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権力とは使う為にある

第207話

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 女神様が最近静かだった理由を知った。
 なんでも学園で「テンプレ転生者」が発生、ベル君とブランの仲に割り込もうとしていて、ずっとそちらを見ていたんだって。

 仕事してください。って言ったら「世界見守ってたんだよ、これも仕事の内!」って開き直られました。
 ブランから出歯亀してたって聞いてるんだけどなぁ。

 せっかく家族になったブランだけど、ベル君がやっと告白して正式にお付き合いを始めた――と思ったら、テンプレ展開ではしゃいだ女神様が張り切り過ぎて、婚約者をすっ飛ばして婚姻を認めちゃったんだよね。
 その日の内にブランはベル君に掻っ攫われ、帰宅先が我が家ではなくマシュー君のお家になりましたとさ!
 女神様のばかー!

 しかもその日のうちに抱き潰して、動けなくしてからベル君が単独で我が家に挨拶に来たんだけど……息子を掻っ攫われた刀雲と口論になって、3秒で終結した。

「父上が研究した『四十八手』の書をお納めする!」
「マジかよ」

 ちょっと待った。
 何渡してくれてるの?

「オイオイ、この体位って本当に可能なのか?」
「ブランと試してみたが可能だったのである」
「ひゅ~」
「わっふ~」

 ルークも一緒に本を覗き込んでいる。

 誰かあの本回収してください。

「ちょ、ちょっとイツキ、こっちに……」
「いかないからね」

 呼び寄せる刀雲の瞳がギラついていて身の危険を感じます。

「まぁまぁ」
「いーやーって、騎士様いつの間に」
「今来たのよ」

 刀雲その本を仕舞って、今すぐ! この人に余計な知識を与えないで!

『絵本?』
『ん? ……シャムスにはまだ早い』
「僕も読む。ラーシャに試すです」
『絵本読むの』
「っく、刀雲それを隠せ! 教育に悪い!」
「おう!」

 アー君の言葉にさっと本を仕舞った刀雲、本を見せて貰えなかったシャムスがぷーっと頬を膨らませた。
 かわゆい。

『もーいいの! ネリちゃんの絵本読む!』
『そうしよう、それがいい、教育にもいいからな!』

 アー君に全面同意すると言わんばかりに、三匹やもふもふズが高速で頷いている。

「僕もシャムスに絵本読んでもらいたいな」
『……しょーがないなー』

 ちょっと照れながらも読み聞かせをしてくれるらしい、よしよし、意識は逸れたね。

「刀雲、ルーク、騎士様は本日の夕食のデザートとお酒抜き」

 僕は絶対試さないから、三人の悲鳴をBGMに心に誓った。
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