上 下
663 / 1,127
湯水のごとくお金を使おう

第656話

しおりを挟む
 お昼はカレーにしてみた。
 そしたら食べる食べる、さすが育ち盛り。

 ゴブリンはネヴォラの口周りを拭いたり、水を飲ませたりちょいちょい世話を焼きながら、カレーを味わって食べていた。
 完全に保護者ポジション!!

 あれ、あのゴブリンってそもそもダンジョン産のモンスターなのに、なんでダンジョンの外を自由に出歩いているんだろう?
 モンスターって気軽にダンジョンの外に出ていい存在じゃなかったような。あれ、僕が間違ってるんだっけ?

「俺らが作ったダンジョンのモンスター、自我を持つ確率がやたら高いんだよな、不思議」
『なんでだろうねー?』
「にいちゃ達が自由だから?」

 食後のデザートにリンゴを丸かじりしながら涼玉が首を傾げる。
 パフェ食べたはずだけどよく食べるな、もしかしてまた何か生成したとか?

「勉強会に参加して、理解が追い付いている時点で普通のゴブリンの枠からはみ出てるよな」
『ネヴォラより字も綺麗なの』
「学習能力が高いな、ネヴォラがんばれー」
「ぶー」

 そして勉強中ずっと僕が近くにいた影響もあり、こちらのゴブリンさん、いつの間にやら進化してました。

「知力爆上がりしたから今ならマジシャンになれるかな」
『学園通う?』
「通っちゃう?」

 何やら我が家の幼児がこそこそし始めました。

 勉強組は食後の休憩も終わり再開しようとしたけど、なんかハイダル君の精神が遠くに行ったまま帰宅しないみたいです。
 強く生きてね。

「ハイダルが戻らないけど続けよう」
「えっ、待って、カイちゃん待って、僕もう頭痛い」
「刀羅に同意、そうだ、あれだ、あの僕ら公務があるから帰る」
「刀羅、鬼羅、ペンを取りなさい」
「「うぇぇぇぇ」」

 アカーシャの言葉に逃げ出そうとした双子をカイちゃんが追撃、逃走に失敗したようです。

 ちなみにマシュー君とナーガはお昼を食べたら帰宅しました。
 午後は収穫やら仕事があるのらしく、正当な理由だったので解放されたみたい、刀羅もそれを模倣しようとしたのだろうけど、しどろもどろだったせいですぐバレたね。

「翡翠」
「周防」
「なんとかして!」
「助けて!」
「無理です」
「無力です」

 主の言葉に翡翠君と周防くんが首を振る。

「ははは、二人とも、そちらの翡翠はともかく、周防は僕に逆らえないよ」
「えええ」
「そんなぁ」

 サラッとカイちゃんが何か言った。

「ぶー、僕らが主なのにー」
「主以前に僕らカイちゃんのお兄ちゃんなのにー」
「王には逆らえない、魔族はそういう種族だからね」

 ……あ。

 すっごく今更だけど、そう言えば周防くんって魔族なんだっけ。
 そうだよね、タイガとラセンの子供で、魔王様の孫だもんね、魔族だわ。
 孫、孫?
 どちらかと言うとタイガが孫でその息子だからひ孫?

「魔族って絶対君主制なのか、こぇぇ」
『カイちゃんすごいの』
「俺の弟がかっけぇ!」
「涼玉様、我は? 我は?」

 グダグダになってきたね、これはもう午後は勉強会成立しないかも。
 いや、無理か、カイちゃんってスパルタだし。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

犬のさんぽのお兄さん

深川シオ
BL
【地方都市×オメガバース】オメガでニートの園瀬(そのせ)梓(あずさ)は、T中央公園を散歩中に謎の長髪イケメンアルファ(ダサい臙脂のジャージ姿)に出会う。その瞬間、ヒートが起きて運命の番だと分かり——!?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。 溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。 みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。 囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。 サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。 真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。 ☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正 ⭐残酷表現あります。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...