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湯水のごとくお金を使おう
第798話
しおりを挟む鴨パーティーには僕の家族から騎士様の友人まで、人間も神様も関係なく集まりました。
待って、まだ夕食前なんですけど!
開始まで時間あるのに、なぜこんなに早く集まったの!?
とりあえずドリちゃんが樽でお酒を出しまくり、それを振舞って時間稼ぎ中です。
正直慌てたね、神薙さん用に量を用意していたから間に合うと言えば間に合うけど、そうなると肝心の神薙さんの分が足りなくなるわけでして。
自宅を死地にしないため、ドリちゃんとヘラ母さん、スーパースラちゃんが現在進行形で無双しています。
「シャムスせっかく砂漠で遊んでいたのにごめんね、でも神薙さんのご機嫌損ねる訳にもいかないんだ」
『いーのよ』
「そうそう、俺らの中で砂漠の改革より神薙様の方が優先度高いから平気」
「かあちゃお酒はたくさんあっけど、ジュースない」
「あ、あー! 涼玉ありがと!」
各種ジュースを会場の隅で出しながら思ったのだけど、これって狩りの合間に定期的に鴨が転送されてなければ用意間に合わなかったよね?
神薙さんには鴨丸ごと唐揚げとか作ろう、庭にテーブル設置するにもドリアンも料理に回ってて人手が完全に足りません。
あっそうだ。
「クラーケーンー」
「グオッ?」
鴨の雛を頭に乗せてスイスイ泳いでいたクラーケンがこちらを振り向いた。
「人手が足らないの、お庭にテーブル設置するの手伝って」
「!」
触手でOKサインを返された。
頭の上の雛がピィピィ鳴いて楽しそうだったけど、我が家に来た時点で普通の鴨からは逸脱しちゃったのだろうなぁ。
「イツキー、応援に来た」
「ネヴォラ!」
ぴょんぴょん跳ねるネヴォラの後ろにはハチマキをして気合の入ったゴブリン部隊。
「ありがとう、お礼はまた今度するね!」
「酒のつまみになるものを作ってもらおうぜー、俺が鉄板出すから涼玉は火を頼むな」
「おー!」
『僕はママと一緒にいるの』
僕が張り切って動かないよう、シャムスとお兄ちゃん三匹が僕から離れない。
「ラーシャ、クラーケンと戦いたいです」
「子育てが終わるまで相手してもらえないだろうなー」
その横でイネスがさきいかを食べながら愚痴っています。
雛に攻撃が当たったら危ないからと現在クラーケンは休業中、戦うためにスピードを上げる訓練までしたイネスが盛大に拗ねました。
「あー、いい匂いですー」
「焼き鳥に餃子、色々あるなぁ、俺は砂肝食べたい」
「ラーシャ、焼き鳥セット食べたいわ」
「ひぃぃ! はいぃ、今すぐ!」
流れるようにラーシャを顎で使ったのは、ラーシャの母君であるカーシャさんだった。
いつ来てたんだろうこの夫婦。
「アー君様、お願いがあるんだけど」
「ん?」
「主様も呼んでもらえない? 母上が来てるうえにすでに飲み始めてるんだ」
「すぐ呼ぶ!」
魔王様とレイアさん夫婦もいるからね、ストッパーはいた方がいいよね。
あっ、雷ちゃん夫婦もいつの間にか来てる、知らない顔もいるけど追究はしない。
「うわ、もう飲み始めてる。神薙いないみたいだけど大丈夫?」
「俺が呼びに行ってくるから、パパはカーシャ様が飲みすぎないよう注意してて!」
「もう遅い気がするけど、分かった」
「主様! 何飲みます!?」
「うわぁうわぁ、もう出来上がってるー」
家族で鴨パーティーの予定がどうしてこうなった。
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