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権力とは使う為にある
第206話
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学園訪問から数日、夕食の仕込みも終わって庭で子供達と釣りをしていたら、まだ明るい時間に刀雲が帰宅した。
「俺の可愛い子供達、よくやった!!」
帰って来るなりそう叫んだ刀雲が、シャムス、アー君、イネスをまとめてぎゅっとした。
『つりざおー』
『もふもふズ頼む!』
「みゅみゅみゅ!!」
転がされた釣り竿は周囲にいたもふもふズが引き受けてくれたので池には落ちなかった。もし落ちてたら刀雲怒られてたよ、あれ、タイガ手製の肉球でも握れる釣り竿だから。
『くすぐったいの』
『何だかよく分からないが、褒美はピザ味のものがいい』
「お手柄?」
「刀雲、何があったの?」
「イツキ! 俺達の息子は天使だな!」
釣った魚をドリアンに任せ、刀雲と子供達を縁側に座らせるとお茶を出してもらった。
キラキラ笑顔の刀雲によると、騎士団が将来なりたい職業1位になったらしい。
「孤児院の子を中心に騎士団見学の申し込みが殺到したんだ、もしかしたら人材不足が解消されるかもしれない」
「人手足りてなかったの、人気職業だと思ってた」
「確かに一定の人気はある、だが団が増設された事で他が足りなくなったんだ」
ここに配置されている人達って、他の騎士団から寄せ集めだもんね。
ちょっと前までは多少人手が足りなくても大丈夫だったけど、他国の人間が増えた事により大小様々なトラブルが起きて対処に走り回っているらしい。
だからと言って神様の警備を減らすわけにもいかない、連日疲れて帰ってくる刀雲を子供達がマッサージしたりお酌して労わっているけど癒しきれてないんだよね。
将軍の任期も現在無期限、使徒だしこのまま将軍やってよーって雰囲気らしい、普通はその地位を巡って泥沼があってもいいはずなんだけどね。
「もふもふズのお陰で多少緩和されてたんだが、他国の人間が増えてトラブルも増えたのが辛い」
『とーうんお疲れ』
『ほれ肉球』
「僕のも触っていいよ」
「ぷにぷにだなぁ」
両側から肉球攻撃か、あれ気持ち良いんだよねぇ。
「貴族が問題を起こしても住民が返り討ちにしているからそこは問題ない」
「強い」
自国の貴族としての考えを持ち込み、屋台のおっちゃんに横柄な態度を取ってぶちのめされたとか、おばちゃんにズボンを脱がされお尻ぺんぺんされたとか、他には子供を泣かせて黒龍に骨を砕かれた、孤児だと馬鹿にしたら威圧で負けた……みんな逞しいな。
あとおばちゃんのお仕置が一番精神的ダメージ大きいね。
「見学申し込み殺到したんだけどなぁ」
ふと刀雲の目が曇った。
「張り切って王城を案内しつつ仕事を説明したらがっかりされた」
「なんで!?」
「目的はもふもふズと触れ合ったり、巡回と言う名のお散歩が出来る第五騎士団、あとイネスの事も聞かれたぞ」
「ぼく?」
「第五に入ったら会えるかと」
『イネスにファンできた!』
『ふむ、この間のマシューの学友か』
「きゃっ」
シャムスやアー君に取り巻きは出来たけど、イネスには初めてかも。
「そう言えば前のなりたい職業1位はなんだったの?」
「屋台の店主、小遣い稼ぎで手伝って、そのまま雇ってもらう事も多い」
弟子が成長すると屋台のおっちゃんは材料を仕入れるため、冒険に専念する人が多いらしい、これも刀国民の特徴だね。
本当、逞しい人が多いなぁ。
「俺の可愛い子供達、よくやった!!」
帰って来るなりそう叫んだ刀雲が、シャムス、アー君、イネスをまとめてぎゅっとした。
『つりざおー』
『もふもふズ頼む!』
「みゅみゅみゅ!!」
転がされた釣り竿は周囲にいたもふもふズが引き受けてくれたので池には落ちなかった。もし落ちてたら刀雲怒られてたよ、あれ、タイガ手製の肉球でも握れる釣り竿だから。
『くすぐったいの』
『何だかよく分からないが、褒美はピザ味のものがいい』
「お手柄?」
「刀雲、何があったの?」
「イツキ! 俺達の息子は天使だな!」
釣った魚をドリアンに任せ、刀雲と子供達を縁側に座らせるとお茶を出してもらった。
キラキラ笑顔の刀雲によると、騎士団が将来なりたい職業1位になったらしい。
「孤児院の子を中心に騎士団見学の申し込みが殺到したんだ、もしかしたら人材不足が解消されるかもしれない」
「人手足りてなかったの、人気職業だと思ってた」
「確かに一定の人気はある、だが団が増設された事で他が足りなくなったんだ」
ここに配置されている人達って、他の騎士団から寄せ集めだもんね。
ちょっと前までは多少人手が足りなくても大丈夫だったけど、他国の人間が増えた事により大小様々なトラブルが起きて対処に走り回っているらしい。
だからと言って神様の警備を減らすわけにもいかない、連日疲れて帰ってくる刀雲を子供達がマッサージしたりお酌して労わっているけど癒しきれてないんだよね。
将軍の任期も現在無期限、使徒だしこのまま将軍やってよーって雰囲気らしい、普通はその地位を巡って泥沼があってもいいはずなんだけどね。
「もふもふズのお陰で多少緩和されてたんだが、他国の人間が増えてトラブルも増えたのが辛い」
『とーうんお疲れ』
『ほれ肉球』
「僕のも触っていいよ」
「ぷにぷにだなぁ」
両側から肉球攻撃か、あれ気持ち良いんだよねぇ。
「貴族が問題を起こしても住民が返り討ちにしているからそこは問題ない」
「強い」
自国の貴族としての考えを持ち込み、屋台のおっちゃんに横柄な態度を取ってぶちのめされたとか、おばちゃんにズボンを脱がされお尻ぺんぺんされたとか、他には子供を泣かせて黒龍に骨を砕かれた、孤児だと馬鹿にしたら威圧で負けた……みんな逞しいな。
あとおばちゃんのお仕置が一番精神的ダメージ大きいね。
「見学申し込み殺到したんだけどなぁ」
ふと刀雲の目が曇った。
「張り切って王城を案内しつつ仕事を説明したらがっかりされた」
「なんで!?」
「目的はもふもふズと触れ合ったり、巡回と言う名のお散歩が出来る第五騎士団、あとイネスの事も聞かれたぞ」
「ぼく?」
「第五に入ったら会えるかと」
『イネスにファンできた!』
『ふむ、この間のマシューの学友か』
「きゃっ」
シャムスやアー君に取り巻きは出来たけど、イネスには初めてかも。
「そう言えば前のなりたい職業1位はなんだったの?」
「屋台の店主、小遣い稼ぎで手伝って、そのまま雇ってもらう事も多い」
弟子が成長すると屋台のおっちゃんは材料を仕入れるため、冒険に専念する人が多いらしい、これも刀国民の特徴だね。
本当、逞しい人が多いなぁ。
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