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保護者の居ぬ間に
第489話
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家に帰ったらすっごい泣かれた。
『があじゃまぁぁぁ』
「……ぐす」
「びぃぃぃ」
すぐ帰ってくるつもりだったんだけど、迷うわトラブルに巻き込まれるわで遅くなりました。
誠に遺憾です。
『……いい匂いするの』
「あ、本当だ」
「甘いものとソーセージの匂い」
泣き止んだと思ったら三人がかりで匂いを嗅がれる羽目に。
残念王子アランに色々奢ってもらったから、その匂いが付いているんだろうな。
幼児の目線が痛い痛い。
『ずるいのー』
「明日は屋台巡り」
「城下はじめて」
明日の予定が決定しました。
そして夕食は皆で作ることに。
何が良いだろうか、皆で作れるもの、シャムスが参加するからこねる系は危険。
そう言えばフランクフルトを食べながら、中華食べたいって思ったんだよね。
「餃子、包子、焼売、小籠包、どれを作ろうかな」
『全部!』
「うん、全部作ろうぜ!」
「ぎゃぅ!」
三人の涎が凄いことに。
全部を僕らで作るのは大変、なので比較的手伝いやすい餃子を担当することにしました。
「まずシャムスと涼玉はスプーン担当」
『あい』
「がぅ」
「アー君は僕と一緒に包む係ね」
「うまくできるかなぁ?」
「アカーシャぐらいに変化すれば手先も使いやすいと思うよ」
「そっか」
ほいっと簡単に変化したアー君の隣に涼玉、僕の隣にシャムスがスタンバイ。
餃子の具はこの時点でセット済み、シャムスにメリベル、涼玉にドリアンが補佐としてついた所で始めます。
『メリベルこのぐらいでいーい?』
「はい、お上手です」
僕が持った餃子の皮にシャムスが具をのせ、僕が包む。
メリベルに褒められたのに照れながら、次も次もとせかされるけど、僕もそこまで早く包めない。
「メリベルごめん、一緒に包んで」
「はい」
一皿作っても神薙さんにかかれば一瞬だから、どれだけ大量に作っても問題ない。
具もたっぷりあるので、シャムスが飽きるまで付き合えるよ。
「にいちゃいくぜ」
「よし来い」
ひゅんっ
一方、隣のペアは力加減が上手くいかなかったようだ。
具をすくったスプーンを勢いよく振り下ろしたため、スプーンは涼玉の手を離れ、アー君の頬をかすめて庭に飛んで行った。
「……」
「がぅー」
スプーンは縁側で待機していた掃除部隊のスラちゃんがキャッチしてくれました。
「もう一回」
「うん、今度はそっとな」
「わかった」
そっとの加減が分からなかったのか、涼玉が助けを求めてドリアンを見上げるとそっと涼玉にスプーンを持たせ、具をすくい、アー君の持つ皮の上に具を乗せた。
「こういうの本当はタイガが得意なんだよな」
悪戦苦闘しながらひだを作るアー君、大丈夫、僕も苦手だから!
メリベルはあっという間に習得してシャムスがきゃっきゃと喜びながら具を乗せている。
「よし、自分でやってみる」
「ハイ」
ドリアンの補助で自信をつけた涼玉がもう一度挑戦するようだ。
「にいちゃん行くぜ!」
「よし」
そーっとそーっとと繰り返しながら涼玉が具を皮に乗せ、手慣れてきたアー君が包み込む。
「ふーーー!」
「ぎゃーーー!」
成功に安堵した涼玉が盛大に息を吐きだしたら、その息でアー君が吹き飛ばされたのですが。
手に持っていた餃子ごとスラちゃんが受け止めたので大事には至らず、アー君を抱き起したドリアンがさっと餃子を回収してお皿に乗せていた。
「にいちゃごめんっ!!」
「大丈夫、大丈夫」
くしゃみで炎を吐き出したり、息で兄弟を吹き飛ばしたり。
涼玉の力が危険な予感。
ギャグで済んでいるうちに力の制御誰かに相談した方がいいかもしれないなー。
『があじゃまぁぁぁ』
「……ぐす」
「びぃぃぃ」
すぐ帰ってくるつもりだったんだけど、迷うわトラブルに巻き込まれるわで遅くなりました。
誠に遺憾です。
『……いい匂いするの』
「あ、本当だ」
「甘いものとソーセージの匂い」
泣き止んだと思ったら三人がかりで匂いを嗅がれる羽目に。
残念王子アランに色々奢ってもらったから、その匂いが付いているんだろうな。
幼児の目線が痛い痛い。
『ずるいのー』
「明日は屋台巡り」
「城下はじめて」
明日の予定が決定しました。
そして夕食は皆で作ることに。
何が良いだろうか、皆で作れるもの、シャムスが参加するからこねる系は危険。
そう言えばフランクフルトを食べながら、中華食べたいって思ったんだよね。
「餃子、包子、焼売、小籠包、どれを作ろうかな」
『全部!』
「うん、全部作ろうぜ!」
「ぎゃぅ!」
三人の涎が凄いことに。
全部を僕らで作るのは大変、なので比較的手伝いやすい餃子を担当することにしました。
「まずシャムスと涼玉はスプーン担当」
『あい』
「がぅ」
「アー君は僕と一緒に包む係ね」
「うまくできるかなぁ?」
「アカーシャぐらいに変化すれば手先も使いやすいと思うよ」
「そっか」
ほいっと簡単に変化したアー君の隣に涼玉、僕の隣にシャムスがスタンバイ。
餃子の具はこの時点でセット済み、シャムスにメリベル、涼玉にドリアンが補佐としてついた所で始めます。
『メリベルこのぐらいでいーい?』
「はい、お上手です」
僕が持った餃子の皮にシャムスが具をのせ、僕が包む。
メリベルに褒められたのに照れながら、次も次もとせかされるけど、僕もそこまで早く包めない。
「メリベルごめん、一緒に包んで」
「はい」
一皿作っても神薙さんにかかれば一瞬だから、どれだけ大量に作っても問題ない。
具もたっぷりあるので、シャムスが飽きるまで付き合えるよ。
「にいちゃいくぜ」
「よし来い」
ひゅんっ
一方、隣のペアは力加減が上手くいかなかったようだ。
具をすくったスプーンを勢いよく振り下ろしたため、スプーンは涼玉の手を離れ、アー君の頬をかすめて庭に飛んで行った。
「……」
「がぅー」
スプーンは縁側で待機していた掃除部隊のスラちゃんがキャッチしてくれました。
「もう一回」
「うん、今度はそっとな」
「わかった」
そっとの加減が分からなかったのか、涼玉が助けを求めてドリアンを見上げるとそっと涼玉にスプーンを持たせ、具をすくい、アー君の持つ皮の上に具を乗せた。
「こういうの本当はタイガが得意なんだよな」
悪戦苦闘しながらひだを作るアー君、大丈夫、僕も苦手だから!
メリベルはあっという間に習得してシャムスがきゃっきゃと喜びながら具を乗せている。
「よし、自分でやってみる」
「ハイ」
ドリアンの補助で自信をつけた涼玉がもう一度挑戦するようだ。
「にいちゃん行くぜ!」
「よし」
そーっとそーっとと繰り返しながら涼玉が具を皮に乗せ、手慣れてきたアー君が包み込む。
「ふーーー!」
「ぎゃーーー!」
成功に安堵した涼玉が盛大に息を吐きだしたら、その息でアー君が吹き飛ばされたのですが。
手に持っていた餃子ごとスラちゃんが受け止めたので大事には至らず、アー君を抱き起したドリアンがさっと餃子を回収してお皿に乗せていた。
「にいちゃごめんっ!!」
「大丈夫、大丈夫」
くしゃみで炎を吐き出したり、息で兄弟を吹き飛ばしたり。
涼玉の力が危険な予感。
ギャグで済んでいるうちに力の制御誰かに相談した方がいいかもしれないなー。
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