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巡り合い

第548話

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 幼児が腕を組んであれこれ悩む姿は可愛い。
 ほのぼのするよね。うん。

 隣にそれを見てデレンデレンする顔の怖い人がいなければもっと良い。
 視線が一直線に涼玉に向いているのだけど、もしやこの多頭の蛇の姿を持つ怖い人が涼玉の番とか言うのだろうか。

 生まれた瞬間から伴侶持ちってそんなのあり……ありえるな、うちの子は特に確率高い気がする。
 翡翠君なんかごめんね、せっかく弟が生まれたけれど、すぐに伴侶出来ちゃったっぽいから伴侶なしは翡翠君のみの状況は動かせそうにないや。

 いやいや早まるな僕、まだ番ってない。
 熱は一方通行で涼玉にその辺の知識も意識も存在しない!

「女神様、他の候補を挙げてみてもらっていいですか?」
「パッと思いつくのは『アペプ』っていう混沌を象徴する大蛇なんだけどさ、一つだけ問題がある」
『問題?』
「エジプト神話に登場する悪の化身で、太陽の邪魔をする悪神なんだよなぁ」

 そりゃ確かに駄目ですね、太陽の名を持つシャムスを害する存在をアー君が許すわけがない。

「太陽……シャムスの邪魔をする……駄目、絶対」

 目が据わったアー君が女神様をじとっと見つめる。

「へい、次ッスよね、えーと、えええと、マールス! マールスはいかがッスか!? ローマ神話に出てくる戦と豊穣の神で軍神でもあるんスよ!」

 女神様が超必死。

 しかし女神様の神話知識ってどこからくるんだろう?
 ゲームや漫画かな?

『まーるす』
「ま、まー、まっする!」
「ムキムキ感があっていいな」

 涼玉がちょっと間違えてるけどまぁいいかな、女神様からの視線も痛いし、子供達も特に異存はなさそうだ。

「決まった?」
『うん、マールス!』
「お前の名前はマールス!」
「俺のおとうとぶーん!」
「かわいい」

 頬を染めながらなんか言った気がする。

「我が命、貴方に捧げましょう」

 セリフはカッコイイと思う、ただ対象が涼玉、うちの涼玉ちゃんはいまだ卵の殻を付けた幼児ドラゴンなのですが。
 ショタコン?
 絵面が犯罪ですよ。

「よし、軍神なら武器とかいるよな!」
「強化だー!」

(さらばイツキ、私の仕事は終わりました)

 神速で女神様が逃走した。
 確かにお役目は終わったけれど、このカオスには最後まで付き合って欲しかったです。

「戦ならレイア様!」
「ちょーーっと待ったぁぁぁ!!」

 レイアさんを呼び出そうとしたアー君を止めたのは、スライディングで座敷に駆け込んできた騎士様だった。
 お仕事終わったのかな?
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