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貴族になろう

第188話

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 翌日にはマシュー君はマシュー・バンディーニになっていた。
 仕事早いなぁ。

 と思ったら、序の口だった。

「ギルドランクを最低Cまで上げましょう」
「そんな無茶な」
「明日までに」

 ママさん超スパルタだった。

「裏技があるのです、恐らくマシューならば半日も掛からないでしょう」
「危ない事じゃないですよね? マシュー君大丈夫ですよね?」
「一般人ならまず頭から喰われますが、刀国民なら特に問題ないかと」
「だ、だめ、そんな危ない」
「大丈夫、大丈夫」

 顔を真っ青にして慌てる僕の背後でシャムス達もあわあわしている。

「まずギルドに行きましょう」
「ぼ、僕もいきます!」

 ベル君、ママさん止めてよぉ、と泣き言を言いたかったけれど、今日はパパさんとお出掛けして不在なんだよね、ブランは当たり前のようにベル君が連れて行ってしまった。

 数匹のもふもふズを護衛に引き連れてギルドに向かったけれど、途中の屋台街で足止めされてしまった。

「可愛い坊ちゃんだね」
「坊主これ食うか?」
「キーちゃん今日は子守りかい、ご苦労様、おやつお食べ」
「今日もいい毛並みだな、肉食ってくか?」

 キーちゃんともふもふズを始め、シャムスとアー君が屋台街の人達にモテモテで、あっという間に囲まれちゃったんだよね。

「依頼だけ受けてきます、すぐ戻ります」
「はぁい」
「イッテキマス」

 緊張でガチガチのマシュー君を見送り、色々貰っている皆を眺めて思った。これ、お金を使うチャンスなんじゃ……!

『甘いの欲しいの』
「りんご飴が欲しいのかい? ほれ持ってきな」
『ありがとー』
「ありがとうございます、あの、お幾らですか?」

 金貨と銀貨なら手持ちあります、使っても大丈夫でしょうか、銅貨だと手持ちにないですが、このお金は邪神から貰った物なので良い事あるよ!

「いいっていいって、神薙様とそのご家族からお金は取らないよ!」
「遠慮しないでもっと食べな!」
「そうそう、神子様は細すぎる! ほら最近人気の肉まんだよ!」

 豪快に笑い飛ばされ結局金額は不明だったうえ、肉まんを貰ってしまいました。あちち。
 
『おっちゃん気前いーね』
『それよりシャムス気付いたか』
『なぁに?』
『ここの屋台の店主達、新米冒険者より強いぞ』
『そうなの?』
『例えばあのベンチで休憩中の冒険者、ランクは恐らくD辺りだろうが、瞬殺されるレベルだ』
『ひょぇぇ』
『冒険者の出入りがあるのに平和な理由はこれか』

 何やらアー君がたこ焼き片手に遠い目をしている、あれすっごい硬くて僕が食べれなかったやつだ、食べれるなんて凄いなぁ。

「ごあぁぁぁ」
「黄金の小麦な羊……居付いちゃったかぁ、この肉まん食べたいの?」
「ごぁぁん」

 もしやこの声、甘えているのだろうか。
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