437 / 1,127
保護者の居ぬ間に
第433話
しおりを挟む
三匹はお土産に絵柄の違う竹櫛を選び、ブラッシングの仕上げに使ってねと視線でお願いされた。
ええ喜んで。
『ぼくはこれかなー?』
シャムスは悩みに悩んでガマ口財布、両手でちょうど持てるタイプで右隅に「忍」と一文字、これはイブとお揃いらしく、理由を知ったイブがその場で崩れ落ちていた。
「僕はこれと、こっちも」
「授業に使うやつだろ? 一緒に買ってやるって」
「いえ、佐助があっちで胸を叩いているので」
「ああ」
アカーシャは刀ペン。
他にもノートとメモ帳を選び、こちらはレジにいる佐助に渡していた。
あの子はアカーシャに貢ぐのが喜びだからねー。
「俺はこれ!」
アー君は希望通り番傘、家に帰って魔改造するつもりらしい。
ようやく落ち着いたのかスライムにお礼を言いながら春日さんに渡していた。
「おれはこれ」
涼玉は折り畳み式の鎌。
背中に生える草をこれで刈ることを希望されました。
それ雑草じゃなくて薬草らしいよ、前教皇様に売ればお小遣い稼ぎ出来るはず。
「イブは何か欲しいものはあるの?」
「え?」
「僕の代わりに何か選んで欲しいな」
正直、僕は寿司Tシャツで胸やけを起こしているので、今は何も選びたくない。
「あの、本当に?」
「うんいいよ」
遠慮しながらも目がキラキラしているのが丸分かりだ。
「えっと、じゃあ……これをお願いします」
可愛くそっと差し出された動作は可愛かったけれど、差し出されたものは可愛くなかった。
手甲鉤が仕込まれた手甲。
イブは何と戦うつもりなんだろう。
欲しいものを手に入れた子供達が春日さんにお礼を言いながら、それぞれの商品を受け取っている。
汚さないようにとすぐにアイテムボックスに入れている、もちろんあのTシャツも一緒に。
刀雲が帰ったらまた皆で来たい、その頃にはメニューの種類も増えているかなぁ。
「春日殿、ちょっと良いか?」
「おう。少し外すから、食事してたあの席で待っててくれ」
「はぁい」
白熊さんとともに店の奥に消えた春日さんを見送り、店を出て言われた通り子供達と席に向かう。
『釣りしちゃダメ?』
「ダメだろうな」
「つかみ取りは?」
「それもダメだろ」
「「わふわふ」」
「いや、泳ぐのなんて言語道断だと思う」
アー君が一人でツッコミ役をこなしている。
「アカーシャも何か言ってやって……あ?」
「え? あれ?」
アカーシャが、居ない。
『アカーシャ?』
新緑に囲まれた穏やかな光景には何も変化はない。
ただアカーシャの姿だけが消えていた。
ええ喜んで。
『ぼくはこれかなー?』
シャムスは悩みに悩んでガマ口財布、両手でちょうど持てるタイプで右隅に「忍」と一文字、これはイブとお揃いらしく、理由を知ったイブがその場で崩れ落ちていた。
「僕はこれと、こっちも」
「授業に使うやつだろ? 一緒に買ってやるって」
「いえ、佐助があっちで胸を叩いているので」
「ああ」
アカーシャは刀ペン。
他にもノートとメモ帳を選び、こちらはレジにいる佐助に渡していた。
あの子はアカーシャに貢ぐのが喜びだからねー。
「俺はこれ!」
アー君は希望通り番傘、家に帰って魔改造するつもりらしい。
ようやく落ち着いたのかスライムにお礼を言いながら春日さんに渡していた。
「おれはこれ」
涼玉は折り畳み式の鎌。
背中に生える草をこれで刈ることを希望されました。
それ雑草じゃなくて薬草らしいよ、前教皇様に売ればお小遣い稼ぎ出来るはず。
「イブは何か欲しいものはあるの?」
「え?」
「僕の代わりに何か選んで欲しいな」
正直、僕は寿司Tシャツで胸やけを起こしているので、今は何も選びたくない。
「あの、本当に?」
「うんいいよ」
遠慮しながらも目がキラキラしているのが丸分かりだ。
「えっと、じゃあ……これをお願いします」
可愛くそっと差し出された動作は可愛かったけれど、差し出されたものは可愛くなかった。
手甲鉤が仕込まれた手甲。
イブは何と戦うつもりなんだろう。
欲しいものを手に入れた子供達が春日さんにお礼を言いながら、それぞれの商品を受け取っている。
汚さないようにとすぐにアイテムボックスに入れている、もちろんあのTシャツも一緒に。
刀雲が帰ったらまた皆で来たい、その頃にはメニューの種類も増えているかなぁ。
「春日殿、ちょっと良いか?」
「おう。少し外すから、食事してたあの席で待っててくれ」
「はぁい」
白熊さんとともに店の奥に消えた春日さんを見送り、店を出て言われた通り子供達と席に向かう。
『釣りしちゃダメ?』
「ダメだろうな」
「つかみ取りは?」
「それもダメだろ」
「「わふわふ」」
「いや、泳ぐのなんて言語道断だと思う」
アー君が一人でツッコミ役をこなしている。
「アカーシャも何か言ってやって……あ?」
「え? あれ?」
アカーシャが、居ない。
『アカーシャ?』
新緑に囲まれた穏やかな光景には何も変化はない。
ただアカーシャの姿だけが消えていた。
20
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。
竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。
溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。
みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。
囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。
サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。
真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。
☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正
⭐残酷表現あります。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる