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第三章 世界に降りかかる受難

第653話

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 この世界の女神は全体的に物騒なので、極力お手を煩わせないようにしたいという思いを強くしました。
 本日はパーッと遊んで憂さを晴らそうとお出掛けする予定だった所に魔王様からお誘いがあり、いつものメンバーでお出掛けです。

「魔王様ー、みゃーん」

 イネスなんて肩に乗り上げて頬にすり寄っています。羨ましい。
 今の僕は小さいからあまり乗ってくれないのよね、頬にスリスリされたい。

 何でもルネさんのお肌が高級真珠のように輝き、それにいたく感動してお礼の食べ歩きツアーになりました。
 刀国だと貢がれてしまう事があるため、適度に食文化が発展しているアー君の領地に到着。

 選ばれたのは――

「ぎゃぁぁぁあっ!!」
「神獣来た神獣!」
「天敵様じゃぁぁ!」
「いやぁ恐怖の豊穣ドラゴンだーー!」
「作物が無尽蔵に実るぞーー!」
「神子様もいるぞぉぉ!!」

 レッサーデーモンの皆さんが守る辺境の地、僕らを見た瞬間に阿鼻叫喚の大騒ぎ。
 悲鳴上げられてないのシャムスと魔王様だけなのよ。

 イネスは魔王様がいるからぺかぺか漏れしないよう、えっちゃんと謎能力の混合技でどうにかしているし、涼玉はいるだけで豊穣を呼ぶ奇跡の塊だからどうしようもない、僕は……謎能力が無双しているだけだから怖がられる理由がピンと来ません。
 いや僕を見て悲鳴上げたのレッサーデーモンの皆さん関係ない、冒険者だ。

「近くにダンジョンあったら難易度上げちゃおうかな」
「止めてあげなさい」

 ぽそっと呟いたら魔王様からストップがかかりました。
 常識的な大人がいると悪戯しにくいね。

「あ、でも何ともない」
「マジだ。肌焼けないな」
「ジュッ言わねぇ、奇跡?」
「あんな上機嫌なのに俺らが無事なんて」

 ほわほわ光るイネスを見ながら遠巻きにコソコソしているのはレッサーデーモンの皆さん、魔王様とお出掛けするためにえっちゃんと謎能力が頑張りました。
 なお効力は本日限りです。
 だってイネス、ぺかぺか光って浄化の光を振りまくの趣味みたいなものなんだもん。

「食べ終えた柿の種を地面にこっそり植えたら、踊りながら急成長して誰かの家の屋根破壊した」
「それはお前が悪い、すぐ謝ってこい」
「うわ、柿の実が踊りながら成長してる……あれ、食べたら愉快な気分になるやつじゃないか?」
「イネス様と涼玉様の効果に上機嫌なのに、全体的にふわっとした効果しか与えてない?」
「魔王様がいるから効力抑えられてたりして」
「かっけぇ、あのメンバーの力を比較的常識的な範囲に収めるなんて魔王様すげぇ!!」
「魔王様すげぇ」
「さすが魔王様」
「さすまお」
「さすまお!!」

 コロコロドーナツの屋台があったのでさっそく買ってもらっていたら、何か周囲がいきなり魔王様を全力で称え始めた。
 僕らより目立つとは……魔王様やるなっ!
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