラゴニュートみたい、初顔合わせな気がするけど大丈夫?
「わたしもやりたい! ギレンが相棒な!」
「テメェに任せたら脳髄打ち砕かれる未来しか見えねぇなァ」
「ギレン使えない! じいちゃんやろう!」
「おうおう、任せろ」
「ネヴォラは餅を切り分けるのを頼むゾ」
「頑張るーー!!」
ギレンの肩に乗って登場したのはネヴォラ、後ろにはいつものゴブリン集団もいる。
餅つきやるってどこかで聞いて集まって来たのかな?
「イツキ、アカーシャは?」
「モールで餅つきイベントしてる」
「えっ。今日ここに来いって言ったのはアカーシャなのにっ!!」
なるほど、自分が参加出来ないからギレンを戦力として手配しておいてくれたんだね。
ありがとう、アカーシャ。
遠慮なく使わせていただきます!!
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