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女神の呪い
第837話
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興奮するアー君を鎮めるため、さっそく貰ったお菓子を取り出してみた。
おっと飲み物も出さなきゃ喉を詰まらせちゃうね、お茶にしよう、緑茶でいいかな?
手近な椅子に座り、アー君を膝に乗せた。
「アー君、新作お菓子だよ」
「俺はそんなじゃ誤魔化されない!」
体を回転させ、胴体にしがみついて離れません。
ちょっと赤ちゃん返りしてる?
「アー君、アー君、ほらあーん」
「むぅ」
よしあとちょっと。
「異世界で再現された長崎銘菓だよー」
「……ちょっとだけだぞ」
「うんうん」
もぞもぞ動いて顔を上げてくれたので、小さく開けられたお口に菓子を運んだ。
「ん、ん?」
食べながら何かに気付いたようで僕が持っていたお菓子に手を伸ばしてきた。
「中が空洞!?」
驚くと同時に盛大にガッカリしたのか、アー君の可愛いお耳がぺしょっとなった。
揉んでもいいだろうか、可愛いぃぃぃ。
そう、女神様が彼に授け、再現された第一弾のこちらのお菓子、『一口香(いっこっこう)』と言って中が空洞になっているんです!
僕もびっくりした!
「いたずらお菓子? ママ、なんで意地悪するの?」
お菓子を片手にフルフルと涙目のアー君。
やだ可愛い……違う、違う。
「意地悪じゃないよ。これはそこにいる彼が女神様から授かった正真正銘、地球に実在する銘菓だよ」
紹介したら硬直を解いて慌ててアー君に敬礼してくれました。
厨房の料理人達は料理長の背後に隠れて息を殺してるけど……人数多すぎて隠れてません。
「再現が難しい国の人間に神託するとか、何やってんだあの女神」
「アー君が学校を建てたから、こうして再現出来たんだよ。アー君カッコイイねぇ」
「えっ、そう? 俺カッコイイ?」
「うん」
例え中身が王道とテンプレが混在して混とんとしていても、ショタ守護神が理事長に就任しちゃったとしても、子供達の未来がずっと良いものになったのは確かだしね。
「慣れてくると香ばしくて美味しいな!」
ご機嫌が回復したようで、一転上機嫌で一口香を食べ始めた。
「ママ、ふーふーして!」
「はぁい」
お茶を指さし、甘えてくるアー君。
あとで振り返って恥ずかしがるんだろなぁ、可愛いったら。はいふーふー。
「これ気に入ったからたまに納品して」
「アルジュナ様ありがとうございます、その際は出来る限り新作も一緒に献上させていただきます」
料理長がコック帽を脱いでアー君に頭を深々と下げ、給仕の子もビシッと頭を下げた。
「んふふ~」
ちょっと音程が外れた鼻歌を歌いながら、二人の言葉を受け入れるアー君。
こういう所が神様っぽいよねぇ。
「これもっとある? 兄弟にも食べさせる。兄ちゃんの反応楽しみ」
喜んで食べて、中が空洞なことにしょんぼりする図しか浮かばないね!
おっと飲み物も出さなきゃ喉を詰まらせちゃうね、お茶にしよう、緑茶でいいかな?
手近な椅子に座り、アー君を膝に乗せた。
「アー君、新作お菓子だよ」
「俺はそんなじゃ誤魔化されない!」
体を回転させ、胴体にしがみついて離れません。
ちょっと赤ちゃん返りしてる?
「アー君、アー君、ほらあーん」
「むぅ」
よしあとちょっと。
「異世界で再現された長崎銘菓だよー」
「……ちょっとだけだぞ」
「うんうん」
もぞもぞ動いて顔を上げてくれたので、小さく開けられたお口に菓子を運んだ。
「ん、ん?」
食べながら何かに気付いたようで僕が持っていたお菓子に手を伸ばしてきた。
「中が空洞!?」
驚くと同時に盛大にガッカリしたのか、アー君の可愛いお耳がぺしょっとなった。
揉んでもいいだろうか、可愛いぃぃぃ。
そう、女神様が彼に授け、再現された第一弾のこちらのお菓子、『一口香(いっこっこう)』と言って中が空洞になっているんです!
僕もびっくりした!
「いたずらお菓子? ママ、なんで意地悪するの?」
お菓子を片手にフルフルと涙目のアー君。
やだ可愛い……違う、違う。
「意地悪じゃないよ。これはそこにいる彼が女神様から授かった正真正銘、地球に実在する銘菓だよ」
紹介したら硬直を解いて慌ててアー君に敬礼してくれました。
厨房の料理人達は料理長の背後に隠れて息を殺してるけど……人数多すぎて隠れてません。
「再現が難しい国の人間に神託するとか、何やってんだあの女神」
「アー君が学校を建てたから、こうして再現出来たんだよ。アー君カッコイイねぇ」
「えっ、そう? 俺カッコイイ?」
「うん」
例え中身が王道とテンプレが混在して混とんとしていても、ショタ守護神が理事長に就任しちゃったとしても、子供達の未来がずっと良いものになったのは確かだしね。
「慣れてくると香ばしくて美味しいな!」
ご機嫌が回復したようで、一転上機嫌で一口香を食べ始めた。
「ママ、ふーふーして!」
「はぁい」
お茶を指さし、甘えてくるアー君。
あとで振り返って恥ずかしがるんだろなぁ、可愛いったら。はいふーふー。
「これ気に入ったからたまに納品して」
「アルジュナ様ありがとうございます、その際は出来る限り新作も一緒に献上させていただきます」
料理長がコック帽を脱いでアー君に頭を深々と下げ、給仕の子もビシッと頭を下げた。
「んふふ~」
ちょっと音程が外れた鼻歌を歌いながら、二人の言葉を受け入れるアー君。
こういう所が神様っぽいよねぇ。
「これもっとある? 兄弟にも食べさせる。兄ちゃんの反応楽しみ」
喜んで食べて、中が空洞なことにしょんぼりする図しか浮かばないね!
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