神様のポイント稼ぎに利用された２

権力とは使う為にある

第238話

　目を開けたら部屋の明かりが目に入ってきた。

　いつも通り寝ている間に安産だったみたいだね、倒れたのもドリちゃんの近くだったし、安心安全な我が家にホッとする。
　さて問題は刀雲だよね、可愛い姫の嫁ぎ先がすでに決まっているってどう伝えればいいかなぁ。

　なんて思っていたら刀雲が僕の顔を覗き込んできた。
　どうやら近くにいてくれたらしい、えへへ、大事にされているのが分かって嬉しいな。

「イツキ身体は大丈夫か？　どこか辛い所はないか？」
「うん、大丈夫。ありがと」
「ふんふん」
「ルークも心配してくれるの？　ありがとう」

　でもそこは王子バージョンで声をかけて欲しかった気がするよ。
　もちろんもふもふ枕も嬉しいけどね。

「喉乾いた」
「分かった。ルーク」
「わふ」

　ルークが身体を起こしながら一緒に僕の身体も起こしてくれた。
　旦那様が何だか違う方向に進化している！

「ほら、ゆっくりな」
「ん」

　差し出されたのはドリちゃん温泉水、スタミナ回復効果があるんだよね、はぁお腹が中から温まってきた。
　ミルクや温泉水、実に葉っぱ、ドリちゃんから採れるあれこれは本当に色々な効果があって、魔物もびっくりなほど一つも無駄にならないんだ。

「赤ちゃんは？」
「もう赤ちゃんじゃないけどな」

　苦笑いした刀雲の視線を辿れば、そこには刀雲に掴まって立とうと努力する幼児がいた。
　どうやら能力を制限し過ぎて一気に成長出来ないようだ、それでも相当成長速度は速いと思うけどね。

　立ち上がって両手を離した所で転倒しかけ、そちらを見ないまま刀雲がキャッチ、膝の上に乗せたけどすぐに這い出してしまった。
　なかなかやんちゃなお姫様だね。

「生まれてからずっとこれの繰り返し」

　苦笑いしながらも目尻は下がっている。
　そう言えば騎士様はどうしたんだろ、ラウルさんの所に婚約の打診に行ってるのかな？　この調子だと本当に数日で成長しきるだろうし、向こうの受け入れ準備もあるもんね。
　ラウルさん、神聖化しすぎて祭壇とか立てないといいけど……大丈夫かな？

「シャムス達が部屋の外で待っているんだ、入れていいか？」
「うんお願い」
「ドリアン頼む」
「ハイ」

　ドリアンが戸を開けると、雪崩れるように子供達が部屋に入ってきた。

「ままー」
「母上平気か？」
「母様身体は大丈夫？」
「ママ、おっぱい飲んでいい？」

　ぎゅぎゅーっと抱き着いてくる子供達が可愛い、イネスが小首を傾げて聞いてきたけれど、子犬化して母乳を飲もうとした三匹とともにアカーシャに回収された。

「アカーシャなんで止めるの、お乳飲みたい！」
「母様は起きたばっかりなんだから少し休ませようね、兄様達も」

　こうして見ているとアカーシャの子守りも板についてきたよねぇ、威圧の加減も素晴らしく絶妙だったし。

「じゃあそっちの離乳食ちょーだい」
「わふー」
「弟のご飯を狙わない」

　お腹が空いているのかイネスが積極的にご飯を狙い、アカーシャに却下されている。

　…………ん？
　弟？