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湯水のごとくお金を使おう

第702話

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 カイちゃんが微笑みの中にも困惑を浮かべているのが分かった。

「これ、僕もダメージ受ける。持つ前に触れない」

 魔族もどうやら闇属性、優雅に使いこなせるかと思ったらそれ以前の問題だった。
 返品も何も受け取り不可というオチがついたようです。

 でもこれ、我が家に置いておくにはちょっと危険だよね、神薙さんや御子がいらっしゃるし。
 タイガにどうだろうと思ったけど、カイちゃんダメならラセンもダメ、そもそも街に暮らしているのが魔物オンリー、ダメだな。

「う、うーん、じゃあかぐやならどうかな?」
「ラウルが怪しい」
『闇属性よ』
「人間喰うタイプはこれ無理だろうなぁ」

 お土産をこれでもかと使った神話級扇子、使い手が見つかりませんがどうしよう。
 神薙さんなら食べれるかなぁ?

 ため息を吐いて扇子をツンツン。

「君の持ち主見つからないねー」
「ああママ……」
『あららぁ』
「お約束」

 え? と思う暇もなく、パァァァっと光った扇子が自立、僕の頬に擦り寄った。
 扇子って自立するものだっけ?
 いやそもそも無機物だから動くこと自体ないような。
 神剣も打ち砕くっぽい最強の扇子にスリスリされても、ポンチョのおかげでダメージは受けない。

「所有者がママで固定されました」
『分かっていたオチよ』
「スライム使われているもんな」

 パサリと開いたら仰いでないのに爽やかな風が。
 あの、この子、自主的に風を操って送風してくれるんだけど。

 まぁ夏には便利、かな?

 手を離したらふわりと浮かび上がり、楽しそうに座敷を飛び回り始めた。
 さすが僕の所有物、自由!

「そもそも、素材に使ったのがママに貢がれたものだもんな、カイすまん」
「仕方ないよ」
『カイちゃんには別の扇子作るの』
「素材は慎重に」

 けど、うーん、マールスも真っ青な光を放つこの子、僕のそばに置いておいても大丈夫だろうか。

「……」

 この子にシャムスのスライムが使われている時点で察するべきだった。
 僕は動植物相手だと感情とか言葉にしなくても伝わるらしく、都合がいい感じに忖度してくれるんだよね。
 相手がSSランクの天災級の魔物でも関係なし、もふもふズがいい例です。

 こちらの扇子もほらこの通り、凶悪なまでの光属性が和らぎました。

「ママ……それ、出来るなら最初からやろう」
『今ならカイちゃん使えるの』
「使えるだけで持ち主になるのは無理っぽいけどね」
「かあちゃが最強」

 僕の力に呼応して、春のようなほんわか雰囲気に。
 これなら誰も傷付かない、ただし貸与は可能だけど譲渡は不可のようです。
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