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ダンジョン探検

第103話

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 全長が計測不可能な超巨大魚の目玉は一個は卵のおやつになった。
 もう片方は神薙さんに取っておかないとね、後が怖い。

 騎士様の釣ってきた魚はドリちゃんが捌いて海鮮丼に、タイガの魚は騎士様が丸焼きにしてくれたので神薙さんが帰ってきたら出す予定。

「わさびが……っ」

 止める間もなくわさび多めに入れた騎士様は涙目、嫁を待っていたトラちゃんとシャムスも当てが外れて涙目。

「ちょっと森に行ってくる」

 尻尾と耳を垂れ下げるシャムスの後姿にアー君が立ち上がった。

「気持ちは分かるけど、一人で行くつもり?」
「キーちゃんと行く」
「今から森に行って川を探すより、双子のお兄ちゃんにお願いした方が早いと思うよ」
「え?」

 王太子として教育が進む中、双子が気分転換に始めたのが王城の一画に森を作る事だった。
 しかもただの森じゃない、聖水が湧き出る泉があるらしい。
 森の中にはちょっとした小屋もあり、近くを流れる川では釣りを楽しめる。春日さんは最近そちらを拠点にしてスローライフを楽しんでいるとか。

「春日じゅるい!」

 ……笑ってはいけない、可愛いと思っても顔に出してはいけない、拗ねるから。

「夕食までにはもちょる……んんっ! 戻る!」

 言い直すとわさびの辛さと格闘している騎士様の所へ飛んで行った。

「父上、お願いあるの」

 あれはシャムスの真似かな、あざといなー。

「アルジュナどうしたの?」
「春日の所に行って釣りしたい」
「いいよぉ~、樹、水ちょーだい」
「はぁい」

 果実の液を垂らした水を渡すと一気飲みし、海鮮丼をそっと隅へ追いやった。
 あれは神薙さんにでも食べて貰おう。

「よぉし、行こうか」

 アー君を片腕に抱いて立ち上がった騎士様、アー君の尻尾がぶんぶん揺れていて可愛いったら。
 
「釣り竿持った?」
「大丈夫!」
「俺も持ってるから大丈夫だよ」
「タイガが手作りしたアー君用のがあるんです」

 肉球でも持てるように工夫されているだけじゃなくて、シャムスっぽい子犬マークが掘られているんだよね。

「それは、初耳」

 顔に「俺も欲しい」って書いてありますよ。

「樹、よろしく!」
「戻ったら伝えます」

 シャムスを泣かせたと慌てたタイガはもう一度海に行っているので不在、でも僕が思うにはギレンに頼んだ方が早いような気がする。
 どのポイントにどの種類が出るか大体把握してそうだし。

「行って来るね~」
「いってらっしゃい」

 騎士様とアー君が出発したのを見送り、改めて本日の夕食に思いをはせる。

 魚料理を中心としたバイキングにしよう。

 そうなるとお寿司も食べたいのでギレンに連絡してー、あと緑茶と、お酒は日本酒を中心に用意しておけばいいかな?
 ホイル焼きとかも食べてみたい、でもアルミホイルないんだよね、その辺はドリちゃんに相談しよう。
 
 天ぷらもいいかも。
 舟盛りとかもやってみたい、よし、仕込み始めよう。
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