71 / 1,127
刀国学園
第70話
しおりを挟む
宴の席でびっくりな事が判明した。
何がって女神様、騎士様にいいとこ見せるチャンスなのに出張らないからおかしいなーと思ったら、ずっと召喚勇者を監視と言う名の鑑賞をしていたんだって。
餓死一択しか残されていなかったあの勇者、今はもうこの世界にいないそうな。
死ぬの早っ!と思ったら、女神様を満足させたので褒美に地球に帰還させたらしい、そう言うのありなんだ。
「今日は最高だった、良い物をみせてもらったぜ」
おしゃれなカクテルを片手にうっとりと語る女神様、いつの間にレシピを渡したんだろう……ドリアン達が知らない間に未知のスキルを手に入れている。
部屋数未知数だし、もしかしたら書斎とか作ってあったりして。
勇者が召喚された際、いつもなら魔物に神託を下して強くなる前にプチっと潰すのだけど、今回は某事情によって勇者を魔王城まで導いたらしい。
ルネさーんここにお仕事の邪魔をした犯人がいましたよー。
杯を重ねるうちにカクテルでは物足りなくなったのだろう、カクテルが果実酒に代わり、今は某メーカーのビールを飲んでいる。
質より量な女神様ですからね。
「でも今回の勇者さん、今までの人と何が違ったんですか?」
「アイツなぁ、うへ」
あ、嫌な予感。
「巻き込まれた友人がいたんだけどさ、ふ、ふふ、そいつの事、好きだったんだよ」
女神様がここまで喜ぶって事は男同士のあれこれか。
「魔王を倒したら元の世界に戻れる。そう言われて友人だけでも元の世界に還そうと、一人で旅立とうとしたけど、友人も一緒に行くと譲らなくてよぉ、あのシーンは痺れた」
この話も後々ゲームのストーリーに採用したりするんだろうか。
「つっても、友人の方はスキルの一つも持ってなかったんだけどな、そこで私の出番」
「何したんですか……」
「魔物知らずっていうスキルをプレゼントしたんだ。効果は抜群、魔物と一匹も遭遇する事なく魔王城に辿り着き――」
「閉じ込められたと、微妙なお話ですね」
「終わってねぇって」
聞けよーと肩を組み、コップを持たされてジュースを注がれた。
お酒じゃないんですね、そこは常識があるのか、保護者からの圧があったのかは不明だね。
「魔物の一匹も討伐出来ず辿り着いたとなると、旅の過程でのレベルアップとか皆無?」
「おうよ、召喚した王国が監視も兼ねて付けた護衛もいたけど、役に立つ立たない以前に出番なんて与えなかったぜ!」
「その人達も解放したんですか?」
「いや、今存在思い出したぐらいだから、多分そのまま王座だわ」
主要人物以外の扱いが相変わらず雑ですね。
そろそろシャムスとアー君をお風呂に入れて寝かせたいなぁ、早めに話を切り上げさせよう。
女神様のお酒をビールから焼酎にすり替えると、いつもの要領で話を聞き流しながらお酒を遠慮なく飲ませて行く、アルコール中毒? 女神様にそんなものあるわけないじゃない。
「魔力が尽きても扉を破壊しようとする勇者、護衛達はゴミでな、勇者が死んでも自分達が助かればいいと思って止めようともしない、そんな中、泣きながらもう止めてくれ、君が死んでしまうと泣く友人――クライマックス……だったのに、主様の気配感じてうっかり気が逸れた」
あの時かぁ。
魔物達が演劇をしていると同時刻に、そんなシリアスシーンがあの中で行われてたなんて。
『俺はどうなってもいい、お前だけは、絶対に元の世界に戻してやる!』
『もういい、もういいから』
『――この世界には人間を見守る女神がいるらしい』
『急に、なに?』
『勇者の命と引き換えなら、願いの一つも叶えてくれるかもしれない』
『なんで、なんでそこまで!』
『お前が好きなんだ、出会った時からずっと』
『そんなの、僕だって一緒だ! 僕も、僕も君が好き――』
一連のやり取りをポテチ片手にガン見していた女神様は、一部うっかり見逃したものの、告白シーンは見逃さずに済み、二人のやり取りを乙女のように頬を染めながら語ってくれた。
いや、これはお酒で赤くなってるだけか。
抱き合い愛を告白し合う二人、「魂だけでも地球に」そう願い心中しようとした二人の前に慌てて女神様が姿を現し、愛に心を打たれたとか何とか言って二人を地球に戻したようだ。騎士様の力を借りて。
「あの二人が死んだらぜってぇえこの世界に転生させる、主様にもお願いしといたからきっと大丈夫に違いない」
うわぁ、うわぁ。
騎士様も……ちょっと甘すぎやしませんかね。
何がって女神様、騎士様にいいとこ見せるチャンスなのに出張らないからおかしいなーと思ったら、ずっと召喚勇者を監視と言う名の鑑賞をしていたんだって。
餓死一択しか残されていなかったあの勇者、今はもうこの世界にいないそうな。
死ぬの早っ!と思ったら、女神様を満足させたので褒美に地球に帰還させたらしい、そう言うのありなんだ。
「今日は最高だった、良い物をみせてもらったぜ」
おしゃれなカクテルを片手にうっとりと語る女神様、いつの間にレシピを渡したんだろう……ドリアン達が知らない間に未知のスキルを手に入れている。
