神様のポイント稼ぎに利用された２

権力とは使う為にある

第221話

　名付けに困った。
　騎士様がいくつか挙げてくれたけど、却下却下、全部却下です。

　僕と騎士様はセンスがないので今回も女神様にお願いしました。

「えー」
「女神様に名付けて貰えば祝福も受け取れて一石二鳥！」

　様々なBLを求めて色々なジャンルに手を出しているからね、僕らより知識が深い、駄目な意味で幅広く活用されているけれど、かっこいい名前も知っているので助かる事もある。

『アー君も女神しゃん名付けだもんね』
『正式名は主にダロスぐらいしか呼ばないがな』
『あるじゅにゃ』
『……っくっそ可愛い』

　なぜかアー君がデレンとした表情でシャムスにおやつを分けている。

『はい君（きみ）もあーん』
「……」
『言葉が通じないのか？　ふむ、＜言葉は分かるか？＞、だめか、《名前は？》……ってもっと簡単な方法があったな、術式はえーっと、ちょいちょいっと、それ！』
『今のなーに？』
『翻訳スキルを取得させた』
『アー君凄い！』

　幼児二人がそんな事をやっているとは露知らず、女神様が坊やのステータスを解析しつつ名前を考えている間、僕はずっと騎士様に後ろから抱っこされていました。
　他の事に気を取られていたようで悪戯はされなかったよ。

（多分その坊主、後に魔王って呼ばれるキャラだわ）

　なんか物騒な情報いただきました。

「鈴ー、ちょーっと降りて来てくれるかなぁ」
「へい！」

　騎士様に呼ばれた瞬間、女神様が正座して現れた。

「説明」
「はい喜んで！」

　生一丁！と同じ調子で声高に返事したけど……怪しい、ろくでもない事情がありそうだ。

「えーっとッスね、獅皇様が箱庭作ったの御存じで？」
「なんか聞いた事ある、失敗したって聞いてる」

　僕も聞いた事あるなぁ、でも世界壊れたって言ってなかったっけ？

「それがッスね、壊れたのは確かなんスけど、頑丈に作った分、消滅までには多少の時間も掛かりまして、獅皇様からそれまでの管理を任されました」

　あっちゃー

　獅皇さんなんて言う恐ろしい事を、この女神様は妄想で世界の理を変えた変人ですよ！

「最初は普通に管理してたんですけども、ちょっと、その……」
「正直に」
「荒廃した世界ってゲームの舞台に最高だなぁとか思って、その世界をベースに剣と魔法で戦う乙女ゲーム作りました！　主人公は世界を崩壊を止める力を持つ聖女候補の一人です」

　聖女じゃなくて候補？
　今度はどんな捻くれエンド用意してあるんだろ。

「この子は？」
「……魔獣と人間のハーフで学園では風紀委員長を務めていて、容赦ない取り締まりから『魔王』って呼ばれるキャラです。攻略キャラを複数同時に落とそうとすると容赦なく全員の好感度を下げる妨害をしてきます、ハーレムルートを目指すならまず委員長、と思って攻略に挑むと風紀を乱したとして懲罰室で反省文100枚の刑」
「相変わらずプレイヤーを選ぶ内容ですね」
「いやでもな、ハーレムルートも不可能ではないんだよ、途中で委員長に遭遇しなければ可能だし。出現ポイントが完全にランダムだけどな！　ただし男を落とす事ばかりに必死になると、世界の崩壊が止まらなくて人類滅亡エンド！」

　バッドエンドの規模が大き過ぎ！

「あの、ちなみにハッピーエンドはどんな感じですか？」
「ただ一人に攻略を定め、聖女として認められるように行動する事で攻略者の婚約者が二人を認め身を引いてくれるんだ。婚約者はその後、王太子に心根を見初められて……という感じ」

　あれぇ？
　聖女と浮気した元婚約者より格の高い相手と結ばれてる？

　しかも魔王って……ただのあだ名かい！