237 / 1,127
権力とは使う為にある
第235話
しおりを挟む
その日、鬼神が刀国に降り立った。
「あ~る~じ~さ~まぁぁぁぁ」
本当の鬼神じゃなかった怒り狂ったラウルさんだったよ。
首元にキスマークやら噛み跡やらがたくさんついているけど、ここで「昨晩はお楽しみでしたね」とか茶化したら怒られそうだから黙っておこう。
「もぅ、樹を驚かさないでよ、胎教に悪いなぁ」
「それは失礼しました。ですがその御様子だと私が何に怒っているか分かっているようですねぇ」
地の底を這うような低い声がお腹に響く、怖い怖い怖い怖い、騎士様何をしたんですか!
魔力供給はもういいので僕を解放してください、お茶を用意するふりして逃げたいです!
「もー何が不満なの、約束通り国王職から降りれたでしょ~」
「降りたけど王配になったら意味ないわボケエエエエエエエ!!」
ラウルさんのオーラが黒い!
「私の役目は我が君の世話であり、人間の世話ではありません!」
「そう言いながら~、凄いキスマークの量だよね~」
あ、待って騎士様、それ言わない方が良い、言ってみたいの分かるけど言わない方がいいですって絶対。
「昨晩はお楽しみでしたね、あ、この三日間か!」
キシャアアアアアアア!!!
「ひゃぁぁぁぁ」
「イツキ様!!」
『かあしゃま!?』
火にダイナマイトを放り込んだ騎士様のせいでラウルさんが暴走し、僕が思わず上げてしまった悲鳴を聞いてシャムス達が隠し部屋から飛び出して来た。
『りっちゃん母様助けて!』
「承知ぃぃぃ!」
「退け牛ぃぃぃぃぃ!!」
「ふぬうううううん!」
見た目の重量を裏切るスピードで僕らの間に割り込んできたりっちゃんが、飛び掛かってきたラウルさんをその巨体で受け止め。
ぼいいいいいいいん
ぷるるんボディで空高く跳ね返した。
『りっちゃんありがとー、すごいねぇ』
「いやぁ」
『おー、イブの言う通りスピード強化しておいて正解だな。それにしても今の誰だ』
「今度は外見を調整しましょう、スライム感を減らして自然な筋肉に見せたいです」
『おーし、撤収~』
正直な話、僕は何が起こったか分かりたくない。
でも……ああ……屋根が……
「大丈夫、自動再生ついてるから」
まったりとお茶を飲みながら騎士様に肩をぽんぽんと叩かれて、とりあえず屋根の修繕はしなくてよさそうな事に安心しておいた。
ラウルさんは死んではいないと思う。
もし生還したらそうだな、とりあえず「ご結婚おめでとうございます」って言えばいいのだろうか、駄目かなぁ。
「ラウルはドラグーン王国に転送しておいたからもう大丈夫だよ」
さらっと言われた。
「それに嫁が妊娠したし、仕事の代理と魔力補給でしばらく忙しくて来れないと思うよ~、あ、嫁ってベルのお兄さんね」
「騎士様もしかして、ラウルさんの同意何一つ得ずに話進めたでしょ」
「あはははは~」
そりゃ怒るわ。
「僕の名前で滋養に良い物送っておきますね、ベル君のご両親経由でいいかな」
「ありがとねぇ」
ついでに胃薬も送るべきか迷うなぁ。
「あ~る~じ~さ~まぁぁぁぁ」
本当の鬼神じゃなかった怒り狂ったラウルさんだったよ。
首元にキスマークやら噛み跡やらがたくさんついているけど、ここで「昨晩はお楽しみでしたね」とか茶化したら怒られそうだから黙っておこう。
「もぅ、樹を驚かさないでよ、胎教に悪いなぁ」
「それは失礼しました。ですがその御様子だと私が何に怒っているか分かっているようですねぇ」
地の底を這うような低い声がお腹に響く、怖い怖い怖い怖い、騎士様何をしたんですか!
魔力供給はもういいので僕を解放してください、お茶を用意するふりして逃げたいです!
「もー何が不満なの、約束通り国王職から降りれたでしょ~」
「降りたけど王配になったら意味ないわボケエエエエエエエ!!」
ラウルさんのオーラが黒い!
「私の役目は我が君の世話であり、人間の世話ではありません!」
「そう言いながら~、凄いキスマークの量だよね~」
あ、待って騎士様、それ言わない方が良い、言ってみたいの分かるけど言わない方がいいですって絶対。
「昨晩はお楽しみでしたね、あ、この三日間か!」
キシャアアアアアアア!!!
「ひゃぁぁぁぁ」
「イツキ様!!」
『かあしゃま!?』
火にダイナマイトを放り込んだ騎士様のせいでラウルさんが暴走し、僕が思わず上げてしまった悲鳴を聞いてシャムス達が隠し部屋から飛び出して来た。
『りっちゃん母様助けて!』
「承知ぃぃぃ!」
「退け牛ぃぃぃぃぃ!!」
「ふぬうううううん!」
見た目の重量を裏切るスピードで僕らの間に割り込んできたりっちゃんが、飛び掛かってきたラウルさんをその巨体で受け止め。
ぼいいいいいいいん
ぷるるんボディで空高く跳ね返した。
『りっちゃんありがとー、すごいねぇ』
「いやぁ」
『おー、イブの言う通りスピード強化しておいて正解だな。それにしても今の誰だ』
「今度は外見を調整しましょう、スライム感を減らして自然な筋肉に見せたいです」
『おーし、撤収~』
正直な話、僕は何が起こったか分かりたくない。
でも……ああ……屋根が……
「大丈夫、自動再生ついてるから」
まったりとお茶を飲みながら騎士様に肩をぽんぽんと叩かれて、とりあえず屋根の修繕はしなくてよさそうな事に安心しておいた。
ラウルさんは死んではいないと思う。
もし生還したらそうだな、とりあえず「ご結婚おめでとうございます」って言えばいいのだろうか、駄目かなぁ。
「ラウルはドラグーン王国に転送しておいたからもう大丈夫だよ」
さらっと言われた。
「それに嫁が妊娠したし、仕事の代理と魔力補給でしばらく忙しくて来れないと思うよ~、あ、嫁ってベルのお兄さんね」
「騎士様もしかして、ラウルさんの同意何一つ得ずに話進めたでしょ」
「あはははは~」
そりゃ怒るわ。
「僕の名前で滋養に良い物送っておきますね、ベル君のご両親経由でいいかな」
「ありがとねぇ」
ついでに胃薬も送るべきか迷うなぁ。
20
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる