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巡り合い

第517話

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 人の姿を披露したグラちゃん。
 おヒゲが渋いワイルド系イケメンに女神様が鼻血を出すトラブルはあったものの、グラちゃんはその場で正式に刀国民に迎えられました。
 やったね。

 雷ちゃんが向こうで家庭を築いちゃったのもあるけれど、国民に与える好影響が大きいのが認められたみたい。
 邪神一家抱えているからね、騎士様にとって食糧問題は深刻です。

「いるだけで周囲に恵みをもたらすって、小説の聖女みたいだよなぁ」

 騎士様が精神的疲労で寝込みそうだったので話し合いは終了、僕はグラちゃんを伴って元の席に戻ったのですが、女神様がついてきた。
 スイーツ目当てかな?

「菜園で採れる野菜を使った料理を茶屋などで提供しているので、利益もがっぽがぽですよ」
「……神薙様の神社ってそんなのあったっけか?」

 それを言われるとちょっと悩む。
 たまに行くと改装&拡張されてるからなぁ、うちの子達は頻繁に遊びに行ってるみたいだけど。

「グラちゃんから採取できる薬草を使った薬膳スープが好評で、ヘラ母さんの所で作っている素麺を入れて食べるのが冒険者の間で流行ってますよ」
「収穫量が多いから春日の茶屋にも提供始めたって、おかげでメニューが増えたって喜んでた」
「春日様の茶屋?」
「冒険者の間では『もふもふ茶屋』って呼ばれて親しまれてる」

 また今度、騎士様に教えてあげなきゃね。
 それとも春日さんが言うかなぁ?

「双子の兄ちゃんどこだ? 俺らの武勇伝語りたい」
『たべあるき』
「俺をぐりぐりした後、お皿を装備して去ってった」
「遠征中は選り好み出来なかったからな、好きにさせてやれ」
「モールの相談もしたいね」
『うん!』
「もーる?」

 女神様が震える手で僕の肩を掴んだ。

(イツキちゃん、私達が不在の間に何がどれだけ増えたか、明日にでも主様がいる時に教えてほしいなぁって)
(はぁい)

 一人で抱える気力はないようだ。
 説明はアー君に任せよう、語りたがってるし。

「イツキ殿、これ剥いてくれぇ」
「いいよ」

 グラちゃんはあの後、突然血しぶきを上げた女神様に驚いて驚いてドラゴンに戻ってしまった。
 実の父親であるグラちゃんの人の姿を見て、涼玉は自分の将来がイケメンだという希望を抱いてきゃーきゃー悲鳴を上げていたのが可愛かったなぁ。

 みかんの皮をむいてからグラちゃんに渡すと、美味い美味いいいながらご機嫌で食べ始めた。
 それを見ていた子供達が、それぞれフルーツを持って一斉に刀雲に群がった。

『むいてー』
「俺も頼む」
「剥くがいい!」
「みゅみゅ!」
「俺は桃!」
「順番にな」

 品種改良もあって皮まで食べれるはずだけど、単に甘えたいだけだろうなぁあれは。

「旦那様のは私が剥きますよ」
「イネスは俺が」

 雷ちゃんとイネスはそれぞれ伴侶に回収されたようです。
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