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第三章 世界に降りかかる受難

第716話

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 何もしなくても騎士様がその内助けに来てくれると信じてはいる。
 いるけど、何もしないとリザママが不安がるので、ちょっとだけ活動してみようかな?

 でもなー、僕が動くと歴史改変されない?
 下手に歴史を変えて未来がずれるの嫌よ?

「という訳で、あまり影響の少なさそうな所にやってきました」
「何で小声?」
「おんみつ気分」

 こっそりやって来たのはお城です。
 国王様を見て何か分からないかなーって。

 どこにいるか分からないから、一般開放されているお庭をお散歩してたら普通に会えた。
 一般人に紛れてさぼっているの今も昔も変わらないのね。

 あと中身も変わらなければ、外見も全く変わらない。
 おじいちゃんのまま。
 おやつを分けてくれて、一緒に食べてたら巡回中の衛兵さんに発見されて、そのまま執務室に連れていかれました。
 まぁムササビポンチョと一緒にいたら目立つよね。
 衛兵さんもお仕事ごくろー。

「けつろんを言うとおじいちゃんから時代をすいそくするの、ちょっとむり」
「だろうな、あの人が国王になってから数百年経つらしいけど、国王に就任した時から全く容姿が変わらないって魔王様から聞いてる。若返りすらしないって」

 普通は若返りがセオリーなのに、定番に逆らい続ける国王様なのである。
 在位千年以上経っても「村長に戻りたい」と言ってるしね、精神が永遠におじいちゃん。

 おじいちゃんに在位年数を聞けば、どのくらい昔に飛ばされたか分かるかと思ったけど、ダメだった。
 すでに今の時点で「だいたい数百年以上かのぉ」というふわっとした感じ、年数長すぎて覚えてない。

 神薙さんも魔王様も長生きだから時の流れなんて気にしていない。
 困ったね、正確に年代を把握できる基準がないです。

 お城を後にして屋台街で買い食い、そして気付いた。
 黒龍さんが噴水にいるじゃないか!

「龍さん、龍さん、刀国が建国してどのくらい?」
『数百年ぐらいかな』

 大雑把過ぎてやっぱり分からなかった。
 そもそも皆さんの寿命が長すぎて、年月の基準が人と違いすぎるのが敗因である。

『オススメ屋台は鉄のタコかな、歯応えあって美味いぞ』
「あれ美味いよな、邪神様のお土産に買ってくか」

 速報。
 僕の歯が太刀打ち出来ないあの硬すぎるたこ焼き、この時代からすでにあった。
 しかも何気に人気があるようです。

「おっ、ちょっと待ってな、幼児でも食べれそうなの売ってる」
「?」

 なんだろうと思って噴水の所で待っていたら、リザママがとあるアイスを片手に戻ってきました。
 あ、あれは――ポッキンアイス!!
 異世界にもあったのか!?

「これなら氷だし食べれるだろ」

 パキンと音を立てて真ん中から折れたアイス、わー、懐かしー、転生前はよく食べたなー。
 懐かしさに心を躍らせながらパクッと口にしたらめちゃくちゃ冷えていた。
 異世界のアイス舐めてた。アイスが絶対零度、口の中が凍るかと思った。
 え、なんで、持っている分にはそこまで冷たくないのに、なんでこんなに冷たいの!?

 なおリザママは普通に食べている。
 アイスを包んでいるこの透明ななにか、これか、これが冷え冷えの秘密か!

「美味いだろ、この間遊んだギレンが開発したアイスって食い物」

 露骨に地球のアイデアで無双している気配がする。
 そっかぁ、ギレンはこんな昔から地球の知識で稼いでたんだね、そりゃぁ港街が面白いぐらい発展するわけだ。
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