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巡り合い
第575話
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今日も良い天気。
さぁ今日は何をしようか。
『だんじょん』
「ママ、ダンジョン行こう」
「薬草採取!」
そういう訳でダンジョンに行くことに決定、と言っても行くのは初心者ダンジョンだけどね。
「騎士様はどうします? 釣りするなら釣り竿置いていきますよ」
「俺もいく~」
なんだろう、しんなりしている。
『今日のお留守番だーれ?』
「狩りに出たのはエム兄とロー兄だから、ルド兄かな?」
「あっ、さつま芋の木の下で寝てる! マールス起こしてきて!」
「承知!」
「キーちゃんには母上が乗るから、シャムスはルド兄な」
『アー君は?』
「ダロスは仕事だからなぁ、パパに乗る」
「うぅ、アー君に振り回されてるよぉ」
嘆きながらも拒否権のない騎士様は大人しくアー君を肩に乗せた。
お弁当を作ってもらって、じゃあ行こうと縁側から庭に降りて二秒で目的地が目の前に。
「パパ……こういうのは歩いての移動も楽しみの一つなんだぞ?」
「あれ?」
『もーきししゃま、っめ!』
「シャム兄、まだルドにいちゃに乗ってない、今頃ぽっかーんしてると思う」
「そうですぞ、お土産は必須ですな!」
「えっ、あれ? もう乗っているとばかり思って」
「おやつに骨を持っていこうと庭を掘ってたんです。可哀想に、今頃一匹寂しく骨を齧ってますよ」
僕はキーちゃんから降りて地面に座っているシャムスを代わりにその背に乗せた。
仕方ない、歩くか。
「初心者向けダンジョンって長いよな、名前変えるか」
『かえちゃおっか』
「初級ダンジョンってよばてるって」
「呼ばれてる。な。じゃあ通称の初級ダンジョンに登録変更、っと」
涼玉の言い間違いを訂正したアー君は、空中にウィンドウを呼び出してピピっと何やら操作した。
あれ、アー君もちょいちょい操作しているけど、元々は女神様が世界を管理しやすいようにと漫画を参考に取り入れたものらしい。
クロードさんなんて五個ぐらい展開しているけど、鬼羅は一度に十個ぐらい展開してるという話、僕は画面を拡大縮小出来るけど展開できるのは一個だけです。
違いはなんだろう?
知能?
「薬草採取って言っても、薬草がどんなか知らないよ」
『へーき』
「群生してるから問題ない。涼はくしゃみ禁止な」
「がぅ!」
「お鼻がむずむずしたら我に向かってくしゃみをしてくだされ、全ての炎を受け止めてみせますぞ」
「ごめんなマールス、その時はお願い」
城門からダンジョンまで続く草原には今日も麦な魔物の群れがまったりとしている。
麦が採れるあの子たちはほぼ羊と変わらない、食べ物も草だし、性格も温厚、群れごともふもふズに入っているので実質我が家が後ろ盾。
害を加えるとSランクの実力を持つもふもふズがすっ飛んでくる仕様です。
ちなみに金色の毛皮を持つ亜種がいたけれど、その子は現在春日さんの神域で暮らしています。
そろそろ神獣に進化したと言われても驚かない。
「おやアルジュナ様、ダンジョンの調整ですか?」
「ううん、涼が薬草採取してみたいって言うからここがいいかなって」
ダンジョン入り口には簡単な受付があって、ギルドの職員が出入りを管理してくれている。
昼間はギルド、夜は吸血鬼、とたまにゴブリン。
「ぎゃぎゃ」
「案内してくれるのか? そりゃ助かる」
「アー君、もしかしてゴブリンの言葉分かるの?」
「なんとなく」
しかもダンジョン案内までしてくれるようです、多彩だなここのゴブリン。
利用料はお金、食べ物どっちだろう?
さぁ今日は何をしようか。
『だんじょん』
「ママ、ダンジョン行こう」
「薬草採取!」
そういう訳でダンジョンに行くことに決定、と言っても行くのは初心者ダンジョンだけどね。
「騎士様はどうします? 釣りするなら釣り竿置いていきますよ」
「俺もいく~」
なんだろう、しんなりしている。
『今日のお留守番だーれ?』
「狩りに出たのはエム兄とロー兄だから、ルド兄かな?」
「あっ、さつま芋の木の下で寝てる! マールス起こしてきて!」
「承知!」
「キーちゃんには母上が乗るから、シャムスはルド兄な」
『アー君は?』
「ダロスは仕事だからなぁ、パパに乗る」
「うぅ、アー君に振り回されてるよぉ」
嘆きながらも拒否権のない騎士様は大人しくアー君を肩に乗せた。
お弁当を作ってもらって、じゃあ行こうと縁側から庭に降りて二秒で目的地が目の前に。
「パパ……こういうのは歩いての移動も楽しみの一つなんだぞ?」
「あれ?」
『もーきししゃま、っめ!』
「シャム兄、まだルドにいちゃに乗ってない、今頃ぽっかーんしてると思う」
「そうですぞ、お土産は必須ですな!」
「えっ、あれ? もう乗っているとばかり思って」
「おやつに骨を持っていこうと庭を掘ってたんです。可哀想に、今頃一匹寂しく骨を齧ってますよ」
僕はキーちゃんから降りて地面に座っているシャムスを代わりにその背に乗せた。
仕方ない、歩くか。
「初心者向けダンジョンって長いよな、名前変えるか」
『かえちゃおっか』
「初級ダンジョンってよばてるって」
「呼ばれてる。な。じゃあ通称の初級ダンジョンに登録変更、っと」
涼玉の言い間違いを訂正したアー君は、空中にウィンドウを呼び出してピピっと何やら操作した。
あれ、アー君もちょいちょい操作しているけど、元々は女神様が世界を管理しやすいようにと漫画を参考に取り入れたものらしい。
クロードさんなんて五個ぐらい展開しているけど、鬼羅は一度に十個ぐらい展開してるという話、僕は画面を拡大縮小出来るけど展開できるのは一個だけです。
違いはなんだろう?
知能?
「薬草採取って言っても、薬草がどんなか知らないよ」
『へーき』
「群生してるから問題ない。涼はくしゃみ禁止な」
「がぅ!」
「お鼻がむずむずしたら我に向かってくしゃみをしてくだされ、全ての炎を受け止めてみせますぞ」
「ごめんなマールス、その時はお願い」
城門からダンジョンまで続く草原には今日も麦な魔物の群れがまったりとしている。
麦が採れるあの子たちはほぼ羊と変わらない、食べ物も草だし、性格も温厚、群れごともふもふズに入っているので実質我が家が後ろ盾。
害を加えるとSランクの実力を持つもふもふズがすっ飛んでくる仕様です。
ちなみに金色の毛皮を持つ亜種がいたけれど、その子は現在春日さんの神域で暮らしています。
そろそろ神獣に進化したと言われても驚かない。
「おやアルジュナ様、ダンジョンの調整ですか?」
「ううん、涼が薬草採取してみたいって言うからここがいいかなって」
ダンジョン入り口には簡単な受付があって、ギルドの職員が出入りを管理してくれている。
昼間はギルド、夜は吸血鬼、とたまにゴブリン。
「ぎゃぎゃ」
「案内してくれるのか? そりゃ助かる」
「アー君、もしかしてゴブリンの言葉分かるの?」
「なんとなく」
しかもダンジョン案内までしてくれるようです、多彩だなここのゴブリン。
利用料はお金、食べ物どっちだろう?
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