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権力とは使う為にある

第213話

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 ルナールが来て以来、僕の服装が白中心なのは仕方ないのかな?
 今日は狐ポンチョなんだけどさ、よくもまぁ毎日バリエーションがあるなと思ったら、裏にアカーシャがいました。

「母様なんでも似合うから……つい」

 そう言って目を泳がせてたアカーシャの手には新作が、あれは羊だった気がする。
 隣にはきゅるんとした瞳でこちらを見つめるラビと騎士様がいたし、黒幕はあの二人かなぁ。

 そんなやり取りのあった翌日、畳の上で分裂したラビに埋もれる騎士様が僕に悪戯しようとして尻尾に手を叩き落された。
 
「っく、ガードが堅い。そのポンチョ、尻尾あったっけ?」
「これですか?」

 騎士様の指摘にふわりと白い尾が揺れた。

「ルナールです、ポンチョに施されている魔力がお気に入りで一体化してるんです」

 ただのアルビノな狐のはずなのにおかしいよね、まぁ細かい事は気にしないけど。

『るーなー遊びましょー』
『釣りするぞ釣り!』
「きゅい!」

 二人が呼び出すとルナールがポンチョから離脱した。

『トラちゃんの子がね、進化して新種生まれたの』
『骨が美味いんだよなあれ、狙うぞー』
「きゅー!」

 ラビは魚の丸焼きとかは食べないけれど、アカーシャも好きなすり身は好んで食べる。
 あとは果実を中心に甘い物、野生では食べれなかった物を中心に食べてるよ。

 ルナールは何でも食べる。
 でも基本的に魔力がある物を好んでいるっぽい。

『きゃー』
『うおおお!!』
「きゅーー!」
「そっち行ったです!」

 あ、また水に飛び込んで遊んでる。
 比較的流れが緩く、底も浅い所で二本足で立って魚を襲撃するそれは、釣りと言うより狩りの部類に入るんじゃなかろうか。

「騎士様、子供達を見ててもらっていいですか?」
「いいよー」
「ラビおいで、おやつの食材取りに行こう」
「!」

 数が増える=手数が増える
 手分けして色々集められるのでとても助かるんだよね、今日は何を中心に集めようかなぁ。

 隠れ家の裏に辿り着くと、ラビがいそいそと果物を集め始めた。
 僕はどうしよう、加工した果物も美味しいけど、たまには生で食べたいかな、柿にしよう、そうしよう、あと干し柿用の柿も貰って行こう。

「?」
「これは柿、帰ったら皆で食べようね」
「!」

 今はのんびりと外出出来るけど、妊娠中はこうはいかないんだよね。
 今のうちに色々遊びに行っておきたいなぁ、定番クエストの薬草採取とか受けてみたい……例えうちのドリちゃんの薬草の方が効力が高くても、そこはロマン……って、僕、普通のクエスト受けられないんだっけ。

 うーーん

 ギルドの食堂でアルバイト、とか?
 駄目だ、レイアさんの御子が生まれたらナニーのお仕事が待ってるんだっけ、やっぱり今のうちにちょっと普段は出来ない遊びをしたい。
 何か、何かないかな。

 一人で買い物、誘拐された前科があるから過保護な周囲が許してくれない。
 学校に通う、しょっちゅう妊娠するから卒業までに何度休学するか予測不可。
 港街に仕入れに行く、むしろギレンが商人引き連れて我が家に来る。

 あれぇ、もしかして僕って一人で出来る事ほぼない? 

 いっそ僕も池で泳いで遊ぶとか? 寒いかな、お風呂で泳ぐ?
 アカーシャに怒られる未来しか想像できないや。
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