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女神の呪い
第847話
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前回に引き続き、喧嘩を続けるうちのエルフとネヴォラ。
そしてそこに現れた第三者は――ギレン!
「むきーー! むかつく!!」
「いでぇぇぇ!!」
新鮮な魚介類を持ってきてくれのだろう、だけど何か言う前にネヴォラから強烈な八つ当たりを受けた。
ギレンが丈夫じゃなかったら骨の三本ぐらい逝ってたかもしれない。
「ギレンなんでまだ入口にいるの、どいて?」
「アカーシャ……」
後から現れたのはアカーシャ、僕が出産したと聞いて寄り道せずに早めに帰宅してくれたようだ。
「うぇぇっ、アカーシャァァ」
「ネヴォラどうしたの?」
大粒の涙を流しながらネヴォラがアカーシャに抱き着いた。
ネヴォラ、僕に抱き着いても良かったんだよ?
「アカーシャ、俺、俺は?」
「ちょっと待ってて」
「心が痛い」
ギレンが騎士様みたいなことを言って小さくなってしまった。嫁に激弱ですね。
「ほらネヴォラ泣かないで」
「アイツ嫌いぃぃぃ!!」
「べー」
うちの子って基本的に皆仲が良いから喧嘩とかしないんだよね、だからこういう時ってどう慰めればいいか分からない。
オロオロする僕とシャムスの前でアカーシャが静かにネヴォラから話を聞いてくれている。ありがとうございます、頼りなくてすみません。
「イツキ酒くれ」
「まだ夕方にもなってないよ、イカの塩辛出すからそれ食べてて」
「いや、塩辛だけ出されても困る」
「イネスの手作り、刀雲に喜んでもらえたのが嬉しかったらしくって大量に作ったんだけど、さすがに刀雲だけじゃ食べきれなくて」
「聞いて」
「瓶詰だから持ち運び簡単、消費に協力お願いします」
1ダースと言わず2ダースぐらい持って帰ってね。
おまけにお米券付けるのでお屋敷の人達と食べてほしい。
ギレンに塩辛を押し付け、ついでにドリアンに米俵を出してもらって引き渡したら、アカーシャの前でエルフ二人が正座していた。
なにがあった。
「母様、この二人のおやつ、一週間抜きで」
「あ、はい」
喧嘩の理由はごく単純。
性格の不一致。
エルフとダークエルフという差が本能的な嫌悪感をお互いに生むみたい、そうか、女神様のせいか!
「でもまぁ喧嘩両成敗ってことで、プラス聖属性料理抜き」
「え」
目を真ん丸にしてうちのエルフが僕を見た。
「好き嫌いしないんだよね?」
「う、うぇぇぇ」
妊娠中、好きでもないサラダや甘いカレーを強制的に食べる羽目になったことを根にもっている訳じゃないですよ?
かと言って刀雲のカレーは激辛過ぎ、僕は中辛がちょうど良い。
「ネヴォラは好き嫌いないしなぁ」
「ないよ! じいちゃんの飯なんでも美味い!」
転生者疑惑のあるゴブリンさん、ネヴォラの食育に成功している模様。
「今度、ヘラちゃんと合同で本出すよ」
「え?」
食べず嫌いの子供を抱える親御さん必見「楽しい食育本」、アー君達がやりすぎた時に出す野菜フルコースも載っているらしい。
僕も一冊買おうかな、ちょっと読んでみたい。
そしてそこに現れた第三者は――ギレン!
「むきーー! むかつく!!」
「いでぇぇぇ!!」
新鮮な魚介類を持ってきてくれのだろう、だけど何か言う前にネヴォラから強烈な八つ当たりを受けた。
ギレンが丈夫じゃなかったら骨の三本ぐらい逝ってたかもしれない。
「ギレンなんでまだ入口にいるの、どいて?」
「アカーシャ……」
後から現れたのはアカーシャ、僕が出産したと聞いて寄り道せずに早めに帰宅してくれたようだ。
「うぇぇっ、アカーシャァァ」
「ネヴォラどうしたの?」
大粒の涙を流しながらネヴォラがアカーシャに抱き着いた。
ネヴォラ、僕に抱き着いても良かったんだよ?
「アカーシャ、俺、俺は?」
「ちょっと待ってて」
「心が痛い」
ギレンが騎士様みたいなことを言って小さくなってしまった。嫁に激弱ですね。
「ほらネヴォラ泣かないで」
「アイツ嫌いぃぃぃ!!」
「べー」
うちの子って基本的に皆仲が良いから喧嘩とかしないんだよね、だからこういう時ってどう慰めればいいか分からない。
オロオロする僕とシャムスの前でアカーシャが静かにネヴォラから話を聞いてくれている。ありがとうございます、頼りなくてすみません。
「イツキ酒くれ」
「まだ夕方にもなってないよ、イカの塩辛出すからそれ食べてて」
「いや、塩辛だけ出されても困る」
「イネスの手作り、刀雲に喜んでもらえたのが嬉しかったらしくって大量に作ったんだけど、さすがに刀雲だけじゃ食べきれなくて」
「聞いて」
「瓶詰だから持ち運び簡単、消費に協力お願いします」
1ダースと言わず2ダースぐらい持って帰ってね。
おまけにお米券付けるのでお屋敷の人達と食べてほしい。
ギレンに塩辛を押し付け、ついでにドリアンに米俵を出してもらって引き渡したら、アカーシャの前でエルフ二人が正座していた。
なにがあった。
「母様、この二人のおやつ、一週間抜きで」
「あ、はい」
喧嘩の理由はごく単純。
性格の不一致。
エルフとダークエルフという差が本能的な嫌悪感をお互いに生むみたい、そうか、女神様のせいか!
「でもまぁ喧嘩両成敗ってことで、プラス聖属性料理抜き」
「え」
目を真ん丸にしてうちのエルフが僕を見た。
「好き嫌いしないんだよね?」
「う、うぇぇぇ」
妊娠中、好きでもないサラダや甘いカレーを強制的に食べる羽目になったことを根にもっている訳じゃないですよ?
かと言って刀雲のカレーは激辛過ぎ、僕は中辛がちょうど良い。
「ネヴォラは好き嫌いないしなぁ」
「ないよ! じいちゃんの飯なんでも美味い!」
転生者疑惑のあるゴブリンさん、ネヴォラの食育に成功している模様。
「今度、ヘラちゃんと合同で本出すよ」
「え?」
食べず嫌いの子供を抱える親御さん必見「楽しい食育本」、アー君達がやりすぎた時に出す野菜フルコースも載っているらしい。
僕も一冊買おうかな、ちょっと読んでみたい。
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