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第三章 世界に降りかかる受難

第688話

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 案の定筋肉痛に丸一日悩まされ、ヘラ母さんに看病してもらっている樹です。
 最初は騎士様が「俺が!!」と張り切ったものの、子供の世話をする手つきがなっていない。とヘラ母さんにダメ出しされて泣きながら仕事に行きました。
 最強の姑である。

「ほらウサギリンゴだよ」
「あーん」

 おいちい。
 シャリッとした歯ごたえ、口の中に広がる甘味。
 幸せぇ。

 今日は子供達は不在、徹夜で盆踊り大会とかではなく、朝ご飯をもりもり食べた後、開拓中の僕の領地に遊びに行っちゃったのです。
 追いかけたいけど体中が痛いので諦めました。
 とんでもない魔境が出来上がるんだろうなぁ。

 僕としてはもふもふが幸せに暮らせればそれでいいので、魔境でも秘境でも神域でも好きに改造してくれて構わない。
 ダンジョンとか作るより遊びに行く方が好きです。

「お昼は何がいいかねぇ」
「はんばーぐかれぇ」

 ヘラ母さんの作るハンバーグ食べたいなぁ。
 カレーは甘口で、その上にハンバーグ、さらに上からチーズをふりかけ、それを焼いて食べたい。

「可愛いイツキ、作ってくるからいい子で待っておいで」
「あい」

 頬にチュッとしてからリンゴの入っていた小皿を持ち、ヘラ母さんは調理場へと向かった。
 僕はクッションコーナーでゴロン、通りすがりのスラちゃんが暇だったようで全身マッサージを開始してくれました。おお、異世界版ウォーターベッドじゃぁ。

 そんな感じで休んでいたら召喚された。

 晴れた空。
 気持ちよさそうに流れる白い雲。
 動揺しつつもマッサージを続けるスラちゃん。

 状況把握をしたくない、今は召喚っていう気分じゃないの。
 なにより筋肉痛が痛いからヘラ母さんに甘えていたい気分なの。
 おうちに帰してー。

『ママ!?』
「かあちゃ!?」
「とんでも展開です」
「びっくりしたんよ」

 いつも聞いている声が聞こえて驚いてそちらを見たらうちの子が揃っていた。
 あと素早く動いた反動でとても、とても体が痛い。

 僕を召喚したのは召喚術を使うリッチ系の魔物さん、敵対するはうちの子とネヴォラ。
 相手が悪すぎると思います、素早い土下座で謝れば許してもらえるとおも――

 ぐしゃっとリッチが地面に沈んだ。

 リッチの頭部を鷲掴みにし、無表情で押さえつけているのはタイガの息子で褐色肌のイケメン孫。
 ストーカー機能搭載である。

 僕が昨日の晩のように楽しく過ごしていれば特に干渉はせず、家事や裁縫、ポンチョ製作、家具作りなどに精を出すけれど、不穏は絶対に許さないマン。
 普段なら召喚も許容してもらえたかもしれないけれど、僕って今、筋肉痛だからね。
 ろくに動けない所を呼び出してしまったリッチ君アウトでござる。
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