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湯水のごとくお金を使おう

第645話

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 その日のうちに鑑定はなんとか終了。
 幼児がことごとく屍のようになっていたけどね。

「協力ありがとうね、今日の夕食で腕をふるわせて」
「いやいやいや、だいじょぉぉぶ、おれらきょうだい、たすけあう!」
『きもちだけでおっけーよ』
「たすけあうとうぜん、とうぜん!」

 アカーシャの一言に屍から復活して心にもないことを言っている。
 全員棒読みです。

「そう言えばアランに必要そうなアイテムあったよ、婚約祝いとしてプレゼントさせて」
「……」

 アカーシャがアランに差し出したのは、アー君が運営するダンジョンの宝箱から稀に手に入る激レアアイテム、設計・作製タイガの【張形】。

「マシューに嫁ぐんでしょう? これで拡張しておかないと辛いよ」
「いらねぇし、でけぇし、マシューのはもっと平均的だろ!!」

 なんかアランが泣きそう。

「閨限定だけど、マシューって成人になれるぞ」
「は?」
「嫁のナーガが楽しむために色々やってるから」
『かっこいーよ』
「色男だった」
「しかもそれ、タイガ作だから大きさ変動機能付き、カップルから熟年夫婦まで大人気、バザーで売り出したら血を見るレベル」
『バザーからオークションになっちゃう』
「まぁ俺ら、幼児だから使い方知らないけどな!」

 にまにまする涼玉、絶対知ってるよなぁ。
 ツッコミ辛い、アランも張形片手にぷるぷるしている。

「アランが尊敬する師匠の作品だぞ、貰わんと損だぞ」
「う、ぐぬぬぬ」

 きっと地面に叩きつけたいんだろうな、でもアランってタイガを師匠と慕ってるし、タイガの作品を損なうような行動は出来ない。
 仕方がない、ちょっとだけフォローしてあげよう。

「あのねアラン、耳貸して」
「イツキ」
「それね、魔力流すと濡れる機能あるんだって」
「いらねぇぇぇぇえ!!!!」

 泣いてしまった。
 これってトドメ刺した感じ?

「そうそう、真面目な話に戻すと、武器や防具などの破損した装備品は一旦商会で預かって、整備や修理をしてから日付をずらして売るね」
「ん」
「バザーには老若男女問わず参加するから、夜のアイテム系は夜の部を設けてそこで売るのはどう?」
「別料金で部屋貸し出しもするよう手配して」
「はい」
『きゃー』
「マールス買ってこい!」
「我まだ未成年!」

 他にも金でできたフライパン、宝石がギラギラ載せられた首が折れそうな王冠、攻撃力は初期装備並みの宝石でできた短剣など、刀国では売れそうにないアイテムはドンの一族が引き受け、他国で売りさばいてくれるらしい。
 金のフライパン使って料理する人なんているんだろうか。

「なぁなぁ、じゃあさ金で出来た張形とか売れるかな?」
「売れると思う」
「使用用途ない宝石とかあった?」
「うん、魔力も込められないクズ石結構あったよ、装飾品に加工して貴族貴族煩い連中に売りつけようかなって計画してる」
「そのまま進めて、仕上げは俺がやる」
「どうするの?」
「アー君、呪いとかかけちゃだめだよ?」
「もぅ、ママったら信用ないなぁ、呪いはかけないよ、ただ付与が一切出来ないように能力固定するだけ」

 それも一種の呪いのような気がするけどまぁいいか。

「素材はどうする、そのまま売るの?」
「うん、当日は鍛冶屋がいるスペース作るから、冒険者はそこで予約入れてもらう予定」
「分かった」
「鍛冶屋さん過労死一直線の未来が見えそうだよアー君」
「これを機に弟子増やせばいいと思う」
『全土から孤児集めたの』
「孤児が多い分、職種の幅も広げないとな!」

 うちの子が立派なことを言っている!!
 食いしん坊なだけだと思ってたのに、いい子!
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