神様のポイント稼ぎに利用された２

可愛い子には旅をさせよ

第289話

　ファンタジーでお馴染み薬草採取。
　初心者向けクエストで、子供達のお小遣い稼ぎにも良く利用されるあれだ。

　刀国も同じクエストは用意されている。
　ただし、初心者向けクエスト＆お小遣い稼ぎの種類が多い。

　薬草採取の効率を上げるため、孤児院では教会に場所を提供してもらい子供達が自主的に薬草を栽培している。
　品質も良く、納品数も安定している為一つの納品ルートとして確立されているって……すでに一つの事業として扱われているよね、初心者向けじゃなくなっている！！

　他には小麦採取、屋台のお手伝い、草むしり、騎士団やお店などでの雑用などなど。
　最近はマシュー君の領地で稲とチーズ収穫、お世話などもなかなか人気があるようだ。

　今日知ったのだけど港街にはギルドの支店があって、港街でしか受けれないクエストを発行しているらしい。
　ちょっと興味あるな。

「えっとな、海で採れる素材や食材を収穫するクエストが多いな、子供に人気なのは養殖している海藻類のお世話や収穫だな」

　太巻き祭りの翌日、僕の膝を枕にぐったりとするヨムちゃんが答えてくれた。
　
　ヨムちゃん、神薙さん並みにたくさん食べれる強い胃を持っている。持っているけど神薙さんと同じスピードで食べれるほど育ち切ってはいないんだ。
　未成熟の状態で神薙さんに釣られて同じスピードで食べた結果、食べ過ぎてお腹ぽんぽん、とりあえず消化されるまで待つしかない。

　刀雲は釣りにお出掛け、ヨムちゃんに付いていようとしてくれたけど休暇を楽しんでもらえないのはヨムちゃんも不本意らしく、「お土産楽しみにしてるねパパ」作戦で何とか遊びに出掛けてもらった。
　本日のお供は騎士様とイブ以外にギレンと神薙さん、漁船ではなく騎士団の船でお出掛けです。

　何の奇跡が起きてもおかしくない。
　巨大な魚の一匹や二匹じゃ驚かないよ、亜人に変化した魔物とかだったらどうしよう。

　僕はヨムちゃんとお留守番、港でしか手に入らない特産品をお土産にしようと一覧を読んでいる所です。

「ヨルムンガンド様、こちらをお飲みください」
「ん～？」

　カルロさんが差し出したお盆の上にはスープ皿とスプーン、なんのスープだろう？

「ユーシリス家の方からヨルムンガンド様にと」
「ふぅん？」
「ヨムちゃんちょっと飲んでみようか」

　ドンの一族って本当どこにでもいるなぁと思いながら、ノロノロと起き上がったヨムちゃんに受け取ったスープを一口。

「うぅ、染み渡る」
「『あおさ汁』と呼ばれ、消化を助ける効果があるそうです」
「まま」

　自分で飲む気はないようだ。
　せっかくだから甘やかしてあげよう。

「はいあーん」
「あー」

　神社を作って奉納作戦を騎士様に提案した所、それだ！と目を輝かせてあっという間に必要な建物を設置してくれた。
　おかげで朝から奉納品がどっさり。

　なんと僕もお裾分けもらいました。
　中で一番嬉しかったのはシジミかな、刀雲達が良く二日酔いになるからありがたい。

　鯛もあったけどイネスに奪われたんだよね。
　なぜかラーシャが平謝りしていたけど、イネスが鯛から口を離す事はなかった。

「ふいー、美味しかった。ごちそうさま」
「もう少し横になろうね」
「おう」

　カルロさんにお皿を返すと、すぐにヨムちゃんが膝に頭を乗せて来た。

「後はギレンから魔力を奪えば全快」
「そっか」

　尊い犠牲だね。

「胴体絞めつけて苦しめた時が一番魔力美味いんだよなぁ」
「……ん？」

　詳しく聞いた所、閨に誘った意味がちょっと違った。
　交わるあっちではなく、蛇が胴体絞めるイメージが正しかったみたい、うわ、ギレンごめん、渡すべきは精力剤じゃなくてＭＰポーションだったんだね。

　ドリちゃんにお手紙飛ばして次の便で一緒に持ってきてもらおう。