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ダンジョン
第344話 シャムスの大冒険 前編
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イツキが天彗龍に攫われて数日、縁側にむすーっと頬を膨らませているシャムスの姿があった。
『母様お迎えに行きたいのに』
元凶を作った幼児三人組は外出禁止を言いつけられ、常にもふもふズの監視が付いている。
監視と言っても敷地から出ないように見張るのはついでで、イツキの代わりに子守りをするのがメインの仕事だ。
本来なら保護者がやるべき仕事だが、彼らは総出でダンジョン攻略に挑んでいるので昼間は留守にしている。
いつもなら食っちゃ寝している神薙もダンジョンに行っていて不在、アカーシャ達は学園通いがあるので昼間は不在、子守りを任じられたのが数が居て自由の利くもふもふズだった。
ご飯とおやつを食べさせ、お昼寝に添い寝して、毛繕いで身嗜みを整える。
暇だと転がればそのまま転がして遊ばせ、ねだられれば絵本を読んだり読むのを聞いたり、運動不足にならないように駆けっこにも付き合えば釣りだってやる。
屋敷を取り巻く緊迫した空気とは裏腹に、もふもふズは久々にのんびりした時間を過ごしていた。
騎士団に交じって仕事するのもいいけれど、御子らの世話をする日常もいいよなぁ、そう言えば最近忙しくてイツキ様にもふってもらってないかも。そんな事を思いながら子守りをする毎日。
元凶を作ったアルジュナと雷は調理場の奥にある部屋にこもっていた。
この部屋の外には常にドリちゃんとドリアンがいるため、屋敷内で唯一もふもふズの監視がない、隠れて何かを企む事に非常に適しているのだ。
「イブ、どうだ?」
「状況は変わらず、下層に通じる道は見つかっていません」
「じゃあ材料も揃ったし、やるかー」
外出禁止で監視が付いているのは幼児三人組、普段屋根裏で隠密行動をしているイブはフリー、そもそもあの事件に関わっていない。
だから誰もイブの行動は制限しておらず、アルジュナと雷はそれを逆手に取って情報収集を頼んでいた。
おかげで大人の動きは筒抜けだった。
「まずスピードは絶対、主やレイア様を振り切らなきゃいけないからな」
「攻撃力より防御力を伸ばそう」
「あの」
「どうした?」
「イツキ様はご無事でしょうか」
「いつも通りだったと、駄女神が言っていた。いつもの調子でモンスターを懐柔したのなら、恐ろしい目には合っていないハズ」
「でもなぁ、手は出されてそうだな」
雷ちゃん大正解である。
「アイツは賢い、主やレイアの前には絶対に姿を現さない、ただばーばは何度か遭遇しているみたいだな」
「攻撃しても反撃もせずに無視される。恐らく、母上の祖母だと理解している」
二人が挑もうとしているのは勝率の低い賭け。
「この作戦は博打だ。失敗すれば即死しなくても大怪我をするぞ」
「大丈夫だ。我の本体は別にある、死んでも力の一部が消滅するだけだ」
無害な幼児を演じて天彗龍に保護してもらい、最下層のイツキの所まで連れて行ってもらう。それがアルジュナと雷が考えた作戦である。
異世界では通用しないだろう、だけどこの世界なら常識通じないからいけるかも。と思ったのだ。
『僕が行くの』
入口でピシッと手を挙げたのはシャムスだった。
『母様お迎えに行きたいのに』
元凶を作った幼児三人組は外出禁止を言いつけられ、常にもふもふズの監視が付いている。
監視と言っても敷地から出ないように見張るのはついでで、イツキの代わりに子守りをするのがメインの仕事だ。
本来なら保護者がやるべき仕事だが、彼らは総出でダンジョン攻略に挑んでいるので昼間は留守にしている。
いつもなら食っちゃ寝している神薙もダンジョンに行っていて不在、アカーシャ達は学園通いがあるので昼間は不在、子守りを任じられたのが数が居て自由の利くもふもふズだった。
ご飯とおやつを食べさせ、お昼寝に添い寝して、毛繕いで身嗜みを整える。
暇だと転がればそのまま転がして遊ばせ、ねだられれば絵本を読んだり読むのを聞いたり、運動不足にならないように駆けっこにも付き合えば釣りだってやる。
屋敷を取り巻く緊迫した空気とは裏腹に、もふもふズは久々にのんびりした時間を過ごしていた。
騎士団に交じって仕事するのもいいけれど、御子らの世話をする日常もいいよなぁ、そう言えば最近忙しくてイツキ様にもふってもらってないかも。そんな事を思いながら子守りをする毎日。
元凶を作ったアルジュナと雷は調理場の奥にある部屋にこもっていた。
この部屋の外には常にドリちゃんとドリアンがいるため、屋敷内で唯一もふもふズの監視がない、隠れて何かを企む事に非常に適しているのだ。
「イブ、どうだ?」
「状況は変わらず、下層に通じる道は見つかっていません」
「じゃあ材料も揃ったし、やるかー」
外出禁止で監視が付いているのは幼児三人組、普段屋根裏で隠密行動をしているイブはフリー、そもそもあの事件に関わっていない。
だから誰もイブの行動は制限しておらず、アルジュナと雷はそれを逆手に取って情報収集を頼んでいた。
おかげで大人の動きは筒抜けだった。
「まずスピードは絶対、主やレイア様を振り切らなきゃいけないからな」
「攻撃力より防御力を伸ばそう」
「あの」
「どうした?」
「イツキ様はご無事でしょうか」
「いつも通りだったと、駄女神が言っていた。いつもの調子でモンスターを懐柔したのなら、恐ろしい目には合っていないハズ」
「でもなぁ、手は出されてそうだな」
雷ちゃん大正解である。
「アイツは賢い、主やレイアの前には絶対に姿を現さない、ただばーばは何度か遭遇しているみたいだな」
「攻撃しても反撃もせずに無視される。恐らく、母上の祖母だと理解している」
二人が挑もうとしているのは勝率の低い賭け。
「この作戦は博打だ。失敗すれば即死しなくても大怪我をするぞ」
「大丈夫だ。我の本体は別にある、死んでも力の一部が消滅するだけだ」
無害な幼児を演じて天彗龍に保護してもらい、最下層のイツキの所まで連れて行ってもらう。それがアルジュナと雷が考えた作戦である。
異世界では通用しないだろう、だけどこの世界なら常識通じないからいけるかも。と思ったのだ。
『僕が行くの』
入口でピシッと手を挙げたのはシャムスだった。
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