神様のポイント稼ぎに利用された２

優しい人生を

第57話

　神薙さんの卵がとうとう孵化した…………気がする！
　一瞬だけ蛇がいたような気がするんだ、単に誰かの尻尾だったかもしれないけど、でも蛇に見えたんだよね。

　うーーん、怪しい。

　鍵はシャムスが握っているような。
　本日は探偵ごっこという事で、ちょっとシャムスをこそこそ観察しよう。

『卵ちゃん、きょーもいいお天気よ』

　カタカタ

　報告その１
　シャムスが語り掛けると返事をしている。

『アー君、アー君、およご！』
『泳ぐのは保護者がいる時に……こらシャムス！』

　ばしゃーん！

　あああ、万が一があったらどうするの！　もふもふズ出動！

『うふふふーたのしーねー』

　報告その２
　あの卵、泳ぐだけじゃなく池に飛び込んだ。つまり跳躍力がある。

『十時のおやつ！』
『甘い物甘い物甘い物』
「俺焼き鳥がいいなー」
『おやつじゃないの！』
『大人は引っ込む！』
「こんな時ばかり子供優待使うのね」

　焼き鳥を推した騎士様がシャムスとアー君から攻撃を受けていた。
　小さな手でぺちぺちと……ちょっと僕にもやってくれないだろうか、癒されたい。

『げっぺー！』
『いちご大福！』
「あ、抹茶味」

　本日のおやつ第一弾は衛兵さんからの差し入れなので種類がバラバラなんだよね、城下町の屋台で買って来てくれたらしく、今度お礼に夕食のおかずでもお裾分けしようと思う。

『卵ちゃん、これ月餅っていうの、おいちいよ』
『私のはいちご大福、甘いぞ』

　カタカタカタ

　卵が小刻みに震えている。

　報告その３
　卵に若干のひび割れ発見、ぴかぴかしてて気付かなかった。
　シャムスとアー君はその隙間からおやつを差し込んでいる模様。

『あ、入らない』

　ぺとっとした皮だからね、ちょっと無理があると思う。
　アー君が諦めようとしたその時、しゅっと影が動いてアー君の手からいちご大福の欠片が消えた。

『美味しいか？』

　震える代わりに卵がぺかーっと光った。

　報告その４
　卵の中身、神薙さんの御子は感情豊か。

「樹、今日のお昼なにー？」
「タイガの狩猟成果によりけりですね」
『卵ちゃんお散歩いこ』
『私も四足歩行にするかなー』

　騎士様が鳥系の魔物がいいなぁ～と呟く後ろで、子供達がころころと転がって移動を始めた。
　シャムス、少しは歩く努力をしなさい、もふもふズ、確保！

『やぁん』
『っく、やはり駄目か』

　ぺしぺし！

　尻尾や前足でシャムスとアー君を止めたもふもふズ、そのもふもふズの横っ腹に卵が体当たりをしている。
　ダメージはないようだけど……そろそろ隠す気ないでしょ。

　報告その５
　卵はシャムスとアー君贔屓。

　本日の結論として。
　生まれたらアカーシャに預けて手懐ける事を推奨する。