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ダンジョン

第348話

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 シャムスが一緒にいるおかげか、ヴァルの過保護が加速した。

「イツキ、シャムス様、こっち」

 護衛団を編成したと言ってお城のバルコニーに案内され、見下ろした広場に並んでいたのは亜人や獣人で組織された騎士団だった。

 僕が思っている以上に知性レベル高くない?
 ドリアード事件の時ぐらいの速度で急激に進化している気がする。

『すごいねぇ』

 ヴァルの腕に抱かれたシャムスが手を振ると、一斉に咆哮を挙げて空気を震わせた。
 統率もばっちり、いつでも戦争できるぐらい戦意高そう、いや僕とシャムスの護衛のために編成されたのだから心配はない、ハズ。

 今は家族を作ってほのぼのと暮らしているけれど、僕がここから立ち去った後もこのほのぼのが続く保証はない。
 何せドリちゃんの前例があるからなぁ。

 これは安易に地上に戻れないぞ、さて困った。
 誰に相談するのが良いかな、と言っても連絡取れるの女神様しかいないか。

(と言う訳で、どうしたら良いですか?)
(連絡くれて嬉しいぜ)

 疲れたような声の女神様から返答が返って来た。

(その件で色々話し合いが行われてな、イツキ、50層まで上がって来れるか?)
(待ち伏せして討伐とか困ります)
(討伐不可能って判断された。割と本気でどうにもならないらしい)

 シャムス、アー君、雷ちゃん、君達何を作り出したの?

 悩むのは後にして、とりあえず指定場所まで連れて行ってもらおう。
 
「ヴァル、ちょっといい?」
「イツキどうした?」

 騎士団の見学後、お庭を散歩しながらヴァルに話を持ち掛けた。

「……」
「騙し討ちするとかはないみたい、討伐不可って判断されたって女神様が言ってたから」
「むぅ、蜜月を続けるためにも行くしかないか」

 うぅん僕を地上に返す気なさそうだなぁ、ヴァルから僕を無理に取り上げようとしても危険だろうし、どうするつもりだろう。
 どこかの神話みたいに行ったり来たりの生活になるとか?

「俺も、俺も一緒に帰っていいですよね?」

 焦りつつ聞いてきたのはガルーダです、いやぁ、どうだろう、ガルーダは子守り要員として皆に愛されてるからなぁ。
 今も背後から遊べ遊べと小突かれているし。

『ガルーダどうしよっか』
「連れて行ってくださいよぉぉ」
「のこれよ、えんりょすんな!」
「そうだそうだ」
「翼のお手入れしてやるから」
「木の実好きでしょ、食べ放題だぜ」
「やめてー、口元に押し付けないでー」

 要話し合いってことで。

 ダンジョン丸ごと消滅させたり、全面戦争は回避したいなぁ、だってこの子達に愛着わいちゃったんだもの。
 もちろんヴァルにも。

 考えが甘いと言われても僕は誰にも怪我してほしくない、なるべく平和的解決をしてほしい。

「イツキを奪うなら戦うのみ」

 駄目かもしれない。
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