432 / 1,127
保護者の居ぬ間に
第428話
しおりを挟む
一見平和な茶屋。
その実態は――
「聞いてくれよ、うちの旦那様、この国に奴隷を連れてくる事が出来ないからって、使用人って扱いにして連れて来てるんだけどさ、目的はダンジョンで囮にするため。
今はまだ傭兵が雇えないからその子も無事だけどさ、このままじゃ……どうしよう、教えてくれよもふもふ!!」
「俺さ、ある貴族に仕えているんだ。国では孤児院に慰問や寄付を惜しみなくするし、炊き出しにも積極的に参加する聖女だと讃えられているような人なんだけど、裏の顔は少年を性奴隷として慰み者にしてて、最近では獣人にも手を出してるんだよ、この国にだって獣人や孤児を物色しにきたようなものなんだ。
こんな事、他では喋れない、今日は話を聞いてくれてありがとうな――スライム」
「いやぁ君可愛いねぇ、うちの娘も可愛い盛りだったんだけど、どうもね、頭を打ってからおかしくなっちゃってね、「自分はヒロインなんだ」って王太子やその側近に近寄って、婚約者に喧嘩を売った挙句、えん罪を吹っ掛けようとして女神の怒りに触れて国外追放されたんだよ。
女神様の采配で私達家族には罰はなかったけど、追放された後、この国に向かったって聞いてね、胃から血を吐く前に片をつけようと探しに来たんだぁ」
…………こんな話がホイホイ聞ける危険地帯です。
えっ、今日って初日だよね?
なんで初っ端からあんな暗殺待ったなしなお話が横行してるの?
最後のおじさま、貴方がぺらぺら喋っている相手はうちの子で、将来の夢は忍者なイブちゃんですよ!
あとそのヒロインの話もうちょっと詳しく、うちの子と関わったらろくな事にならない気がするんです、あとあとあと、なんでこんなに鮮明に声聞こえるの?
思わず春日さんを見たらいい笑顔でサムズアップされました。
貴方が仕込み人なんですね、そうですか。
ただの平和な茶屋だと思った過去の僕、それ間違いだよ、連れ込み茶屋の皮をかぶった諜報機関の施設だわ。
そりゃイブが喜んで働きますよね、むしろ働かせろと駄々こねた可能性すらある。
あっ佐助みっけ、アカーシャに駆け寄ろうとして白熊さんに捕獲された。
日雇い辞めてここ一本にしたのかな。
「ダロスは定職をゲット、イブは趣味と実益を思う存分堪能、穢れた大人達は癒されついでに口外しちゃいけない情報をもふもふズやスライムに愚痴り、会話はこの席に座った諜報員に記録されたり、裏どりからの邪神のお宅訪問が実現しちゃったり、楽しいな!」
『春日えげちゅない』
「お前、何気に諜報活動大好きだもんな、イブとそりゃ気が合うわ」
「ガゥ」
情報収集担当のお方でしたか。
あれ、じゃあイブが忍者に必要以上に詳しかったり、衣装を改良したり、諜報活動に詳しかったりするのは女神様じゃなく春日さんが関わってる?
むしろ指導とかしちゃってます?
「もふもふズやスライムが相手なら、誰かに内容を告げることもないって思うだろうし、この通り情報漏洩し放題」
「これ全部他国の人ですよね、どうするんですか?」
「そうだなぁ、一人目は奴隷の性別と年齢次第で対応が変わるだろ」
『女の子だと思うの』
「それか成人してるだろ、守護神の守備範囲外なのは確実だよな」
「じゃあヘラの所かな」
もしかして今の会話で処遇決まった?
「二人目はこの国で行動される前に始末しないと割と本気でヤバイ案件だよな」
「刀国で誘拐事件企むとか、自殺願望でもある方なのでしょうか?」
「後始末が楽な今のうちに片を付けたい、こう、おーい、こうちゃーん」
「!」
お腹が膨らんでお昼寝していたこうちゃんが名前を呼ばれて飛び起きた。
「たまにはお仕事しような」
「キィ」
返事が返ってきたけど凄い嫌そう。
「ヒロイン症候群はどうするかなぁ、あれは女神が好きな案件だから放っておきたい」
「特に今の学園は王道メンバー勢ぞろいですからね」
女神様が帰還するまで命があるかはまた別の話だけどね、でもどうやって入国したんだろう、ヒロイン特有の魅了でも使ったのかなぁ?
その実態は――
「聞いてくれよ、うちの旦那様、この国に奴隷を連れてくる事が出来ないからって、使用人って扱いにして連れて来てるんだけどさ、目的はダンジョンで囮にするため。
今はまだ傭兵が雇えないからその子も無事だけどさ、このままじゃ……どうしよう、教えてくれよもふもふ!!」
「俺さ、ある貴族に仕えているんだ。国では孤児院に慰問や寄付を惜しみなくするし、炊き出しにも積極的に参加する聖女だと讃えられているような人なんだけど、裏の顔は少年を性奴隷として慰み者にしてて、最近では獣人にも手を出してるんだよ、この国にだって獣人や孤児を物色しにきたようなものなんだ。
こんな事、他では喋れない、今日は話を聞いてくれてありがとうな――スライム」
「いやぁ君可愛いねぇ、うちの娘も可愛い盛りだったんだけど、どうもね、頭を打ってからおかしくなっちゃってね、「自分はヒロインなんだ」って王太子やその側近に近寄って、婚約者に喧嘩を売った挙句、えん罪を吹っ掛けようとして女神の怒りに触れて国外追放されたんだよ。
女神様の采配で私達家族には罰はなかったけど、追放された後、この国に向かったって聞いてね、胃から血を吐く前に片をつけようと探しに来たんだぁ」
…………こんな話がホイホイ聞ける危険地帯です。
えっ、今日って初日だよね?
なんで初っ端からあんな暗殺待ったなしなお話が横行してるの?
最後のおじさま、貴方がぺらぺら喋っている相手はうちの子で、将来の夢は忍者なイブちゃんですよ!
あとそのヒロインの話もうちょっと詳しく、うちの子と関わったらろくな事にならない気がするんです、あとあとあと、なんでこんなに鮮明に声聞こえるの?
思わず春日さんを見たらいい笑顔でサムズアップされました。
貴方が仕込み人なんですね、そうですか。
ただの平和な茶屋だと思った過去の僕、それ間違いだよ、連れ込み茶屋の皮をかぶった諜報機関の施設だわ。
そりゃイブが喜んで働きますよね、むしろ働かせろと駄々こねた可能性すらある。
あっ佐助みっけ、アカーシャに駆け寄ろうとして白熊さんに捕獲された。
日雇い辞めてここ一本にしたのかな。
「ダロスは定職をゲット、イブは趣味と実益を思う存分堪能、穢れた大人達は癒されついでに口外しちゃいけない情報をもふもふズやスライムに愚痴り、会話はこの席に座った諜報員に記録されたり、裏どりからの邪神のお宅訪問が実現しちゃったり、楽しいな!」
『春日えげちゅない』
「お前、何気に諜報活動大好きだもんな、イブとそりゃ気が合うわ」
「ガゥ」
情報収集担当のお方でしたか。
あれ、じゃあイブが忍者に必要以上に詳しかったり、衣装を改良したり、諜報活動に詳しかったりするのは女神様じゃなく春日さんが関わってる?
むしろ指導とかしちゃってます?
「もふもふズやスライムが相手なら、誰かに内容を告げることもないって思うだろうし、この通り情報漏洩し放題」
「これ全部他国の人ですよね、どうするんですか?」
「そうだなぁ、一人目は奴隷の性別と年齢次第で対応が変わるだろ」
『女の子だと思うの』
「それか成人してるだろ、守護神の守備範囲外なのは確実だよな」
「じゃあヘラの所かな」
もしかして今の会話で処遇決まった?
「二人目はこの国で行動される前に始末しないと割と本気でヤバイ案件だよな」
「刀国で誘拐事件企むとか、自殺願望でもある方なのでしょうか?」
「後始末が楽な今のうちに片を付けたい、こう、おーい、こうちゃーん」
「!」
お腹が膨らんでお昼寝していたこうちゃんが名前を呼ばれて飛び起きた。
「たまにはお仕事しような」
「キィ」
返事が返ってきたけど凄い嫌そう。
「ヒロイン症候群はどうするかなぁ、あれは女神が好きな案件だから放っておきたい」
「特に今の学園は王道メンバー勢ぞろいですからね」
女神様が帰還するまで命があるかはまた別の話だけどね、でもどうやって入国したんだろう、ヒロイン特有の魅了でも使ったのかなぁ?
20
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。
竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。
溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。
みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。
囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。
サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。
真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。
☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正
⭐残酷表現あります。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる