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女神の呪い

第871話

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 騎士様からもらった物体Xの正体、それは――

「なんだろうね?」

 プレゼントした本人もよく分からないそうです。

 持つことは出来るから個体?
 でも持っている感覚がないんだよね、綿あめより軽い気がする。
 むしろ重量ある?

「この子は影に潜れるから、いつでも一緒に居れるよ」

 ファンタジーにたまにある影潜りってやつですね。
 なんかカッコイイ。

 あっ、黒みがちょっと変化して赤くなったかな?
 これは照れているのだろうか。

「コイツって触れないんだよね」
「僕持っていますよ、騎士様も持っていましたよね?」
「一緒に来てもらうために一時的に固まってもらったからね、樹がなぜ触れるのかは……ちょっと良く分からない」

 謎能力のおかげかな?
 謎同士相性がいいのかもしれない。

「基本的に攻撃しても実体無いから攻撃通らない、でも相手を取り込んで飲み込んで存在消しちゃうから気を付けてね」

 何をどう気を付ければいいのでしょうか。

「え、ええと騎士様」
「なぁに? 気に入ってくれた?」

 もふもふはしてないけど、まぁ喜怒哀楽はあるようだし、懐いてくれるので可愛いとは思う。
 でもなぜ物体Xをクリスマスプレゼントに選んだんだろう?

「この子とのご関係は?」
「微妙に友情を築いている気がしないでもない」

 すんごい曖昧な関係ですね。

「付き合いは長いんだけど正体本当に分からなくて、でも過去に何度か助けられてる。あとは……そうそう、単体に見えるけど意思が複数あるんだよね、ノリツッコミも上手だよ」

 個体でも気体でも液体でもなく、実体も属性も持たない謎の存在……世界の神秘ですね。
 でも最後の情報っているかな?

「物体Xの名前どうしましょう」
「俺も名付けようとしたけど、全部却下されて今に至る」

 騎士様のネーミングセンス壊滅的ですもんね、かと言って僕も騎士様のこと笑えないんだけどね。
 名前どうしようかなぁ、物体Xでもちょっとカッコイイ気がするけど、長いよね、じゃあ――。

「えっちゃん」
『えっちゃん』
「シャム兄が捏ねたらスライムにならないかな?」

 ずっと見守っていた幼児が好奇心に負けて近寄ってきた。
 しかも僕より先に名付けおった。まぁいいけどね、僕も同じ名前考えてたし。

『ままー』
「捏ねてみる?」
『あい』

 手を伸ばしてきたシャムスにえっちゃんを渡したけど、ほわ~っていう感じにシャムスの手をすり抜けて地面に広がってしまった。

「え、えー」
『ありゃー?』
「がお?」

 地面でふわふわと揺れ動く姿は影って感じかな?

「パパ、えっちゃんの属性ってなに?」
「無かなぁ? 無属性じゃなくて虚無に近い?」
『僕シャムスよ、えっちゃんよろしくね』
「キシャシャシャシャ」
『笑ったの』

 笑い声は声というより音に近い?
 騎士様が一つだけ分かっているのは、えっちゃんが実は騎士様や雷ちゃんより長生きな存在ってことだけらしいです。

「俺の前世からいるってこと? 創世記から存在し続ける謎かぁ」
『不思議ちゃんね』
「何か芸を仕込んで遊ぼう」

 涼玉の一言にえっちゃんが一瞬キラリと光った。
 ノリノリだなぁこの子。

 まぁそういう訳で我が家に正体不明の謎の存在が一つ増えました。
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