部屋数未知数だし、もしかしたら書斎とか作ってあったりして。
勇者が召喚された際、いつもなら魔物に神託を下して強くなる前にプチっと潰すのだけど、今回は某事情によって勇者を魔王城まで導いたらしい。
ルネさーんここにお仕事の邪魔をした犯人がいましたよー。
杯を重ねるうちにカクテルでは物足りなくなったのだろう、カクテルが果実酒に代わり、今は某メーカーのビールを飲んでいる。
質より量な女神様ですからね。
「でも今回の勇者さん、今までの人と何が違ったんですか?」
「アイツなぁ、うへ」
あ、嫌な予感。
「巻き込まれた友人がいたんだけどさ、ふ、ふふ、そいつの事、好きだったんだよ」
女神様がここまで喜ぶって事は男同士のあれこれか。
「魔王を倒したら元の世界に戻れる。そう言われて友人だけでも元の世界に還そうと、一人で旅立とうとしたけど、友人も一緒に行くと譲らなくてよぉ、あのシーンは痺れた」
この話も後々ゲームのストーリーに採用したりするんだろうか。
「つっても、友人の方はスキルの一つも持ってなかったんだけどな、そこで私の出番」
「何したんですか……」
「魔物知らずっていうスキルをプレゼントしたんだ。効果は抜群、魔物と一匹も遭遇する事なく魔王城に辿り着き――」
「閉じ込められたと、微妙なお話ですね」
「終わってねぇって」
聞けよーと肩を組み、コップを持たされてジュースを注がれた。
お酒じゃないんですね、そこは常識があるのか、保護者からの圧があったのかは不明だね。
「魔物の一匹も討伐出来ず辿り着いたとなると、旅の過程でのレベルアップとか皆無?」
「おうよ、召喚した王国が監視も兼ねて付けた護衛もいたけど、役に立つ立たない以前に出番なんて与えなかったぜ!」
「その人達も解放したんですか?」
「いや、今存在思い出したぐらいだから、多分そのまま王座だわ」
主要人物以外の扱いが相変わらず雑ですね。
そろそろシャムスとアー君をお風呂に入れて寝かせたいなぁ、早めに話を切り上げさせよう。
女神様のお酒をビールから焼酎にすり替えると、いつもの要領で話を聞き流しながらお酒を遠慮なく飲ませて行く、アルコール中毒? 女神様にそんなものあるわけないじゃない。
「魔力が尽きても扉を破壊しようとする勇者、護衛達はゴミでな、勇者が死んでも自分達が助かればいいと思って止めようともしない、そんな中、泣きながらもう止めてくれ、君が死んでしまうと泣く友人――クライマックス……だったのに、主様の気配感じてうっかり気が逸れた」
あの時かぁ。
魔物達が演劇をしていると同時刻に、そんなシリアスシーンがあの中で行われてたなんて。
『俺はどうなってもいい、お前だけは、絶対に元の世界に戻してやる!』
『もういい、もういいから』
『――この世界には人間を見守る女神がいるらしい』
『急に、なに?』
『勇者の命と引き換えなら、願いの一つも叶えてくれるかもしれない』
『なんで、なんでそこまで!』
『お前が好きなんだ、出会った時からずっと』
『そんなの、僕だって一緒だ! 僕も、僕も君が好き――』
一連のやり取りをポテチ片手にガン見していた女神様は、一部うっかり見逃したものの、告白シーンは見逃さずに済み、二人のやり取りを乙女のように頬を染めながら語ってくれた。
いや、これはお酒で赤くなってるだけか。
抱き合い愛を告白し合う二人、「魂だけでも地球に」そう願い心中しようとした二人の前に慌てて女神様が姿を現し、愛に心を打たれたとか何とか言って二人を地球に戻したようだ。騎士様の力を借りて。
「あの二人が死んだらぜってぇえこの世界に転生させる、主様にもお願いしといたからきっと大丈夫に違いない」
うわぁ、うわぁ。
騎士様も……ちょっと甘すぎやしませんかね。
20
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。
竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。
溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。
みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。
囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。
サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。
真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。
☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正
⭐残酷表現あります。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる