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巡り合い
第550話
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女神様が無事死亡し、静かになったのでドリアンにおやつを託し、僕はちょっと席を外します。
ふと思いついた事があるんだよねー。
向かいますのは自室の先にあるりんご畑。
アーチ状になっている入り口を通り抜けると、最初来た時と風景が変わっていた。
初めて来た時はリンゴの木がわっさわさ無秩序に生えているだけだったのが、一方に導くように道を作って整列している。
少し進むと木の世話をするドリアンがいたので聞いたら、造園趣味のもふもふズと協力して空間を整えたとのこと。
「はちもいます、数日したらきっとよい蜜が取れます」
示された方角をみたら蜂がいた。
外見は蜜蜂っぽいけれど、大きさに苦情を申請したい。
30㎝越えの蜂なんて恐怖しか抱かないのですが。
あっ、視界にぼかしモザイク入った!
どうやら脳が異世界版の蜜蜂を拒否したようだ。
ありがたい能力です。
彼らの住まいはリンゴ畑に取り込まれた蔵らしい、情報ありがとう、絶対近づかない、あの大きさが集団になっているなんて僕からしたら悪夢でしかないからね。
怖いものが視界から消えたので、安心して道を先へと進む。
出来れば外見変えて欲しい案件だよねぇ、あれ。
木の根元にはふわふわしたピンクや黄色の花が咲いていて、そこそこ長い道のりも飽きることなく楽しみながら歩けてたんだけど……現代っ子には辛い距離だな、ちょっと息が切れてきた。
屋敷から蔵までの間にある空間のはずなのに、なんでこんなに距離あるの?
もしかして空間いじってある?
室内じゃないから油断してた。
「疲れたー」
リンゴの花が欲しくて来たけど、全部実が成っていて花は見当たらなかった気がする。
これってさっきドリアンに聞けば良かったんじゃ?
引き返そうか悩んだ所でようやく畑を抜けれました。
本当に疲れた。
帰りどうしよう、気力が足りない。
自宅の敷地内だからって油断したなぁ。
「アー君はお城だし、まさかの自宅で遭難」
円を描くように開けた空間には中央に一本のリンゴの木があるだけ、しかもよく見たら木に実っているリンゴは全て金色だった。
特殊個体ってやつだろう、神々しいほどに輝きを放っています。
そりゃイネスも光りますよね。
木に近付いたらわんこが一匹へそ天で寝ていて、僕に気付くとパッと起き上がった。
「わふ!」
「あれ、エム、ここにいたの?」
「きゃぅ!」
毛が乱れていたので、手櫛で簡単に整えると頭突きするように全身ですりすりされた。
大丈夫、涎垂れてたのは見てないよー。
「ここに来るまでで体力使い切っちゃった。おやつタイムにするけどエムも一緒に食べる?」
「わん!」
見た目は銀狼、中身は転生ワンコ。
でも犬じゃないし、異世界だからネギもチョコも平気。
「という訳で、ジャンクフードいってみよー」
「ふんふん!!」
やっぱり王道はハンバーガーかなぁ。
「ピリ辛と普通どっちがいい?」
「わふ」
画面にピリ辛ホットドッグとMで有名なバーガーを出したら、ホットドッグを示してきた。
うちの子チャレンジャー。
刀雲が激辛好きだから、自分達もチャレンジしようとして毎回涙目になってるのに懲りない。
辛さ対策にドリちゃんミルクも用意しておこう。
「はいどーぞ」
「きゅーん」
器用に前足で手を合わせ、ガッと勢いよく食らいついて「きゃん」と鳴いたので、ミルクを出してあげたらこちらも勢いよく飲んだ。
「これ皆には内緒ねー、でも匂いでバレちゃうかな?」
「……わふ」
その時は素直にジャンクフード祭りするしかない。
いや、いっそお昼をジャンクフードに……って、それまでに帰れる気がしないけど、どうしよう。
「よし、寝よっか」
「わんっ!」
家に戻る方法は起きてから考えます。
ふと思いついた事があるんだよねー。
向かいますのは自室の先にあるりんご畑。
アーチ状になっている入り口を通り抜けると、最初来た時と風景が変わっていた。
初めて来た時はリンゴの木がわっさわさ無秩序に生えているだけだったのが、一方に導くように道を作って整列している。
少し進むと木の世話をするドリアンがいたので聞いたら、造園趣味のもふもふズと協力して空間を整えたとのこと。
「はちもいます、数日したらきっとよい蜜が取れます」
示された方角をみたら蜂がいた。
外見は蜜蜂っぽいけれど、大きさに苦情を申請したい。
30㎝越えの蜂なんて恐怖しか抱かないのですが。
あっ、視界にぼかしモザイク入った!
どうやら脳が異世界版の蜜蜂を拒否したようだ。
ありがたい能力です。
彼らの住まいはリンゴ畑に取り込まれた蔵らしい、情報ありがとう、絶対近づかない、あの大きさが集団になっているなんて僕からしたら悪夢でしかないからね。
怖いものが視界から消えたので、安心して道を先へと進む。
出来れば外見変えて欲しい案件だよねぇ、あれ。
木の根元にはふわふわしたピンクや黄色の花が咲いていて、そこそこ長い道のりも飽きることなく楽しみながら歩けてたんだけど……現代っ子には辛い距離だな、ちょっと息が切れてきた。
屋敷から蔵までの間にある空間のはずなのに、なんでこんなに距離あるの?
もしかして空間いじってある?
室内じゃないから油断してた。
「疲れたー」
リンゴの花が欲しくて来たけど、全部実が成っていて花は見当たらなかった気がする。
これってさっきドリアンに聞けば良かったんじゃ?
引き返そうか悩んだ所でようやく畑を抜けれました。
本当に疲れた。
帰りどうしよう、気力が足りない。
自宅の敷地内だからって油断したなぁ。
「アー君はお城だし、まさかの自宅で遭難」
円を描くように開けた空間には中央に一本のリンゴの木があるだけ、しかもよく見たら木に実っているリンゴは全て金色だった。
特殊個体ってやつだろう、神々しいほどに輝きを放っています。
そりゃイネスも光りますよね。
木に近付いたらわんこが一匹へそ天で寝ていて、僕に気付くとパッと起き上がった。
「わふ!」
「あれ、エム、ここにいたの?」
「きゃぅ!」
毛が乱れていたので、手櫛で簡単に整えると頭突きするように全身ですりすりされた。
大丈夫、涎垂れてたのは見てないよー。
「ここに来るまでで体力使い切っちゃった。おやつタイムにするけどエムも一緒に食べる?」
「わん!」
見た目は銀狼、中身は転生ワンコ。
でも犬じゃないし、異世界だからネギもチョコも平気。
「という訳で、ジャンクフードいってみよー」
「ふんふん!!」
やっぱり王道はハンバーガーかなぁ。
「ピリ辛と普通どっちがいい?」
「わふ」
画面にピリ辛ホットドッグとMで有名なバーガーを出したら、ホットドッグを示してきた。
うちの子チャレンジャー。
刀雲が激辛好きだから、自分達もチャレンジしようとして毎回涙目になってるのに懲りない。
辛さ対策にドリちゃんミルクも用意しておこう。
「はいどーぞ」
「きゅーん」
器用に前足で手を合わせ、ガッと勢いよく食らいついて「きゃん」と鳴いたので、ミルクを出してあげたらこちらも勢いよく飲んだ。
「これ皆には内緒ねー、でも匂いでバレちゃうかな?」
「……わふ」
その時は素直にジャンクフード祭りするしかない。
いや、いっそお昼をジャンクフードに……って、それまでに帰れる気がしないけど、どうしよう。
「よし、寝よっか」
「わんっ!」
家に戻る方法は起きてから考えます。
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