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貴族になろう

第173話

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 刀雲が泣きながらお風呂に入っている。

 いやぁ、実はね、欲望のままに辛さを追求したカレーを食べた結果、身体に匂いが染みついちゃったんだ。
 特にうちの子って匂いに敏感だから、涙目で逃げられて絶望するほどショックを受けてた。

「はい刀雲、目を瞑ってね」
「うぅ、イツキィ~」
「これお肉の匂いシャンプー、モテモテになれるよ」
「ちょっと待て、なんかそれは嫌だ」

 真顔で拒否されたけどもふもふズに好評なんだよ? 本当だよ?

「えーっと、じゃあ爽やかヨーグルトの香り、カレーの香りが緩和されると思う」
「それで」

 刺激的な香り過ぎてルークも近付かない。
 匂いが移ってアー君に避けられたら……と想像した騎士様も近付かない、だから今日は二人でお風呂に入っています。
 大浴場ではなくビジネスホテルをイメージした一般的なお風呂、ブラックをベースにしたデザインで統一されているからちょっと大人な感じ!

 髪を洗い終わったのでシャワーで流し、次は体を泡泡にします。
 お仕事でお疲れの筋肉をもみもみとマッサージ、背中を終え、スポンジにボディーソープを追加、次は前に行きます。

 難所です。
 悪戯を避けては通れないポイントです。

「刀雲、動いちゃ駄目だからね」
「無理だな」

 断言された。

 前に移動して首からどんどん洗う。
 そして動き出す手首!!

 チラッと視界に入れてしまった刀雲の下半身は……元気です、知ってた。

「……ん、っちょっと、刀雲」
「なんだ? 俺はお礼にイツキをマッサージしているだけだ」

 もみもみもみもみ

 大きな手が鷲掴みにしているのは僕のお尻。

「癒される」
「そ、そう?」
「おっと指が滑った」
「ひゃぅ」

 棒読みのセリフとともに刀雲の指が僕の後ろに滑り込む。

「まだ洗ってる途中なの」
「俺もイツキの中を洗ってる所だ」
「嘘つきぃぃ」
「母乳美味い」

 べろりと胸を舐められて、こうなるともう洗うどころじゃない。

「お腹の子にご飯やろうな」

 ひょいと抱え上げられ、ぬるりとした感触と共に熱い刀雲が僕の中に入ってきた。

「あっ、あっ、刀雲っ」
「可愛いなイツキ」

 ぐいぐいと奥に進みながら乱暴にならないよう気を付けてはいるようだ。忘れがちだけど、そう言えば僕、妊娠しているんだった。
 お腹大きくならないし、今回は悪阻もないから忘れがちなんだよね。
 そのせいで周囲がいつも以上に過保護な気がする。

「今度は中々生まれてこないな、魔力不足か? 三連戦いってみるか」
「むーーりーー」

 激しく揺さぶりながら恐ろしい事言わないでーーー!
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