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可愛い子には旅をさせよ

第310話

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 怒ればいいのか、呆れれば良いのか分からないよ。

『佐助もっと頑張るの!』
「種族、的な、問題がっ!!」

 ヒッポカムポスと魔物の馬さんの勝負になぜか佐助と才蔵が参戦している。
 佐助はコモドドラゴン姿で疾走しているけど、コモドドラゴンと馬では足の長さが違うからなぁ、海面を走っているだけ褒めてあげてほしい。

「佐助頑張ってるねぇ、水面走るコモドドラゴンなんて初めて見た」
「アー君と雷ちゃんは戦車ですけど、子供だけで危なくないですか?」
「中身は子供じゃないから大丈夫だろ、特に精神の方は都合よく子供と大人が混ざっているようだけどな」

 騎士様とレイアさんが感心しているが目は笑っていない。

「幼児連れで花街に寄るのもどうかと思う、やっぱりアイツら基本馬鹿だわ」
「それ以上に、資金を出したのがアー君だって言うのがね」
「しかも世話になった店の遊女と傭兵団がラブラブになって、身請けの資金を出したのも」
「うちのアー君です」

 どうやらアー君は保護者が居ないところでやりたい放題やっていたみたい。

 町全体が歓楽街な都市がある事にも驚いたけど、刀国にもあるのに何が問題なのかな?って首を傾げたら、騎士様が「穢れた知識を教えたくない」と言いながらも本当の事を教えてくれた。

 歓楽街とは酒場がある場所だと以前教えられた。
 嘘ではない、嘘ではないけど他にも性風俗的な色々があるらしい、借金や口減らしなどの理由から売られた人が体を売っている店がある場所、それが花街。

「江戸時代とかあの辺りのイメージでいいからね」
「時代劇っぽい!」

 悪代官が帯をほどいてくるくるーって楽しそうだと思った記憶がある。
 刀雲とか好きそうだよね、あれ。

「うん、樹はそれでいいよ」

 悪質な所に奴隷として堕ちるより、客の管理がしっかりなされているその街に買われるのはまだ運がいいらしいけど、好きでもない人を相手にする時点で幸運度が微妙です。
 一番驚いた事実は総元締めはユーシリス一族、つまりドンの一族という所だったけどね。

「うーん、白状したご褒美に料理を解禁したのは間違いだった気がします」
「樹ちゃん意外と厳しい」
「子連れで娼館行く時点でアウトなのに、あの白い神様が暴れている時は結界で気付かないでイチャイチャって、護衛の意味が皆無!」

 店の遊女を丸ごと身請けしたアー君、身請けした人数が多すぎてこれじゃ店ごと買った方が早いかと判断、店主にドラグーンへの移転を打診してお金で全てを平和に解決。

 アー君の旅に同行した傭兵さんは全員独身だったけど、めでたく全員お嫁さんをもらう運びになったので、これを機に傭兵団を解散、女神レイアの騎士としてドラグーンに根を下ろす事を決意、シャムスとアー君の護衛が傭兵としての最後のお仕事。

 伝書鳩なあの白い神様に守護を命じて自分から引き離しにも成功、損をした人も悲しんだ人もおらず、みんなが幸せになった。

 店の支払いに身請け代、お嫁さんへの職業提供と守護のおまけつき。

 そりゃ報酬断るよね!

「散財しても揺るがないアー君の資産に驚いて終わりにしたい」
「私もだよ」
「俺もー」

 そもそも旅をしていた理由がアー君のワガママで、一晩店を買い上げた資金も、身請け代金も全てアー君がダンジョンで稼いだお金。
 幼児だけど中身は千年以上生きた転生者だから、何と言うか説教をすべきかスルーすべきか迷う所なんだ。

「もうスルーで良くないですか?」
「知らんふりか、そうだよねぇ」
「もうそれでいいだろ、シャムスもアルジュナも無事に帰還したし」

 子供達がレースする様子を眺めながら話がまとまりました。

 これにて一件落着です!
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