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女神の呪い

第811話

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 翌朝起きたら血の池に魚が発生していた。
 たまには新鮮な魚食べたいなぁとか思ったアレのせいだろうか。

「イツキー」
「魚速い、獲れない」
「池に入ろうとすると噛みついてくるんだ」

 しかも狂暴らしく、獣人がべそべそ泣きながら縋り付いてきた。

「じゃあ釣るか槍とかで突くしかないかな」
「釣る?」
「槍なんてないぞ」
「釣り竿を確か持ち歩いていたような」

 一応僕専用のも作ってもらってあるんだ、ただ自宅の池の生物相手じゃ敵わないし、危ないからって使う機会がなくなってしまっただけで。

「はい、使い方は分かる?」
「んー?」
「イツキ、餌がないと使えないだろう」

 どうやら釣り竿の使用方法を知っているらしいボスが、釣り竿を横から覗き込みながらそういってきた。
 ふふん、普通はそうだけどこれは違うのさ!

「大丈夫だよ。僕は使用禁止食らったけど、餌がなくても普通に釣れる」
「誰に」
「子供達に」

 僕が一人で釣りを許可されているのは、初級ダンジョンのゴブリンの巣に流れる川なんだけど……。
 あそこ、一人では行けない。
 釣り竿も竹を切って糸を付けただけの簡単なもの、特殊素材は一切使っていない自然の素材のみ、こちらは餌がいるけど、あの川って餌なくても釣れそうだよね。

 持っていた数本の釣り竿を取り出し、地面に並べる。
 騎士様が遊び心で作ったものからアー君が本気出して素材集めしたもの、刀雲がこだわり抜いて作ったやつとお揃いのものまで色々取り揃えてあります。
 どれも上級者向けで僕は使いこなせません。

「俺これ使ってみるー」
「うわ、ずしっと重い、これイツキじゃ持てないだろ」
「持つのも怖いぐらい高価そうだけど、これで頑張ってみるよ~」

 それぞれ気に入ったのを手に持って池へと駆けていった。
 挑戦を受けて立つと言わんばかりに魚が跳ね上がったのですが、怪我人でそうだなぁ。

「お前、これ……なんで釣り竿に神器の称号ついてるんだよ!」
「なんでだろうね?」

 ボスのツッコミも冴えわたっております。
 それにしてもボスってもしや鑑定をお持ちで? 今なら刀国のお城で鑑定士募集中だよ、ブラック一歩手前だけど給料はいいし、有休や産休もあるよ。

 まぁアー君を始めとして神薙さんやレイアさんとの攻防があるから、胃の方が中々大変らしいけどね!

「こんな時、シャムスのスライムがあれば……」

 魚の解体とかやってもらえるのになぁ。

「また何か言い始めた」
「凄いのうちの子のスライム、なんでもあり」

 ドリちゃんとスラちゃん一団の活躍で我が家の食卓は支えられています。

「ままー」
「今、呼ばれた気がする」
「ん?」
「きゃっほー!」

 ぽっふーーーん。と音を立てて、空から降ってきた素晴らしい毛並みの子犬が顔面に張り付いた。
 ポンチョ装備してなかったら首の骨危なかっただろうなぁ。
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