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貴族になろう

第166話

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 ベル君のご両親はスパの付いた洋室にご案内した。

 数ある中から事前にベル君が選んだお部屋で、天蓋付きキングサイズのベッドがある。
 部屋のライトを調節すればロマンチックな演出も可能、ピンクでもブルーでもお好きにどうぞ。

 窓の外の景色が変えられるのも仕様です。
 海でも山でも大都会だろうが樹海だろうが、昼夜問いませんよ。

 クローゼットにはラフな服も用意されています。
 ベル君の注文通り、肌が透けそうで透けない白シャツもありますよ。

 騎士様の案から始まったモーニングサービスも受けられます、その時はドリアンに言ってくださいね。
 もちろん僕らと一緒に食べるのも問題ありません、その場合は申し訳ないですが相当賑やかになるのでご了承ください。

「あの部屋は良いな」
「はい、後で入りましょうね」
「一緒にな」
「はい」

 案内して、お気に召してもらったし、部屋付きドリアンの事も教えた。
 けれどなぜか一緒に部屋を出て来て今は縁側で膝枕中。

 なんかどこかで見た光景だなぁ。

「おーい連れて来たぞー」
「は~、樹、お茶ちょーだい」
「はぁい」

 定位置になりつつある席に座った騎士様に言われ、お茶を用意するため立ち上がった。
 ピンクな空間でどうしていいか分からなかったから助かった。

 それにしてもイネスとマシュー君はまだ池で格闘しているのだろうか、それともとっくに終わって他の子達の所へとんずらしたとか?
 だとしたらずるいなぁ。

「奥方、遅れて申し訳ありません」

 到着した護衛官や従者の方は庭から入ってきたようだ。
 お二人の前に並び、膝をついて頭を下げている。

 膝枕の体勢から動く様子はない。

「神隠しに合ったのだから仕方ない」
「我が伴侶は優しいな」
「ふふ旦那様ったら」

 ベル君のご両親、隙あらばイチャイチャするんだよね。
 いつもこんな感じなのかなーって思いながら護衛の人とかをチラッと見たら、表情を一切変えなかったから多分これが日常なのだろう。

「イツキ、私にもお茶なー」
「はぁい」

 お茶請けはそうだなぁ、今日は羊羹にしよう。
 ドリちゃんちょっと良いお皿に盛ってね。

「お前らも来い、ここの茶は美味いぞ」
「この至高の膝から離れたくないのだー」
「旦那様、私達も頂きましょう」
「分かった」
「イラっとする」

 レイアさん、落ち着いて。
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