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巡り合い

第558話

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 雷ちゃんが住処とした島は凶悪な魔物が跋扈する土地。
 ふわっともふもふな子が生きていける環境ではない。

「くるるるん」
「なーおー」
「っく、かわいい」

 ムキムキがふわっともこもこな生き物になってしまった今、元の環境で生き残れるのだろうか。

「どうしましょう旦那様」
「しまった、思った以上に母上の影響が大きい」

 やっぱり僕のせいかー。
 もふっとなっただけでなく、どうやら野生の本能にも多大な影響を及ぼしたようだ。

「きゅるきゅる」
「うるる」

 しかも白いヒヨコみたいな子がキーちゃんにべったり。
 これはもしかして、もしかしちゃったりするの?

「あれ、待って皆どこいっちゃうの?」

 騎士様の困惑した声に振り向けば、群がっていたもこもこが解散、両親やヘラ母さんのもとへ各自移動し始めた。
 騎士様で遊んでお腹が空いたのかもしれない。

「母上、何匹かこのまま置いていくから後は頼んだ」
「あれもう食べ終わったの?」
「これ以上ここに置いておいたら、あの島で生き残れなくなる」
「今度は私達だけで来ることにします」

 そう言って雷ちゃんとヒューちゃん夫婦は子供達を連れ、慌ただしく帰っていった。
 なんかごめんなさい?

 残された子達は特に気にした様子もなく、ヘラ母さんの横で口を開けておねだりしたり、エムに体をすりすりしたり、ヒヨコから孔雀に進化した子がキーちゃんに求愛ダンスをしたり、白熊さんを生き別れの親と思って懐いたりとなかなかカオスです。

「あれ、キーちゃんにべったりしてたのヒヨコだった気がするんだけど」

 孔雀に似ているけど羽の色が禍々しいから魔物には違いない、ヒューちゃんってどのくらいの数が混ざってるんだろう?
 どの血が出るかはランダムなんだろうなぁ。

「あいつか、あいつはアピールしたさに一気に成長した」

 自在に成長できるのうちの子だけの特技だと思っていた。
 いや待てよ、雷ちゃんの子供だから僕の血を引いてるね、孫か、今気付いたけどあのもふい子達、僕の孫だった!!
 もしかして雷ちゃん、孫の顔を見せに来てくれたの?

 ……本当にごめんなさい、あとで高級プリンと庶民プリン各種のセット送るね。

「僕の謎の力って実は威力大きい?」
「俺もどこに驚いていいか分からないぐらいびっくり。あとあの子熊を兄弟枠、義理の母親枠どちらで受け入れればいいか悩んでる」

 アー君もかなり混乱しているようだ。
 良かった混乱してるの僕だけだと思ってた。

『しゅーだんお見合いになったの』
「エムにいちゃに春がきた」

 エムにハートを投げまくっている子は、なんて言うか、こう、犬っぽい。
 あの島に犬がいるとは思えないから狼種の可能性の方が高いかな。

 でも伴侶が見つかったのエムだけか、ローとルドは拗ねてないかな?

「「ふんふん」」
「冷ましてるからちょっと待て」

 我関せずで刀雲に肉ましましお好み焼きのお代わりを要求していました。

「わふ!」
「いやルーク、お前はさすがに自分で食え」
「きゅぅぅん」

 切ない声で鳴きながらルーク、人化して自分で食べるかと思いきや、その足で騎士様の元に向かって甘え倒して食べさせてもらっていた。
 小さなもふもふが一斉に離れて寂しかったのもあり、元々もふもふに甘い騎士様は拒否することもなくルークのためにお好み焼きを焼き始めました。

 一人と一匹、背中に哀愁が漂っている気がする。
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