神様のポイント稼ぎに利用された２

優しい人生を

第16話

　腕を組んで唸っている騎士様の前に並べられたカードには、歪な〇や□、ホラーな絵柄が並べられている。

　本日僕らは夢の中で使ったカルタを再現中。
　シャムスがあの遊びをとても気に入り、もふもふズに話したところ自分達もやってみたいとルークに要望が殺到したらしい。
　ドリちゃんに素材を提供して貰って絵を描いたんだけど……そう言えば僕、美術の才能なかったんだっけ、月餅がただの丸にしか見えない、どうしよう。

『ふぇぇ』
「……」

　シャムスとアカーシャも挑戦したけど、ここに来て僕のDNAが仕事をするとは思わなかった。
　二人も絵心が皆無だった。

「タイガが帰ったらお願いしてみようか」
『ん』
「そうだね」

　僕らは潔くお絵かきを諦めた。

「そんな時は私に任せろ」

　漢らしい言葉とともに降臨したのは女神様。

　登場とともにキラキラと光が舞って、あっという間にカルタが再現された。
　ありがたい、ありがたいけど、無償でこんな事をしてくれるわけがないよね。

「問題ない、双子様からの依頼で報酬も決まってるんだよ、うへ、うへへへ」

　ろくでもない報酬だと見当がついた。
　あの子達、いらない方向にも成長してるなぁ。

「鈴、あまり……刀羅と鬼羅に変な知識を与えないでね」
「うふふ、分かってますよぉ」

　手遅れな感があるうえに、二人ともヤンデレ属性が垣間見えます。
　しかもターゲットはお腹の御子ですがどうしましょう。

「双子の王とか最高ッスよねぇ」
「俺は鈴と二人が変な取引をしているのがとても気になるよ」
「心配ないですよぉ、立派な賢王になれるように他国の人材選んでますからー」

　教師が引き抜き前提！？

「刀国の人じゃ駄目なんですか？」
「悪いわけじゃないんだけど、他国の知識も入れたいって要望でな、知識があれば支配下に置くのも楽だろ？」
「…………」

　うちの子ってどうしてこう支配思考が強いのだろうか、イネスも「子孫繁栄で世界征服！」とかよく言ってるんだよねぇ。
　一人目は異世界に旅立って本当に世界征服したみたいだし、スケールが大きいよね。

「配下にはユーシリス一族を欲しがって目下交渉中」
「あの」
「なんだ？」
「世界各国の知識が欲しければ、それこそユーシリス一族に頼めばいいんじゃないですか？」

　食の知識が中心とは言え、何が神薙さんの為になるか分からないから様々な知識を蓄えているって言ってたし、その他の知識も一般人よりはずっと深いはず。

「神薙さんに頼んでもらえれば早いと思いますよ」
「それ難易度高くねぇか？」
「そうですか？　騎士様経由とかおやつ食べ放題とか方法はいくらでもありますよ？」
「イツキぐらいしか出来ねぇからな、その方法」

　そうかなぁ？

「騎士様どうでしょう？」
「国家運営はこくおーに任せているから、俺はあまり口出しできないんだよね～」
「じゃあ仕方ないですね、双子に頼まれたらって事で」
「そうだね」
「了解ッス」

　会話が終わった時、シャムスの頬っぺがお餅みたいに膨らんでいて可愛かった。