上 下
495 / 1,127
保護者の居ぬ間に

第490話

しおりを挟む
 本日は雷ちゃんが夢の中に作った桜の咲く丘でお花見です。
 マンゴーはいいのかな?

「ドリちゃんにお願いしてお花見弁当も作ってもらったよ、唐揚げ多め」
「おおー美味そう」
『雷ちゃんこっちも』
「この餃子は俺らも手伝ったんだぜ」
「かぐや? 俺、涼玉、しんしゅのやくそー生えてるんだぞ」
「私も研究に携わっているよ、とても興味深い」

 今日はなんと!
 かぐやが初参加!

「母様パフェは?」
「見当たらない」
「デザートは最後」
「うむ、我が盛りつけたから楽しみにせよ」

 パフェを求めて僕の周りをうろうろする双子、アカーシャと手分けしてお弁当を並べるタイガ、僕の子供が大集合。
 刀雲をここにいつか呼べたらいいな。

「ヨムにいだっこー!」
「よし、こい!」

 きゃぁきゃぁと丘の上で子供達が自由に遊んでいる。
 雷ちゃんはそれを見ながらにこにこと幸せそうに笑っているけど、気のせいかどこか寂しそう。

「母上、母上、すごい、ヨムが涼玉抱っこした」
「ぬおおおおおおおお!!」
「うひゃひゃひゃ」

 顔真っ赤にしてぷるぷるしてるけど、確かにヨムちゃんが涼玉を両手で抱えて抱き上げている。
 かつてない快挙です、誰も抱っこ出来なかったのに!

『涼ちゃん重いの』
「夢の中でもあれが限界かー」
「ぐえ」

 あっ、ヨムちゃんが潰れた。

「ふふふ」

 それを見てかぐやがころころと笑う。
 かぐやは僕の子供のはずなんだけど、この上品さは誰に似たんだろう?

 あと身体が薄っすら光っている気がする。
 隣ではイネスが対抗するようにぺかーっと光を放っているけど、あの子は何を対抗しているんだろうか。

「はふー」
「イネスおいで、ご飯の前にブラッシングしよう」
「はい! アカーシャ、あとね、それが終わったら僕もお兄ちゃんとお揃いのリボンしたい!」
「用意してあるよ」

 魔力を消費して疲れたのだろう、ぐでっとしたイネスをアカーシャが回収した。

「タイガが作ったんだっけ、このロイヤルブルーのリボン」
「うむ」
「わふ!」

 お互いのリボンを褒めあっていた三匹が満足したのか合流した。

『みんなお揃いね』
「雷はどこにつける?」
「そうだなぁ」
「俺は尻尾!」

 ころころした幼児が四人揃った……眼福、眼福。

「用意できたよー」
『きゃーー!』
「飯だー!」
「涼玉はこっちだ」
「うお?」

 ……僕は見た。
 いや、僕以外も全員見た。

 タイガが片手で涼玉を持ち上げる瞬間を。

 さすが魔王代理、握力が凄い。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ側妃は敵国のイケメン王に味見されてしまう

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

王子様のご帰還です

小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。 平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。 そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。 何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!? 異世界転移 王子×王子・・・? こちらは個人サイトからの再録になります。 十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...