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湯水のごとくお金を使おう

第740話

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 そのまま網ハンモックの上に倒れようとしたら、サッとスーくんが滑り込んできて薄いシーツに早変わり。
 微風で体を乾かしてくれたと思ったら、分裂してハンモックの上に薄い膜を張ってパラソルに変身、さすがシャムスのスライム、至れり尽くせりですね。

 ダメになるクッションならぬダメになるコテージ爆誕……。

 きっと濡れたまま寝てたら風邪は引かなくてもタイガに説教されたよね、ありがとうスーくん、ありがとうシャムス。
 泳いで疲れたのでこのまま寝ます。


 どのくらい寝ていたのか、良い香りに目が覚めた。

「ふあぁぁ」
「起きましたか」
「あれ、ラセンだ」

 声に視線を向けたらテラスに置かれたビーチチェアーでラセンが休んでいた。
 その向こうでは刀雲とタイガがバーベキューの準備中、この匂いは肉が焼ける匂いだったのか。

 我が家だったらこの時点で子供達がはしゃいだり、神薙さんやもふもふズが食事を狙ったりで大変なんだけど……うぅん、のんびり空間なはずなのにちょっと寂しくなった。
 みんな大人しくご飯食べてるかなぁ。
 
 しんみりしていたらスーくんにポスポスと肩を叩かれた。

「どうしたの?」
「ふは、イツキおいで」

 楽しそうに笑う刀雲に手招きされ、スーくんに手伝ってもらいながら網ハンモックから脱出、刀雲の横に移動したら湖の方を示された。

「わぁ」

 カヌーから手を振っているのはシャムスの世話役として我が家に滞在しているハーフのメリベルと、麦わら帽子を被ったウミガメだった。
 メリベルは可愛いから花冠が似合っている。

 ああシャムスが居なくて寂しいから臨時バイトしてるんだ、そっかぁ。
 そこは両親の元に戻るんじゃないんだね。

 メリベルが持ってきたのはカラフルな飲み物とカラフルなフルーツが盛られたお皿、このサービスも騎士様から指示されているものだそうです。
 これ、タヒチにある朝食サービスですね、あぁ騎士様の後ろで手を振る女神様が見える。

「って、そういえば女神様は?」
「あれはここに入れません、というより入れる気はありません。何を仕掛けられるか分かったものじゃないですからね」

 反論出来ない。
 あの人ならやりそうだから。

「母よ、貝が焼けたぞ」
「食べる!」

 タイガに差し出されたのはサザエだった。
 さっき泳いでいたサザエではないと思う、これは食用の普通のサザエに違いない。自分でも何言っているかちょっと分からなくなってきた。

 なんていうか……海を作るのは諦めて湖にしたけど、中身はほぼ海だわ!
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