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湯水のごとくお金を使おう

第707話

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 船や悪魔を踏み越えて、今日も我が家のお子様は元気です。
 しかも今日は学園がお休みでアカーシャがいるからテンションが朝から高い、高い。

「パパが今日は早く帰宅するって言ってたから、夕食は宴やりたい!」
「おつかれさまするの」
「テーマはビール!」
「……」
「実は、女神様の叫びが夢の中まで響いてきて……」

 アカーシャが目を逸らしながら教えてくれたのは、夢の中で子供達が遊び倒していた所に突然「ビール飲みたい、ビール飲みたい、誰かビアガーデン連れてってぇぇぇ!!」という女神様の絶叫が響いたらしい。
 ビールは分かってもビアガーデンが分からない、たぶん地球のお酒関連の単語だろうと予想をつけ、アー君がドラグーン王国まで飛んで騎士様に意味を聞いてきたところ、野外に設置されたテーブルでビールを飲む。そんな感じの意味だと教えられた。

 うん、僕の中のビアガーデンのイメージも大体そんな感じ、間違ってない。
 夏の風物詩だね。

 僕がその絶叫を聞いていない理由は、朝から刀雲がお元気でですね、濃厚な一戦を交わしていたからだと思う。
 危うく起き上がれなくなる所だった。

「パパと神薙様だけじゃ寂しいな、他に誰呼ぼう?」
『レイアしゃん!』
「魔王様!」
「カイ殿やタイガ殿はいかがいたしましょうか」

 おお張り切ってる、張り切ってる。

「もっと市民に近い層の意見も欲しいな」
「アカーシャ?」
「えっと、その、実は春日さんの茶屋とコラボすることになってて……」
「それなら宿舎の騎士さん達でも誘う?」

 あの人、スローライフを自称する割には忙しいよね。
 何気に地球文化を持ち込んでいるけど、騎士様の保護者だから女神様も文句を言えない。

 でもその前からクロードさんがやりたい放題してるし、今更か。

「ママ、さすがに騎士団の奴らを誘うのは可哀想」
「いしゅくして食べれないの」
「神様の集団に人間を放り込むのはちょっと」

 刀雲はいいのだろうか、いいんだろうな、自分達の父親という肩書あるし。

「騎士団には暑気払い費用として大金を寄付しておく! あと肉も、アカーシャ手配頼むなー、お金はギルドの口座から引いておいて」
「分かった」
「招待する人は決まったの?」
「うん、レイア様、魔王様、冥府の王、雷、ギレン、あと邪神兄弟。俺らの兄弟はもう招待した!」
「いつの間に」
『夢の中~』
「ハイダルは酒の席と子供用席、どちらに座るべきか悩めばいいと思う」

 小姑か!

「招待状を送るのが終わったら食材調達だな! 俺、ダンジョン行ってくる」
『僕はお兄ちゃんとリンゴ畑!』
「俺はマールスと裏庭菜園」
「はい!」

 食材集めは昼まで、時間になったら食材を持って座敷に集合と決めて解散した。

「じゃあアカーシャは僕とメニュー決めしようか」
「うん」

 さっきから脳内に女神様がチラチラこっちを見る映像が流れてくるんだけど、誘いませんよ?
 アー君らのお誘いリストにもないようですし、諦めてください。
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