578 / 1,127
巡り合い
第571話
しおりを挟む
変態は呼ばれた気がすればやってくる。
チョコトークのあった翌朝、神薙さんの朝食後のデザートが終わったのを見計らってシヴァさんが我が家にやってきた。
刀雲とルークは仕事、アカーシャは学園、ツッコミ役という名のストッパーが不在です。
騎士様はいるけどシヴァさんの勢いには勝てないっぽいんだよね。
「涼玉様、お土産ですよ」
「にいちゃタスケテ」
差し出されたのは独特の甘い香りがする丸い実。
一個の大きさは幼児の掌サイズ、外観の色はアーモンド、触ってみたら皮はミカンのように柔らかくて剥きやすそうだった。
中身の予想がつくだけに皮を剥いて現実を目の当たりにするのが怖いです。
レイアさん助けてください、貴女のご子息のショタに対する愛が暴走気味ですよ。
「これは、あれかな、でも話題が出たのは昨日だよね」
「しかも身内しかいなかった」
『ストーカー……』
「にぎゃあああああ」
「でも美味しいです」
シヴァさんの不気味さより匂いにつられたのはイネスだった。
パクッと一つ口にしたイネスにラーシャが大いに慌てている。
「うん、チョコです。僕のこれはホワイトチョコでした。涼ちゃんのはたぶんイチゴ味」
「いやぁぁ、こわいーー、変態こわいーー!!」
「涼玉様しっかり! お気を確かに!!」
パニックを起こす涼玉にシヴァさんは朗らかな笑みを浮かべるだけ、変態怖い、幼児の気を引くために手段を選ばないその信条が怖すぎる。
身内に本物の豊穣神がいる人が本気出すとこんな事が実現しちゃうんですね。
神様怖い。
「黒い! 神の穀物か!」
「ああなんと愛らしい」
あれ、いつの間に。
さっきまでいなかったよね?
あれぇ?
「これ食べ方わからないぞ!」
「こうして皮を剥いてそのまま食べれますよ」
「中身も黒い! んまい!」
「お口の周りが汚れてますよ」
ヤンチャなダークエルフの幼児にシヴァさんがデレデレです。
しかも皮を剥いて差し出すまでの間に自分の膝に座らせる早業、恍惚とした表情で幼児の世話をするその姿は正に変態の一言に尽きる。
騎士様も擁護できずにドン引きしています。
「もういっこ!」
「はいどうぞ」
「んーーっ!!」
完全に二人の世界です、どうもありがとうございました。
うちの幼児?
ダークエルフの幼児を犠牲にして涙をのんで逃走しました。
「里の仲間説得した、やくそく、やくそく!!」
「はいはい、ありがとうね」
「約束?」
どんな約束をしたんですか騎士様?
「謝罪を受け入れてもらう代わりに衣食住を提供する」
「……僕も皆と一緒に逃亡すれば良かった」
あーあーあーこの先聞きたくないでーす。
賭けてもいい、絶対に女神様が関わってる。
チョコトークのあった翌朝、神薙さんの朝食後のデザートが終わったのを見計らってシヴァさんが我が家にやってきた。
刀雲とルークは仕事、アカーシャは学園、ツッコミ役という名のストッパーが不在です。
騎士様はいるけどシヴァさんの勢いには勝てないっぽいんだよね。
「涼玉様、お土産ですよ」
「にいちゃタスケテ」
差し出されたのは独特の甘い香りがする丸い実。
一個の大きさは幼児の掌サイズ、外観の色はアーモンド、触ってみたら皮はミカンのように柔らかくて剥きやすそうだった。
中身の予想がつくだけに皮を剥いて現実を目の当たりにするのが怖いです。
レイアさん助けてください、貴女のご子息のショタに対する愛が暴走気味ですよ。
「これは、あれかな、でも話題が出たのは昨日だよね」
「しかも身内しかいなかった」
『ストーカー……』
「にぎゃあああああ」
「でも美味しいです」
シヴァさんの不気味さより匂いにつられたのはイネスだった。
パクッと一つ口にしたイネスにラーシャが大いに慌てている。
「うん、チョコです。僕のこれはホワイトチョコでした。涼ちゃんのはたぶんイチゴ味」
「いやぁぁ、こわいーー、変態こわいーー!!」
「涼玉様しっかり! お気を確かに!!」
パニックを起こす涼玉にシヴァさんは朗らかな笑みを浮かべるだけ、変態怖い、幼児の気を引くために手段を選ばないその信条が怖すぎる。
身内に本物の豊穣神がいる人が本気出すとこんな事が実現しちゃうんですね。
神様怖い。
「黒い! 神の穀物か!」
「ああなんと愛らしい」
あれ、いつの間に。
さっきまでいなかったよね?
あれぇ?
「これ食べ方わからないぞ!」
「こうして皮を剥いてそのまま食べれますよ」
「中身も黒い! んまい!」
「お口の周りが汚れてますよ」
ヤンチャなダークエルフの幼児にシヴァさんがデレデレです。
しかも皮を剥いて差し出すまでの間に自分の膝に座らせる早業、恍惚とした表情で幼児の世話をするその姿は正に変態の一言に尽きる。
騎士様も擁護できずにドン引きしています。
「もういっこ!」
「はいどうぞ」
「んーーっ!!」
完全に二人の世界です、どうもありがとうございました。
うちの幼児?
ダークエルフの幼児を犠牲にして涙をのんで逃走しました。
「里の仲間説得した、やくそく、やくそく!!」
「はいはい、ありがとうね」
「約束?」
どんな約束をしたんですか騎士様?
「謝罪を受け入れてもらう代わりに衣食住を提供する」
「……僕も皆と一緒に逃亡すれば良かった」
あーあーあーこの先聞きたくないでーす。
賭けてもいい、絶対に女神様が関わってる。
20
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる