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権力とは使う為にある

第201話

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 鬼羅が連れて来たドリルな子は、長い名前のどこかの国の公爵令嬢だった。

(キタキタキタ、キタァアアアアア! 縦巻きロール! 悪役令嬢っぽい登場人物キタァ! オルブリヒ国公爵令嬢、コルネリア・マウリッツ・カルメ・フィロ・グリゴリエヴィチ! 覚えた! 次回のゲームで使わせてもらうぜ!)
(女神様、子供達の声が聞こえにくいです)

 テンプレ展開最高!と叫ぶ声が脳内に響いてちょっと頭痛がする。

「女神様煩いです、ナーガが不機嫌になるんで静かにしてください」

 今のセリフ、僕じゃないよね?

(うぇ?)

 女神様も間抜けな声を出して驚いたようだ。

『かあしゃまただいまなの』
「シャムスおかえり」

 キーちゃんに乗ったシャムスの腕の中には卵が一個。
 子供から大人まで自由自在な子は見慣れている、でも卵レベルまで戻る子はナーガが初めてだよ。

『シャムス帰ったか、一日いないから寂しかったぞ』
『アー君ごめんね、じゃあ明日はいっちょ』
『ん』

 ロブスターに擬態したスライム『ロブス』に乗ったアー君が部屋に入って来て、シャムスときゅっと抱き合った。
 可愛すぎて倒れるかと思ったよ、シャムスが留守にするようになってから、アー君の甘えが強くなったように思う、可愛いから全く問題ないけどね!

「フィロ、ドレスじゃ座りにくいだろ、服借りて着替えた方が良い」
「……あなた、だれ?」

 ドリルちゃんが喋った。

 でもその言葉には同意する、僕らの目の前にいるこの長身のイケメンは誰だろうか。
 クリーム色した短髪のツンツン頭と言えば一人しかいないけど、マシュー君はただの人間のはずだしこんな急成長するわけが……。

「俺? マシューだけど」

 嘘ぉ、声まで違うけど、えぇぇ。

「マシュー、学校で会った時より育ってるよ」
「え、あ……」

 お皿を持って来たブランがいち早くツッコミを入れてくれた。
 頷きマシーンだったあの、ブランが、ツッコミスキルを手に入れているなんて!

「ナーガ戻すの忘れてる」
『ナーガ、めっ』
「シャー」

 卵からちらっと頭を出したナーガが鳴くと同時にマシュー君が元の姿に戻った。

「すみません、身体が小さくて物足りないと言われて……」

 マシュー君の急成長はナーガが原因だったようだ。

(マジかよー、マシューの閨覗けないから分からなかったわぁ)

「……女神様の御力ではナーガの結界は覗くの無理です」
「マシュー君、もかして女神様の声聞こえてる?」
「あ、そう言えば普通に会話してます」

(マジで!? なーなー、閨覗かせて! 神との交合見たい!)

「無視していいからね、それよりお皿運んじゃおう」
「はい」

(待って! 蛇神の交わりってねっとり執拗ってイメージあるんだけどどうなの? ねーねー、教えてぇぇーーー!!)

「ナーガ」
「ッシャー!」

 静かになった。
 通信が切れたようだ。

「ありがと」
「ふん!」
『ナーガ凄いね』

 シャムスが褒めたと同時に卵が真っ赤に染まった。

 多芸だね。
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