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湯水のごとくお金を使おう
第735話 旅立ちの日
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今日から長期休暇だからか、家の中がとても静かです。
つまりカイちゃんの旅立ちの日でもあるんだよね、うーんでもなぜか寂しさを感じない。
「かあさま、シャムスとアー君がオムツ用意してなかった!」
転移で座敷に飛び込んで来たのはカイちゃん、前世の力は強大で、この力を使ったら運命に歪みが……とか、なんか難しい葛藤があったらしい、前世持ちは以前との違いを受け入れるまでが大変だね。
アー君も生まれるまでごねて大変だったけど、今じゃもう率先してやりたい放題だよ。
無意識に魔力を制限していたカイちゃんだけど、始祖の力を容易に扱うシャムス、兄弟の力を乱用して遊び倒すアー君、多大な魔力と引き換えに新種を誕生させる涼玉、兄弟の名声や権力を活用して商業ギルドを設立したアカーシャらの姿を見て、なんか細かいことに悩むのが馬鹿らしくなったらしい。
それでも、己を律していた前世を振り切るのは大変だったみたいだけどね~。
真面目なのは魔族の特性なのだろうか。
「持ったと主張してたけど、やっぱり持ってなかったかぁ」
「もう何でそんなにのんびりしてるの! もう出発するんだよ?」
「いざとなれば転移で持ちに来てもらえばいいし、夢の世界で渡すっていう手段もあるからなぁ」
距離がどれだけ離れてようが、寝れば夢の世界で会えるんだもの。
ついでに言えば転移を取得した時点でいつでも会えるよね、奥の手として春日さんに鳥居設置してもらう方法もある。
「もーー! オムツはいらないって言っただろ!」
プリプリしながらアー君が座敷に飛び込んできた。
「一応用意しておいて良かった。スライムに預けておいたから連れてってねー」
「ぷるん!」
「ノオオオオ!!」
大人ぶりたかったのだろうけど残念、君は幼児だ!
「道中、おやつ食べ過ぎないようにね」
「うん!」
「帰ってきたら一回り大きくなってたりして」
こう横にぼよーんと。
「気を付ける」
神妙に頷くアー君の手にスライムを渡せば、しゅるんと腕輪に変化する親切さ。
シャムスの能力が格段に上がっている気がします。
「かあさま」
「カイちゃん、幸せにね」
あとなるべく文化残してあげてね。
涙ぐむカイちゃんをぎゅっと抱きしめれば、ふわりと抱きしめ返された。
「ママも気を付けてな! お土産期待してて!」
「うん、いってらっしゃい」
カイちゃんとアー君を見送る。
また一人お嫁にいっちゃうんだなぁ、確かお城で集合してレモン国に一斉転移、そこから船旅を楽しむんだっけ?
……刀国にも港あるのに、なぜ刀国から船に乗らないのだろうか、頑なに船を見せてもらえず、ごまかされたけど、どんな魔改造したのか不安が残る。
「刀雲、みんな行ったよ」
「ン、もう少し」
カイちゃんが嫁に行く寂しさで遅くまで飲んでたからなぁ、もうちょっと寝かせてあげよう。
僕らの出発は特に決まってない。
そもそもどうやって行くのかは刀雲任せなんだけど、馬車は……無理だよね、道ないし。
つまりカイちゃんの旅立ちの日でもあるんだよね、うーんでもなぜか寂しさを感じない。
「かあさま、シャムスとアー君がオムツ用意してなかった!」
転移で座敷に飛び込んで来たのはカイちゃん、前世の力は強大で、この力を使ったら運命に歪みが……とか、なんか難しい葛藤があったらしい、前世持ちは以前との違いを受け入れるまでが大変だね。
アー君も生まれるまでごねて大変だったけど、今じゃもう率先してやりたい放題だよ。
無意識に魔力を制限していたカイちゃんだけど、始祖の力を容易に扱うシャムス、兄弟の力を乱用して遊び倒すアー君、多大な魔力と引き換えに新種を誕生させる涼玉、兄弟の名声や権力を活用して商業ギルドを設立したアカーシャらの姿を見て、なんか細かいことに悩むのが馬鹿らしくなったらしい。
それでも、己を律していた前世を振り切るのは大変だったみたいだけどね~。
真面目なのは魔族の特性なのだろうか。
「持ったと主張してたけど、やっぱり持ってなかったかぁ」
「もう何でそんなにのんびりしてるの! もう出発するんだよ?」
「いざとなれば転移で持ちに来てもらえばいいし、夢の世界で渡すっていう手段もあるからなぁ」
距離がどれだけ離れてようが、寝れば夢の世界で会えるんだもの。
ついでに言えば転移を取得した時点でいつでも会えるよね、奥の手として春日さんに鳥居設置してもらう方法もある。
「もーー! オムツはいらないって言っただろ!」
プリプリしながらアー君が座敷に飛び込んできた。
「一応用意しておいて良かった。スライムに預けておいたから連れてってねー」
「ぷるん!」
「ノオオオオ!!」
大人ぶりたかったのだろうけど残念、君は幼児だ!
「道中、おやつ食べ過ぎないようにね」
「うん!」
「帰ってきたら一回り大きくなってたりして」
こう横にぼよーんと。
「気を付ける」
神妙に頷くアー君の手にスライムを渡せば、しゅるんと腕輪に変化する親切さ。
シャムスの能力が格段に上がっている気がします。
「かあさま」
「カイちゃん、幸せにね」
あとなるべく文化残してあげてね。
涙ぐむカイちゃんをぎゅっと抱きしめれば、ふわりと抱きしめ返された。
「ママも気を付けてな! お土産期待してて!」
「うん、いってらっしゃい」
カイちゃんとアー君を見送る。
また一人お嫁にいっちゃうんだなぁ、確かお城で集合してレモン国に一斉転移、そこから船旅を楽しむんだっけ?
……刀国にも港あるのに、なぜ刀国から船に乗らないのだろうか、頑なに船を見せてもらえず、ごまかされたけど、どんな魔改造したのか不安が残る。
「刀雲、みんな行ったよ」
「ン、もう少し」
カイちゃんが嫁に行く寂しさで遅くまで飲んでたからなぁ、もうちょっと寝かせてあげよう。
僕らの出発は特に決まってない。
そもそもどうやって行くのかは刀雲任せなんだけど、馬車は……無理だよね、道ないし。
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