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ダンジョン
第336話
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熱く語り続ける女神様の前にお茶とドリアンを一体置き、僕はさっさと逃げ出した。
ああ疲れた。
『こーねこーねこーねこねー』
「雷、こんな感じか?」
「そうそう、出来たら骨に魔力流して……っげ」
庭に出て子供たちの所に来たら何かやってた。
シャムスは何かをこね、アー君は魚の骨を磨き、雷ちゃんはキラキラした石を小さな手の中で転がしている。
何をやっているんだろうかこの子達は。
『電撃スライムかんせーなのー』
『どうしよう、母上の笑顔がアカーシャ並みに怖い!』
『隠せ!』
怒られるような事をしていたのだろう、僕が接近したのに気付くとアー君と雷ちゃんが手に持っていたものを慌てて隠そうとしたのだけど……隠す過程でシャムスが持っているスライムと触れてしまったのだろう、ッカと光が弾けて次の瞬間にはミニドラゴンが誕生していた。
いや、何を混ぜたらドラゴンが生まれるの?
漆黒の鱗で覆われた体躯、紅く燃え上がる翼、あと全体的なデザインがモンスターを狩るあのゲームのイメージっぽい。
アー君を見たら目が泳いでいた。
「あ、成功した」
『動くかなー?』
『やべぇぇぇ、おやつカットされるかもしれない』
すごいすごいと称賛するシャムスと雷ちゃん、アー君は頭を抱えて絶望し始めた。
「……この子、凄い勢いで巨大化してない?」
すでに虎サイズなんですが。
『あれー?』
「うん、アー君、あれダンジョンに放り込もう」
「今近付けないと思う」
「あーーーー」
あの、我が家は現在戦力となる方々が、もふもふズも含めて出払っておりまして、対処できる人いないのですよ。
衛兵さんも敷地内にはいるけれど、基本的に居住区には入って来ないし、偶然通りすがったとしてこれに敵うとは思えない。
女神様はいるけど戦闘力の面でも役に立たない。
「すげーー! 天彗龍じゃん!」
余計な一言なら天下一品、この辺はさすが騎士様の部下って言えばいいのかな。
女神により名を与えられたモンスターは一瞬にして屋根の高さを越す大きさになった。
幸いと言うか、子供達は池近くにいたので、トラちゃんとお嫁さんが池に引きずり込んで保護してくれた。
水帝の加護持ちだから溺れる心配はない。
色を決めてなかったのだろう、色彩の無いガラスのような透明な瞳が僕を捉えている。
どうしよう、怖い。
え、ピンチ?
この世界で最も安全だった場所で生命の危機?
ドリちゃんがツルを伸ばして僕を保護する寸前。
GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
幼児三人組が形を与え、女神様によって名を与えられたモンスターは空高く舞い上がった。
その手に僕を掴んで。
『かあしゃまーーーー!』
「嘘だろオイ!」
「降りろ、戻れ! ってなんで創造主の声届かないんだよ!」
子供たちの声がどんどん遠くなる。
「全員おやつ抜きーーーー!!」
僕の声が届いたのだろう、地上からさっきとは別の悲鳴が聞こえてきた。
ああ疲れた。
『こーねこーねこーねこねー』
「雷、こんな感じか?」
「そうそう、出来たら骨に魔力流して……っげ」
庭に出て子供たちの所に来たら何かやってた。
シャムスは何かをこね、アー君は魚の骨を磨き、雷ちゃんはキラキラした石を小さな手の中で転がしている。
何をやっているんだろうかこの子達は。
『電撃スライムかんせーなのー』
『どうしよう、母上の笑顔がアカーシャ並みに怖い!』
『隠せ!』
怒られるような事をしていたのだろう、僕が接近したのに気付くとアー君と雷ちゃんが手に持っていたものを慌てて隠そうとしたのだけど……隠す過程でシャムスが持っているスライムと触れてしまったのだろう、ッカと光が弾けて次の瞬間にはミニドラゴンが誕生していた。
いや、何を混ぜたらドラゴンが生まれるの?
漆黒の鱗で覆われた体躯、紅く燃え上がる翼、あと全体的なデザインがモンスターを狩るあのゲームのイメージっぽい。
アー君を見たら目が泳いでいた。
「あ、成功した」
『動くかなー?』
『やべぇぇぇ、おやつカットされるかもしれない』
すごいすごいと称賛するシャムスと雷ちゃん、アー君は頭を抱えて絶望し始めた。
「……この子、凄い勢いで巨大化してない?」
すでに虎サイズなんですが。
『あれー?』
「うん、アー君、あれダンジョンに放り込もう」
「今近付けないと思う」
「あーーーー」
あの、我が家は現在戦力となる方々が、もふもふズも含めて出払っておりまして、対処できる人いないのですよ。
衛兵さんも敷地内にはいるけれど、基本的に居住区には入って来ないし、偶然通りすがったとしてこれに敵うとは思えない。
女神様はいるけど戦闘力の面でも役に立たない。
「すげーー! 天彗龍じゃん!」
余計な一言なら天下一品、この辺はさすが騎士様の部下って言えばいいのかな。
女神により名を与えられたモンスターは一瞬にして屋根の高さを越す大きさになった。
幸いと言うか、子供達は池近くにいたので、トラちゃんとお嫁さんが池に引きずり込んで保護してくれた。
水帝の加護持ちだから溺れる心配はない。
色を決めてなかったのだろう、色彩の無いガラスのような透明な瞳が僕を捉えている。
どうしよう、怖い。
え、ピンチ?
この世界で最も安全だった場所で生命の危機?
ドリちゃんがツルを伸ばして僕を保護する寸前。
GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
幼児三人組が形を与え、女神様によって名を与えられたモンスターは空高く舞い上がった。
その手に僕を掴んで。
『かあしゃまーーーー!』
「嘘だろオイ!」
「降りろ、戻れ! ってなんで創造主の声届かないんだよ!」
子供たちの声がどんどん遠くなる。
「全員おやつ抜きーーーー!!」
僕の声が届いたのだろう、地上からさっきとは別の悲鳴が聞こえてきた。
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