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湯水のごとくお金を使おう
第727話
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消えていく数多のカレー料理。
吐き出され、積み上げられる金貨。
「こら金ちゃん、食事中に金貨を出さない!」
「だ、だってこれは習性みたいなものだし!」
「神薙待ってもっと味わおうよ、俺のお代わりが!!」
お食事タイムが久々に戦場です。
積み上げたエビフライは開始五分で消えた。
帰宅が遅れているイネスが知ったら夜の庭に躍り出て、海老の乱狩りを始めるかもしれない。
「パパ、トンカツ確保して!」
「え、トンカツ!? 今――あああ、神薙酷いっ!」
騎士様との久々の食事にご機嫌なのだろう、今日の神薙さん、いつもよりテンション高い。
食べる速度も普段の1.5倍ぐらい、容赦ないなー。
刀雲の分、取っておいて良かった。
「涼っメンチカツっ」
「OK!」
『唐揚げゲットよー』
「神薙様っ、魔鳥のゆで卵、固ゆで、半熟、温泉卵、色々作った!」
「食べる」
「にいちゃっ」
「俺のことはいい、先におかずを取れっ!」
そして幼児達の会話はなぜか切羽詰まっているっぽいけれど、実際には涼玉ではなくマールスが腕を生やしておかず確保を頑張っています。
一つ間違えば腕の一本ぐらい神薙さんに食べられそうで、ちょっと危険かもしれない。
「イーツキー」
「あっネヴォラ」
「ご飯食べに……」
来た。そう言おうとしたのだろうけど、食卓の惨状を見て口を閉ざした。
「安心しろネヴォラ、俺らのお代わりもなしだ」
『ないの』
「エビフライ一本すら食べれなかった」
元毛玉くんはカレーライス甘めを食べた後、ずっと黄金のリンゴをもしゃもしゃしている。
どんだけ気に入ったんだろう、瑞獣だから聖なる果実が好物なのかなぁ?
「なんかムキムキがいる」
「白澤っていう万物の知識に通じている獣だな、ママが聖なる風呂に入れて聖なる香油で揉みこんだら浄化されて人化した」
アー君の説明は何一つ間違ってないけど、口に出すと中々酷いね。
「食べるものない」
「……」
「くれるの? ありがと!」
なんと白澤が無言で口を付けていないリンゴをネヴォラに差し出した。
誰かに食べ物を譲るなんて、この家に来て初めての行動じゃない?
「知識に通じる獣、教師とかどうだろう」
『おしゃべりしないの』
「無口過ぎて授業にならないぜ!」
アー君の提案、いい線いってるけどあえなく挫折。
『ハクちゃん教えるできる?』
「※※※※、※※」
白澤が喋った。
ただし何を言っているか一切聞き取れなかったのですが。
声というより音って感じだったね!
さすがシャムス、始まりの獣・獅皇さんの御子!
権力の前に白澤が重い口を開いたよ!
そのままシャムスと白澤の間で質疑応答が続いている。シャムス、頼りになるぅ!
「アカーシャは?」
「課題合宿が近いからね、打ち合わせや準備に帰宅は暫く遅くなるよ」
「むぅ」
「デザートはこれからだから」
「うん、食べてく」
小さく頷いたネヴォラの頭を撫で、大人しく神薙さんが満足するのを待つ。
あの寸胴鍋何杯目かなぁ、スープみたいに美味しそうに飲んでいます。
ピザとか出せるけど、そうすると多分またポイント枯渇する。
騎士様、飼い主として責任を持って食料調達をお願いしたい所ですが、ドラグーンでラウルさんが鞭を片手に待っていそうなので諦めます。
「騎士様がいてテンション高いなら、神薙さんごとドラグーンに行ってもらう、とか?」
「やめて! ドラグーンの食料事情じゃ神薙養えないから! ラウルに説教される!」
何となく呟いたら騎士様に半泣きで止められました。
吐き出され、積み上げられる金貨。
「こら金ちゃん、食事中に金貨を出さない!」
「だ、だってこれは習性みたいなものだし!」
「神薙待ってもっと味わおうよ、俺のお代わりが!!」
お食事タイムが久々に戦場です。
積み上げたエビフライは開始五分で消えた。
帰宅が遅れているイネスが知ったら夜の庭に躍り出て、海老の乱狩りを始めるかもしれない。
「パパ、トンカツ確保して!」
「え、トンカツ!? 今――あああ、神薙酷いっ!」
騎士様との久々の食事にご機嫌なのだろう、今日の神薙さん、いつもよりテンション高い。
食べる速度も普段の1.5倍ぐらい、容赦ないなー。
刀雲の分、取っておいて良かった。
「涼っメンチカツっ」
「OK!」
『唐揚げゲットよー』
「神薙様っ、魔鳥のゆで卵、固ゆで、半熟、温泉卵、色々作った!」
「食べる」
「にいちゃっ」
「俺のことはいい、先におかずを取れっ!」
そして幼児達の会話はなぜか切羽詰まっているっぽいけれど、実際には涼玉ではなくマールスが腕を生やしておかず確保を頑張っています。
一つ間違えば腕の一本ぐらい神薙さんに食べられそうで、ちょっと危険かもしれない。
「イーツキー」
「あっネヴォラ」
「ご飯食べに……」
来た。そう言おうとしたのだろうけど、食卓の惨状を見て口を閉ざした。
「安心しろネヴォラ、俺らのお代わりもなしだ」
『ないの』
「エビフライ一本すら食べれなかった」
元毛玉くんはカレーライス甘めを食べた後、ずっと黄金のリンゴをもしゃもしゃしている。
どんだけ気に入ったんだろう、瑞獣だから聖なる果実が好物なのかなぁ?
「なんかムキムキがいる」
「白澤っていう万物の知識に通じている獣だな、ママが聖なる風呂に入れて聖なる香油で揉みこんだら浄化されて人化した」
アー君の説明は何一つ間違ってないけど、口に出すと中々酷いね。
「食べるものない」
「……」
「くれるの? ありがと!」
なんと白澤が無言で口を付けていないリンゴをネヴォラに差し出した。
誰かに食べ物を譲るなんて、この家に来て初めての行動じゃない?
「知識に通じる獣、教師とかどうだろう」
『おしゃべりしないの』
「無口過ぎて授業にならないぜ!」
アー君の提案、いい線いってるけどあえなく挫折。
『ハクちゃん教えるできる?』
「※※※※、※※」
白澤が喋った。
ただし何を言っているか一切聞き取れなかったのですが。
声というより音って感じだったね!
さすがシャムス、始まりの獣・獅皇さんの御子!
権力の前に白澤が重い口を開いたよ!
そのままシャムスと白澤の間で質疑応答が続いている。シャムス、頼りになるぅ!
「アカーシャは?」
「課題合宿が近いからね、打ち合わせや準備に帰宅は暫く遅くなるよ」
「むぅ」
「デザートはこれからだから」
「うん、食べてく」
小さく頷いたネヴォラの頭を撫で、大人しく神薙さんが満足するのを待つ。
あの寸胴鍋何杯目かなぁ、スープみたいに美味しそうに飲んでいます。
ピザとか出せるけど、そうすると多分またポイント枯渇する。
騎士様、飼い主として責任を持って食料調達をお願いしたい所ですが、ドラグーンでラウルさんが鞭を片手に待っていそうなので諦めます。
「騎士様がいてテンション高いなら、神薙さんごとドラグーンに行ってもらう、とか?」
「やめて! ドラグーンの食料事情じゃ神薙養えないから! ラウルに説教される!」
何となく呟いたら騎士様に半泣きで止められました。
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