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巡り合い

第584話

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 イエティはシックスパックでした。
 きゃーいい筋肉ー!

「GOAAAAA!!」
『っぴゃ!』
「こらシャムスを怖がらせたらだめでしょ!!」
「ぅぉー」

 イエティの威嚇にシャムスが怯えたので怒ったら、威嚇したムキムキイエティがぬいぐるみボディな外見に縮小してしまった。
 あれ?

「フシュー」
『アー君、ゴーレム混ざってる』
「雪山の前の層の階層ボスだ、レイア様を見た瞬間に両手挙げて投降して、なんかそのままついてきたんだよなー」
「マールスの二倍ぐらいか?」
「そのぐらいありそうですな」

 マンモスを筆頭としたイエティ軍団の中に、なぜか古代遺跡にいそうなゴーレムが混ざっていた。
 下地は岩らしく、全体的にゴツゴツしている。

 あっ、ちなみに僕らは正門前にいます。
 桜並木通りが東ならここは南側かな?

『動き鈍いの』
「ダンジョンの死亡率高くてただでさえ人間が入らないのに、かなり下層のボスだったからな~、出番がなくて劣化したのかも」
『そだ。キーちゃん羽ちょーだい』
「くるる」
『ありがと』
「シャム兄、俺の卵の欠片もやる」
『ありがとー、こーねこね』

 イエティから逃げてゴーレムの方に行ったシャムスがキーちゃんから羽を、涼玉から卵の欠片を受け取って何やらやっているのだけど、止めた方がいいのだろうか。

『スライムー! アー君はい』
「ん」

 そして完成した数匹のスライムを、アー君がゴーレムに向かって投げつけた。
 一連の出来事をレイアさんも見ていたけれど、諦めたように傍観していたのでまぁきっと大丈夫だと思い込む。

 スライムに憑りつかれたゴーレム。
 何ということでしょう、全体に苔が生えたかと思ったら、つぶらな瞳のほわ~とした感じになってしまいました! これ、僕のせいでしょうか!?

『あれぇ?』
「母上が近くにいるのが関係しているのか、それとも元々の性質が前面に出たのか、どっちだ!」
「がーおー」
「一目で無害と判断出来て何より」
「まぁ、そういうことにしとこ!」

 アー君が何かを諦めた。

「けどマンモスもイエティも大人しいねぇ」
「そりゃレイア様いるからな」
「神薙様御一家も!」
『せーぞろい』

 ここから広場まで行進し、噴水をぐるっと回って桜並木を通過してそのままマシュー君の所に転送するんだって。騎士様が。

「あと稲刈りに役立ちそうだからこいつも追加で」
「ッシャ!」

 ビシッと敬礼をしてアー君に応えたのは、全身が青白いリザードマンだった。
 十体ほどいるけどもしや雪山で生け捕りにしてきたのかな、しかも今日。

「母上、耳貸して」
「なぁに?」
「――って声かけて」
「わかった」

 アー君が僕にやらせたいことは大体分かる、女神様が僕にやらせた「おかえりなさい」と似たようなことだろう。

『おてての鎌かっこいーね』
「シャシャー!」

 白肌がほんのりピンク色に、あれは照れているのだろうか。

「みんな、マシュー君のことお願いね、助けてあげて」
「ごあーー!」
「フッシュー!」
「シャーーーー!!!」

 とてもいい返事をもらいました。

 返事だけで良かったのだけど、そのうち何体か微妙に進化したのはご愛敬だろう。
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