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権力とは使う為にある

第240話

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 騎士様はしばらく帰って来れないとレイアさんが教えてくれた。
 どうもラウルさんと一緒になってかぐらが暮らす部屋を作っていたらしいのだけど、止めるべきラウルさんがノリノリになってしまったため、お城が一個出来てしまったんだって。
 どうしてそうなった。

「まぁ私がぶっ壊して更地に戻したからそこは安心しろ」

 ツッコミのレベルが激しいですね。

「ラウルも主君の子を護れる栄誉に舞い上がってて使い物にならない、まともな部屋が出来るまではこっちに戻るなとは言っておいたから、下手したら嫁に出すのを見送らずに向こうで出迎える事になるかもしれない」
「騎士様……実は相当はしゃいでますよね」
「うっとうしいぐらいにな」

 そっか、僕にとっては国が離れるから滅多に会えないけれど、騎士様は転移を息するように使いこなす人だもんなぁ。
 とりあえずレイアさんはお疲れ様です、本日のおやつ『プリン』をどうぞ。

「あー美味し、癒されるわ」

 良かった良かった。

「ぴ」
「シェルも食べるの? さっきシャムスと食べてたの知ってるよ」

 小さな蝙蝠が目を真ん丸にして驚いている。
 こちらのシェル君はつい先日生まれたレイアさんの御子の名前です、これがまたシャムス並みに食い意地が張ってて……油断すると盗み食いしようとするから大変です。
 真っ先に神薙さんの恐ろしさを叩きこんだので、神薙さんの食べ物は絶対つまみ食いはしない。
 
『楽しかったねー』
「ドキドキしました」
「タイガの一撃かっこよかったです!」
「うむ」
「母上腹減った!」
「才蔵とりっちゃんもお疲れ様」

 隠し部屋から楽しそうに笑いながら子供達が出て来た。
 おやつを食べた後いないと思ったら、奥の部屋で魔物退治して遊んでたのね。

「母上おやつー」
「アー君、食べたよね?」

 駆け寄ってぎゅってすれば絆されると思ってる? 甘いなぁ。

「おやつが駄目ならダンジョン行きたい」
「嫁入り前のかぐやを連れて? 却下」

 向かおうとした瞬間にラウルさん飛んできそうで怖い。

「支援魔法、あれいいな、自分でガードしなくていいからガンガン行ける」

 アー君、元々ガードは氷龍アスラン任せで、自分は攻撃オンリーなの知ってるよ。

「倒さずに敵を撹乱するだけなのも大変です」
「我も倒さないよう力加減をするのが大変だった」
「ですがお陰でりっちゃんの能力を計れました」

 イブもだいぶ馴染んだなぁ、戦力強化にノリノリだし。
 幼児の頃からこれってある意味怖いけどね、学園に通って知識を得たらどうなるんだろう。

「かぐやの力を実戦で試したい!」
「だめー」

 本当にやりたければ騎士様か春日さんのいる時にしてくださーい。
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