上 下
693 / 750
第三章 世界に降りかかる受難

第681話

しおりを挟む
 それより帰って来るか居場所を教えろと伝言を貰った。
 もっともである。

 でも謎のテンプレ呪縛に付いても若干理解があるので、アドバイスとドリちゃんミルクを貰えました。
 ドリちゃんミルク美味い、美味い、含まれる魔力が豊富で何よりである。

 さらに言えば僕の現状を理解した子供達が子守スラを派遣してくれました。
 お陰でオスの姑獲鳥から乳をもらったり、おっさんかお兄さんか不明な人からの抱っこなどから脱却出来た。

 このダンジョン、難易度さほど高くないのかボスの魔力がそこまで高くない。
 まぁ比較対象がドリちゃんなのがいけないのかもしれないけど、ドリちゃんは魔力無限に魔改造されたドリアードだからね!

「この儂の乳を拒むか赤子!」
「んぐんぐ(ドリちゃんミルクには叶わないからね!)」
「抱っこ、やっと慣れてきたのに」

 慣れてない、慣れてない、もっと精進しておくれ。
 持つ腕に力が入りすぎてリラックス出来ないのよ。

 うちの子が派遣してくれたこちらの子守スラ、神薙神社で暮らすタイガの子供達を多数育て上げた子育てのプロフェッショナルなのです。
 
 それは置いといて。
 お兄さんに関するテンプレですが、追放や囮、罠、冤罪等、テンプレ都合で最下層に捨てられた場合、瀕死からチートが覚醒、ダンジョンを脱出して復讐とかそういうのが多いそうです。

 瀕死だけどボスに攻撃されずに保護から治療、生きる目的与えられているし、復讐を誓わず子守スキルの上昇を誓ってた。
 テンプレを履行する前にボスがフラグ折りまくってるね。

 うーむ、じゃあ裏切った仲間を連れてきて復讐させる?

 ……えっちゃんがアー君にお願いして調査してもらった結果、お兄さんもどきを見捨てた元仲間は受付で悪事がバレてその場で職員さんにしばかれてた。
 現在はお兄さんを助けるために救援隊が組まれ、雇われた冒険者たちが元仲間を囮に使いつつ最下層を目指しているそうです。
 
 さらにお兄さんの救援には莫大な費用がかけられていて、その費用は元仲間が背負うことになるんだって。
 仲間への裏切りを絶対に許さないスタイル、アー君が作った仕組みがテンプレ展開を潰している。

「クッション作った」
「ふははは、儂の羽を使ったからふわふわだぞ!! こうして、こう! スライムでの移動がさらに快適になるだろう!!」

 当の本人はボスと仲良くなり、パッチワークに目覚めています。
 普通に刺繍が上手い。

 ボス&お兄さんもどきvs子守スラでどちらが子守が上手いかバトルしているんだよ。
 今もスライムの背に乗ってぽよぽよ移動する僕を持ち上げ、子守スラの頭を潰して平らにし、そこにクッションを並べて再び僕を乗せてドヤ顔してます。
 とても平和な戦いだねー、僕が快適になるなら何の問題もない。

 僕が子守スラに乗って先頭を進み、ボスとお兄さんもどきが次は何を作ろうか話しながらのんびりと下層をお散歩中です。
 ここがダンジョンでなかったら普通に親子に見えなくもない光景だろうなぁ。

 疑似親子ごっこっぽい何かを楽しんでいたら、曲がり角でオーガと出会った。
 こちらのオーガ、倒すと特Aクラスの肉天ぷらを落とすらしい、涼玉が知ったら絶滅させる勢いで襲い掛かってきそうな情報である。

「がー」

 両手を挙げて威嚇したら、怖い怖いと言わんばかりに震える動作をしてから頭を撫でてくれました。
 ボス部屋に至る区域を守る頼もしい衛兵さんなのである。

 今もほら、ボロ雑巾のようになった冒険者が引きずられているではありませんか…………それ、救援部隊の人たちじゃないよね?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません

ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。 俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。 舞台は、魔法学園。 悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。 なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…? ※旧タイトル『愛と死ね』

追放されたボク、もう怒りました…

猫いちご
BL
頑張って働いた。 5歳の時、聖女とか言われて神殿に無理矢理入れられて…早8年。虐められても、たくさんの暴力・暴言に耐えて大人しく従っていた。 でもある日…突然追放された。 いつも通り祈っていたボクに、 「新しい聖女を我々は手に入れた!」 「無能なお前はもう要らん! 今すぐ出ていけ!!」 と言ってきた。もう嫌だ。 そんなボク、リオが追放されてタラシスキルで周り(主にレオナード)を翻弄しながら冒険して行く話です。 世界観は魔法あり、魔物あり、精霊ありな感じです! 主人公は最初不遇です。 更新は不定期です。(*- -)(*_ _)ペコリ 誤字・脱字報告お願いします!

甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?

秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。 蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。 絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された 「僕と手を組まない?」 その手をとったことがすべての始まり。 気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。 王子×大学生 ――――――――― ※男性も妊娠できる世界となっています

愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと

糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。 前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!? 「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」 激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。 注※微エロ、エロエロ ・初めはそんなエロくないです。 ・初心者注意 ・ちょいちょい細かな訂正入ります。

俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

明太子
BL
伯爵令息のエスメラルダは幼い頃から恋心を抱いていたレオンスタリア王国の国王であるキースと結婚し、王妃となった。 しかし、当のキースからは冷遇され、1人寂しく別居生活を送っている。 それでもキースへの想いを捨てきれないエスメラルダ。 だが、その思いも虚しく、エスメラルダはキースが別の令嬢を新しい妃を迎えようとしている場面に遭遇してしまう。 流石に心が折れてしまったエスメラルダは離婚を決意するが…? エスメラルダの一途な初恋はキースに届くのか? そして、キースの本当の気持ちは? 分かりづらい伏線とそこそこのどんでん返しありな喜怒哀楽激しめ王妃のシリアス?コメディ?こじらせ初恋BLです! ※R指定は保険です。

逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?

左側
BL
陽の光を浴びて桃色に輝く柔らかな髪。鮮やかな青色の瞳で、ちょっと童顔。 それが僕。 この世界が乙女ゲームやBLゲームだったら、きっと主人公だよね。 だけど、ここは……ざまぁ系のノベルゲーム世界。それも、逆ざまぁ。 僕は断罪される側だ。 まるで物語の主人公のように振る舞って、王子を始めとした大勢の男性をたぶらかして好き放題した挙句に、最後は大逆転される……いわゆる、逆ざまぁをされる側。 途中の役割や展開は違っても、最終的に僕が立つサイドはいつも同じ。 神様、どうやったら、僕は平穏に過ごせますか?   ※  ※  ※  ※  ※  ※ ちょっと不憫系の主人公が、抵抗したり挫けたりを繰り返しながら、いつかは平穏に暮らせることを目指す物語です。 男性妊娠の描写があります。 誤字脱字等があればお知らせください。 必要なタグがあれば付け足して行きます。 総文字数が多くなったので短編→長編に変更しました。

主人公に「消えろ」と言われたので

えの
BL
10歳になったある日、前世の記憶というものを思い出した。そして俺が悪役令息である事もだ。この世界は前世でいう小説の中。断罪されるなんてゴメンだ。「消えろ」というなら望み通り消えてやる。そして出会った獣人は…。※地雷あります気をつけて!!タグには入れておりません!何でも大丈夫!!バッチコーイ!!の方のみ閲覧お願いします。 他のサイトで掲載していました。

処理中です...